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外為マーケットコラム

ドル・円のこう着状態は続く、欧州債務懸念はやや後退か

【ドル・円は動きにくい展開か】
 6日以降、欧州債務危機への懸念が後退したことから、円は売られたものの、ドルも売られたことでドル・円は1ドル=76円台でのもみ合いの域から抜け出せていません。リスク回避の動きが強まると、円はドルとともに買われ、逆のケースではいずれも売られるため、ドル・円はこう着状態から抜け出しにくい状況が続きそうです。

 日米欧の株価は経済指標や欧州債務問題に振り回されて乱高下しています。米経済指標はそれほど良好というわけではないものの、悲観一色というほど悪くもありません。5日の米ADP雇用統計やISM非製造業景況指数は市場予想を上回りました。7日の米雇用統計も非農業部門雇用者数は10.3万人増となり、事前予想の6万人増を上回っています。

 米経済指標が好転すると、米国金利の上昇により、ドルは買われやすくなり、ドル・円は本来円安に傾きやすくなります。ただ、米経済指標の好転がリスク指向につながると、ユーロ・ドルはユーロ買い/ドル売りの動きとなり、このドル売りの動きが波及すると、ドル・円は円安に振れにくくなります。

 最近の外為市場では、ドル・円は蚊帳の外という感じで、上にも下にも大きく動きにくく、1ドル=76〜77円台でのレンジ相場が継続しそうです。仮に欧州債務危機への懸念後退、米国経済指標の好転といった材料が重なっても、78円台まで戻すのがやっとで、80円回復は難しいでしょう。

【EFSF機能拡充案が発効か】
   最近の欧州市場では、ギリシャの債務危機に端を発して、それがポルトガル、イタリア、スペインへ波及するとの懸念が広がりました。こうした国々の国債を大量に抱える金融機関は自己資本が損なわれる可能性が出てきており、金融システム不安の拡大につながる可能性が出てきました。また、ユーロ圏の景気の減速懸念もあり、欧州の株価が乱高下して、ユーロも一時大きく売られました。

 ギリシャの債務問題以上にユーロ圏の銀行の資本不足が懸念され、流動性への不安も広がり、金融システム不安が広がりつつありました。そうした中、欧州中央銀行(ECB)は政策金利を予想通り1.50%に据え置く一方で、1年物資金の供給オペとカバードボンド買い入れの再開という流動性供給措置を発表しています。

 また、ドイツのメルケル首相は公的資金注入を含めた金融機関の資本増強を指示する考えを表明。さらに欧州委員会のバローゾ委員長は、欧州連合(EU)加盟国に対して、銀行の資本増強策の協調措置について提示する方針を発表しました。さらに9日には独仏首脳会談で、11月の20カ国・地域(G20)首脳会議までに、新たな債務危機対策を打ち出す方針が示されたことが、債務危機への懸念後退につながりました。

 今後、金融システム不安の拡大を食い止めるために、欧州の金融機関の資本増強が実行される見込みです。まずは銀行が市場での資金調達に動き、それが難しければ、各国の政府、そして欧州金融安定ファシリティー(EFSF)へ支援を求めるという段階を踏みそうです。17日から23日に延期されたEU首脳会議でも域内金融機関の健全性を保つための公的資金注入などが議題となる見通しです。

 7月21日にユーロ圏首脳会議で合意した欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の機能拡充案は次回のEU首脳会議までには、17の加盟国すべての承認が得られる見通しです。すでに16カ国では承認されており、残るはスロバキアのみとなっています。なお、拡充案が発効するにはすべての国で承認が必要となります。なお、EFSFの機能拡充案とは、(1)域内の国の国債を購入、(2)域内の銀行の公的資金注入に活用、(3)資金繰りが懸念される国への予防的融資の実施といった内容となっています。

 これが発効した場合、金融システム不安をさらに後退させることが期待できます。欧州外の国からは今回の債務危機に対して「動きが遅い」「対策が不十分」といった不満が出ており、十分な規模で迅速な対応をすることが求められます。これに加えて独仏首脳が表明した債務危機対策が具体化すれば、債務危機への懸念は一段と後退しそうです。

 ギリシャとEU、ECB、国際通貨基金(IMF)の3者調査団は、次回融資に向けての協議を終了しました。ギリシャのベニゼロス財務相が、7月に合意されたギリシャ向け第2次支援について、民間投資家に対して当初の想定以上の関与を見込んでいると表明しています。 金融機関など従来以上の元本削減を迫られる可能性を示唆しています。次回のギリシャ向け融資がいつごろ実施されるかが注目されます。

 銀行の資本不足に対しては、域内の各国で資本注入に向けて動きが具体化するとみられ、そうなれば金融システムへの懸念は後退して、ユーロ・ドルは1ユーロ=1.38〜1.39ドル前後まで上昇の可能性が出てきます。ただ、会議ばかり繰り返して具体的な行動が伴わない場合やギリシャの次回融資が先延ばしされるようなら、失望感から1ユーロ=1.30ドルへ向けて再び下落することとなりそうです。

【豪ドルやポンドは10月に上げやすい(月足の陽線確率)】
 グラフは10月に陽線(陽線とは始値よりも終値の方が高いこと)になりやすいかどうかについて、主要通貨と金や原油などについて2001年〜2010年の10年間について月足の統計を取ったものです。これによると、豪ドル・円、豪ドル・米ドル、ポンド・円、ポンド・ドルは上昇しやすい月となっています。すなわち、円やドルに対して豪ドルやポンドは買われやすい傾向があると言えます。

 これによると、この4通貨は過去10年間で7〜8回が陽線で引けており、月初に比べて上昇しやすい傾向があります。円やドルは豪ドルやポンドに対して、円安、ドル安に振れやすくなっています。ちなみにドル・円は過去10年間で5回上昇、5回下落となり、統計上の偏りはありません。

 他通貨では、ユーロ・円はドル・円と同様に偏りがなく、ユーロ・ドルも過去10年間で6回上昇していますが、豪ドルやポンドほどの偏りはありません。ニューヨーク原油(WTI原油)やドル建て金現物も目立ったバイアスはありません。ただ、NYダウは7回上昇しており、買い有利な月となります。



2011年10月11日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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