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外為マーケットコラム

ドル・円はこう着、ユーロ・ドルは上値重く推移か

【ドル・円は上下ともに動きにくい】
 ドル・円は米国の経済指標に一喜一憂しつつ、1ドル=76〜77円台での推移を続けています。米国の一段の金融緩和への期待が上値を抑える一方で、日本の金融当局による円売り介入への懸念が下値を支える要因となっており、狭いレンジでこう着した動きが続いています。

 26日にワイオミング州のジャクソンホールで行われた米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長の講演では、量的緩和第3弾(QE3)への言及はなかったものの、追加金融緩和へ含みを持たせる内容となりました。米国での追加緩和への期待感から、米10年債利回りは2%台前半での推移が続きました。米長期金利が低位安定していることで、ドル・円は上値を抑えられやすい状況となっていました。

2日に発表された8月の米雇用統計では、失業率が9.1%と前月と同じとなりました。非農業部門雇用者数は前月比変わらずとなり、事前予想の同6.8万人増と比べて大幅に低い水準となりました。これを受けて米国株は大幅安となり、米10年債利回りは2%を割り込んでいます。ドル・円はあまり大きく円高には振れなかったものの、米長期金利の低下で大きく円安方向には動きにくい展開となりそうです。

 次回(9月)の米連邦公開市場委員会(FOMC)は当初1日だけの予定から9月20〜21日の2日間にわたって開催されることとなりました。ここで追加の金融緩和策などが討議される見通しです。8月のFOMCでは、景気判断を下方修正して、異例の低金利を今後少なくとも2年間維持する方針を示しました。8月のFOMCでは方針決定に3名の委員が反対票を投じるなど、委員の間で見解の相違も浮き彫りになりつつあり、こうした中、9月のFOMCでどのような方針が打ち出されるかが注目されます。

  ドル・円は米国を中心とする経済指標に左右される展開が続きそうです。ただ、米国の追加緩和期待もあり、1ドル=77円台では上値は重く、介入警戒感から下値も限られ、1ドル=76〜77円台でのレンジ相場がしばらく続きそうです。米国の経済指標が好転すれば、78円乗せもありそうですが、仮に78円台に乗せても長続きはしないでしょう。

【ユーロ・ドルは上値の重い展開か】
   8月に入り、米国債の格下げや世界的な景気減速への懸念から、米国、欧州、アジアの株価が急落して世界同時株安の様相を呈しました。株価は8月中旬に乱高下したものの、8月下旬からは戻り歩調にあり、不安心理はやや後退していました。ただ、2日に発表された8月の米雇用統計の悪化で世界的な不安心理が再び高まる可能性が出てきました。

 そうした中、ユーロ・ドルは一時1ユーロ=1.45ドルを回復したものの、その後、米国や欧州の景気が減速傾向を示していることなどから、その後は1.41ドル台まで下落するなど、軟調な推移を見せています。ユーロ圏の景気動向とともに、ギリシャの財政問題がユーロの圧迫要因となりそうです。さらに米雇用統計の悪化によるリスク回避の動きがユーロ・ドルの上値を抑える要因として意識されそうです。

 アイルランドやポルトガルの10年債利回りは低下傾向にあり、両国に対する懸念は後退しています。ただ、ギリシャの10年債利回りは18%超まで上昇して、過去最高値圏にあり、同国の財政問題への懸念が根強いことを示しています。また、欧州連合(EU)、国際通貨基金(IMF)、欧州中央銀行(ECB)によるギリシャ調査団は、ギリシャの2011年の財政赤字が対国内総生産(GDP)比で少なくとも8.6%になり、目標としていた7.6%を達成できないとの見解を示しています。

 今後、ギリシャの財政懸念が再びクローズアップされる局面も出てきそうです。なお、IMFは欧州の銀行が2,000億ユーロ(約2,850億ドル)の資本不足に陥る可能性があるとの見解を示しました。IMFと国際会計基準審議会(IASB)は欧州の銀行の資本不足に懸念を表明、IASBは欧州の一部の銀行はギリシャ国債の評価損の計上が不十分との見解を示しています。

 一方、欧州の金融当局者などは銀行の資本は十分であり、市場の混乱へ対応できると反発しています。また、ECBやユーロ圏の当局者はIMFの資本不足の算出方法に「深刻な疑問がある」としており、欧州委員会も1日に抜本的な措置は必要ないとの姿勢を示しました。状況によっては、ギリシャの財政やギリシャ国債の担保としての評価価値、欧州の銀行の健全性などが材料視されるケースも出てきそうです。

 ユーロ・ドルは1ユーロ=1.40〜1.44ドルでの推移が見込まれます。米国の経済指標が好転して、株高、リスク指向の高まりという状況になれば、1.45ドル乗せの可能性もありそうです。ただ、1.45ドル超では上値を抑えられやすいこともあり、戻りは限られそうです。むしろユーロ圏や米国の経済指標の悪化傾向から、じり安で推移する可能性の方が高いとみられます。

 8日に欧州中央銀行(ECB)の政策金利が発表されますが、今回は1.50%に据え置きとなりそうです。その後のトリシェ総裁の記者会見で景気認識を下方修正したり、インフレ懸念を後退させたりするようなことがあれば、ユーロ売りにつながる可能性が出てきます。ただ、仮にユーロが売られても、ドルも強いとは言えないため1ユーロ=1.40ドル付近で下げ止まるとみられます。

【金利差とのかい離が目立つユーロ・ドル】
 通貨は取引対象となる国の金利差に左右されるケースが多く見受けられます。ドル・円は日米の2年物の金利差との連動性が高く、ユーロ・ドルはユーロ圏と米国の2年物の金利差と連動しやすくなっています。

 ただ、最近はユーロ圏と米国の金利差とユーロ・ドルが連動しにくくなっています。グラフはユーロ・ドルとユーロ圏と米国の2年物の金利差を表示したものです。ユーロ・ドルはピンク(右軸)で、金利差は青(左軸)で示しています。

 従来、両者は非常に相関が高く、7月中旬までは似たような動きをしていました。最近は金利差が低水準で推移する一方で、ユーロ・ドルが堅調な推移を見せていることで両者の連動性は薄れています。グラフの全期間での相関係数は0.73と高めですが、7月中旬以降に限ると-0.11となり、目立った相関があるとは言えません。

 かい離が拡大した要因が相対的なドルの弱さなのか、ユーロの強さなのか、ユーロ圏の金利の低さによるものか判断が難しいところです。ただ、これまで歴史的に連動性が高かったこともあり、ユーロ・ドルの下落、あるいはユーロ圏の金利上昇といった要因から、再び連動性が高まることも考えられるので、注意しておきたいところです。



2011年9月5日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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