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外為マーケットコラム

円高基調は継続か

【格下げ後も米国債が買われる皮肉】
 5日に発表された格付け会社スタンダード&プアーズによる米国債の格下げの影響で、世界の金融市場は混乱に陥っています。米国をはじめ、欧州、アジアの株式は乱高下して、為替市場でも荒れた動きが続いています。資源国通貨である豪ドルやカナダドルなどが一時大きく値を崩し、安全資産として円やスイスフランが買われる動きとなりました。

 なお、金融市場が混乱してリスク回避の動きから、米国債が買われて大きく上昇しており、米国の金利が低下しています。格下げされた米国債が買われるという皮肉な状況となっています。「AAA」から「AA+」に1段階格下げはされたものの、流動性の高い巨額な資金の行き場としては、やはり米国債が最も適しているということなのでしょう。

 また、資金の逃避先(セーフヘイブン)として金にも資金が向かっており、連日のように史上最高値を更新して一時1,800ドル台に乗せました。ただ、11日には米先物市場での証拠金引き上げなどから急反落しています。これまでの金の価格上昇は急激過ぎたため、どこかで修正安局面を迎える可能性がありそうです。

 スイス・円は一時大きく上昇して、スイスフランは円よりも買われやすい通貨となっていました。9日には1スイスフラン=108.71円まで上昇して、1990年9月以来の高値圏まで上昇しました。スイス国立銀行(中央銀行)は10日に短期金融市場への流動性拡大など、スイスフラン高抑制に向けた追加措置を発表しました。さらに11日にはスイスフランをユーロにペッグさせる可能性を示唆したことで、対主要通貨でスイスフランは急落、スイス・円は1スイスフラン=97円台まで下落しました。円と並んで、というよりも円より安全資産として買われやすかったスイスフランの高騰がこのまま終息に向かうかが注目されます。

 円はリスク回避の動きとなった場合に買われやすい上、米国債の上昇で米10年債利回りは2%台前半まで低下しています。日米の金利差の観点からも円は買われやすく、4日に政府・日銀が円売り介入したものの、効果は一時的なものにとどまりました。介入警戒感からドル・円は一気に大幅な円高には進みにくいものの、1ドル=75円へ向けて徐々に円高が進むこととなりそうです。金融市場が落ち着き、世界的に株価が上昇に転じれば、リスク回避姿勢が後退して、1ドル=79〜80円まで円安に傾きそうですが、そうなるにはしばらく時間がかかりそうで、円高に進む可能性の方が高いとみられます。

【債務問題の懸念はフランスへ飛び火】
 10日にはフランスが「AAA」から格下げされるとのうわさやフランスの銀行の財務状況への懸念から、欧米市場の株が大幅安となり、米国でも銀行株を中心に急落しました。フランスの格付けに関しては、格付け会社のスタンダード&プアーズ、ムーディーズ・インベスターズ・サービス、フィッチ・レーティングスの3社すべてが最上級のトリプルAの格付けであることを確認しています。

 翌11日には欧州、米国ともに株式市場は急反発したものの、米国の景気の先行き不透明感や欧州の債務問題への懸念は根強く残ります。フランスの銀行のギリシャ国債の保有比率が高いことや、イタリア国債を多く保有していることなどが市場の懸念につながっています。なお、欧州証券市場監督局(ESMA)は、市場の急激な変動に対応するため、ベルギー、フランス、イタリア、スペインが株の空売り禁止措置を講じると発表しました。この措置を受けて、12日の欧米株は上昇しています。

 これまで負の材料が繰り返して出てきたことで、市場では欧州の債務懸念についての不安が払しょくしきれないでいます。欧州の債務問題と米国債の格下げなどにより、欧米の株価は乱高下しています。市場では、16日に予定されている独仏首脳会談が注目されており、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の規模拡大などが議論の対象になるのではないかとの観測が出ています。

 そうした中、最近のユーロ・ドルは、1ユーロ=1.40〜1.44ドル台でのレンジ相場が続いています。材料に一喜一憂しながら日替わりで乱高下しています。欧州、米国ともに不安材料を抱えていることから、ユーロ・ドルはこれまでのレンジ相場が続く可能性が高いとみられます。

【8月の円高はいつまで続くのか】
 ドル・円は8月は円高に振れやすい傾向があり、過去11年で9回は円高で終わっています。2000年〜2010年の11年間では、2006年と2008年以外は円高となりました。今年も円高気味で推移しています。

 過去の8月の値動きを見て、今年の8月の円高がいつごろまで続きそうなのかを考察してみます。円高に終わった過去9回のうち、5回は月末近くがもっとも円高が進んだ時期となりました。表は過去11年間のドル・円の8月の動きをまとめたものです。それによると、月末最終営業日か、その近辺にもっとも円高となったケースでは、その月は一本調子か、それに近い格好で円高が進んでいます(「8月の動き」の矢印参照)。

 月末以外で最も円高が進んだケースでは、14日(2002年)、16日(2005年)、17日(2007年)と月の半ば、ちょうどお盆の時期に円高が進みやすいようです。その時期に円高が進むと月末にかけては、やや円安で推移しやすくなります。

 今年はすでに中旬まで経過しており、現時点から円安に振れるか、さらに円高が進むかの分岐点となっています。ここから円安に進まないようなら、月末へ向けてさらに円高に進む可能性が高まりそうです。

 なお、円高に振れた年では、7月末に比べて最小で2.3%、最大で5.9%の円高が進みました。今年は7月末のドル・円は76.76円となっており、2.3%の下落なら74.99円、5.9%の下落なら72.23円まで円高が進むこととなります。介入警戒感もあり、一段の円高進行は抑えられる可能性もありますが、過去の経験則からは一段の円高余地があることは念頭に置いておきたいところです。



2011年8月15日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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