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外為マーケットコラム

介入警戒感は根強いものの、円高基調が続きそう

【介入警戒感は根強いが円は買われやすい】
 5日の格付け会社スタンダード&プアーズによる米国債の格下げを受けて、欧米、アジア各国の株価が急落したものの、各市場ともにその後は一時落ち着きを取り戻しました。ところが18日に米経済指標の悪化やユーロ圏の債務問題への懸念から欧米の株式市場は再び急落しています。通貨市場では、スイスフランが当局によるスイスフラン高対策の影響で買われにくくなり、ドルや円が買われることとなりました。

 米国債は格下げ後もリスク回避の動きから買われており、18日に米10年債利回りは一時2%を割り込み、終値でも2.06%付近まで低下、過去最低水準を更新しています。なお、ドイツ、英国でもリスク回避の動きから国債に資金が向かい、18日には両国ともに10年債利回りが過去最低水準まで低下しています。

 一時急騰していたスイスフランは、11日にスイス国立銀行(SNB、中央銀行)がスイスフランをユーロにペッグさせる可能性を示唆したことで、対主要通貨で急落しました。ところが、17日に実際に打ち出されたスイスフラン高対策は市中銀行がSNBに預ける当座預金の残高目標を1,200億スイスフランから2,000億スイスフランに引き上げるといったものにとどまりました。

 ユーロペッグ制の導入など、大胆な措置を期待していた市場ではこの発表に失望して、スイスフランは対ドルや対円で下げ止まりました。ただ、SNBは必要に応じてさらにスイスフラン高対策を講じる方針を示しており、スイス当局によるスイスフラン高対策は一定この成果をあげています。

 26日に米ワイオミング州ジャクソンホールで米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長の講演が行われます。ここで量的緩和第3弾(QE3)をめぐる発言があるかどうかが注目されています。米国では経済指標の悪化が相次いでおり、景気減速への懸念が日々高まっていて、市場ではQE3を期待する声も根強いものとなっています。

 QE3が実施されるようなら、米国債が一段と買われて、2%付近まで低下している米10年債利回りが一段と低下する可能性が高まります。そうなると、ドルは売られやすくなり、ドル・円は円高が進みそうです。QE3がなくとも、米国の経済指標はさえないことや金融市場の混乱から、円が買われやすい流れに変化はないでしょう。円は19日に戦後最高値となる1ドル=75.95円まで円高が進みました。円は日本の金融当局による円売り介入への警戒感が大幅な上昇を抑えてはいるものの、1ドル=75円へ向けて円高へ進む可能性が高いとみられます。

【独仏首脳会談は期待外れ】
 16日には独仏首脳会談が行われ、ユーロ加盟国による「経済政府」の設立や財政赤字の削減を法律で定めることなどで合意しました。ただ、ユーロ共同債の導入や欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の規模拡大などの市場の期待感の高かった措置は見送られて、債務問題への短期的な対策に乏しかったことで、やや期待外れな内容となりました。

 スタンダード&プアーズは米国債を格下げしたものの、格付け会社フィッチ・レーティングスは16日に米国の「AAA」格付けを確認しています。見通しも「安定的」としています。ただ、フィッチも米国の債務削減が実行されない場合や経済が大幅に悪化した場合は格付け見通しを「ネガティブ」にする可能性を指摘しています。ユーロ圏の債務問題だけでなく、米国の債務削減も今後、折に触れて材料視されそうです。

 ユーロ圏の2011年第2四半期の国内総生産(GDP)は前期比+0.2%、前年比+1.7%となり、第1四半期の前期比+0.8%、前年比+2.5%から成長が減速しました。米国の経済指標もさえないものが多いですが、ユーロ圏の景気動向も先行き不透明感が台頭しつつあります。

 また、米ウォールストリート・ジャーナルは、米金融当局は欧州の債務問題が米金融システムに波及するのを警戒しており、米金融当局が欧州大手銀行の米国部門の監視を強化していると報じました。欧州の銀行への懸念が増すと、金融市場の新たな混乱材料となりかねません。

 ユーロ・ドルは、17日まで米国株が安値から戻り歩調にあったことなどからリスク回避の動きが後退して堅調な流れを続けました。ただ、1ユーロ=1.45ドル前後では上値を抑えられやすくなった上、米国株が18日に急落すると、リスク回避の動きからドルが買われて、1ユーロ=1.42〜1.43ドル台まで下落しました。ただ、ユーロ・ドルはそれほど大きく崩れるといった状況にはなっていません。今後のユーロ・ドルは欧米市場の株価の動向や経済指標に一喜一憂しつつ、1ユーロ=1.41〜1.45ドル台でのレンジでの推移を続けそうです。

【米新規失業保険申請件数で見るNYダウの動向】
 米国で毎週木曜日に発表される米新規失業保険申請件数は、週次のデータであり、速報性が高いことで米国の雇用情勢を把握するのに適したデータです。ただ、この統計は発表後に修正されることが多い(というより、ほぼ毎回のように修正される)という特徴があります。

 グラフは、米新規失業保険申請件数とNYダウの関係を示しています。ピンクが米新規失業保険申請件数(左軸)で上下を逆に表示してあり、青がNYダウを示しています(右軸)。このグラフを見る限り、両者は非常に関連性が強いことが見て取れます。なお、この米新規失業保険申請件数はブレの大きい統計なため、4週平均を採用しています。

 リーマンショックでの株価下落と失業保険申請者数の増加はほぼ同一歩調で推移しましたが、その後の景気の持ち直しと株価回復局面では米失業保険申請者数は減少傾向で推移しました。昨年5〜7月に株価は調整しましたが、この時の米失業保険申請者数は横ばいで推移しました。

 今年4〜5月に米失業保険申請者数は増加傾向となりましたが、この時は少しタイムラグがあったものの、5〜6月にNYダウも調整局面となりました。7月下旬以降にユーロ圏の債務問題や米国債の格下げで株価は大幅な調整となりましたが、米失業保険申請者数は4週平均で改善傾向を見せています。この傾向が続くようなら今回の株価の調整が一時的なものにとどまるものとみられます。米失業保険申請者数が増加に転じるようなら、NYダウは1万ドルの節目へ向けて下落を続けそうです。



2011年8月22日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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