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外為マーケットコラム

欧州債務危機が一段と後退すればドル・円はじり高か

【ドル・円は小幅上昇か】
 ドル・円は固定相場制に戻ったかと思われるほど、値動きに乏しい日が続きました。ただ、12日には欧州債務危機が後退したことから、対主要通貨でドル売りと円売りの動きとなり、そうした中、ドル・円は一時1ドル=77円台半ばまで円安に振れました。

 なお、欧州債務危機への懸念が後退したことで、米国の金利は徐々に上昇しています。米10年債利回りは3日の1.82%付近から2.26%前後まで上昇しています。2年債利回りもじり高で推移しており、日米の2年債利回りの差も拡大基調にあります。ドル・円と日米の2年債利回りの差の相関はやや低下しているものの、米国長期金利の上昇はドル・円にとっては上昇要因となります。

 米国では米連邦準備理事会(FRB)がツイストオペの導入で、短期債を売却して、長期債を買い入れるオペレーションを導入したものの、長期金利が上昇するという皮肉な結果となっています。ただ、米国の経済指標は7日に発表された米雇用統計の代表されるように予想を上回るものもあり、悲観一色というわけではなく、経済指標の結果次第では長期金利は下げ渋る可能性も出てきます。

 ドル・円は引き続き動きの鈍さが見込まれます。欧州の債務懸念が一段と後退して各国の株価が上昇すれば、リスク志向の高まりにより米国債が売られて米国金利が上昇して円安要因となります。ただ、ドル・円の上昇は緩やかなものとなり、1ドル=78〜79円台まで戻しても、80円台回復は難しいでしょう。欧州債務危機が解決へ向けて進展せず、主要国の株価が低迷するようなら、1ドル=76〜77円台を中心とするレンジ相場が続きそうです。

【欧州債務問題は解決へ向けて進展か】
   欧州の債務問題は、ギリシャの債務危機とユーロ圏の銀行の資本不足や金融システム危機が懸念材料となっています。ギリシャやポルトガルなどの国債を大量に抱える銀行の経営状態が懸念され、債務危機が銀行危機へと広がりを見せつつあります。

 こうした危機に対応するための対策が打ち出されつつあります。9日にはドイツのメルケル首相とフランスのサルコジ大統領が欧州の銀行の資本増強を進めることで全面的に一致しました。さらに12日に欧州委員会のバローゾ委員長は、銀行の財務体質強化へ向け、自己資本比率の大幅な引き上げや、自己資本が不十分な銀行へは資本増強を促す方針を示しています。また、恒久的な安全網となる欧州金融安定メカニズム(ESM)の発足時期を当初予定の2013年半ばから1年前倒しするように提案しています。

 今後の金融不安の拡大を防ぐために、早期に十分な資本注入を行うことや迅速な当局の対応が求められます。金融機関を保護するためのセーフティネット(安全網)が確立されれば、市場の不安も緩和に向かうこととなります。23日の欧州連合(EU)首脳会議で、債務危機解決に向けて、具体策や今後のスケジュールが固まることが期待されます。14〜15日に開催された20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議でも、23日のEU首脳会議で欧州債務危機への対応が打ち出されることへの期待感が表明されました。

 なお、7月21日にユーロ圏首脳会議で合意した欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の機能拡充案は、13日にスロバキアで承認され、17カ国すべてで承認されました。EFSFの機能拡充案とは、域内の国の国債を購入、域内の銀行の公的資金注入に活用、資金繰りが懸念される国への予防的融資の実施といった内容となっています。

 銀行の資本不足解消に向けては、まずは銀行が自力で資金調達に動き、それが難しければ各国の政府による公的資金注入、そして欧州金融安定ファシリティー(EFSF)へ支援を求めるという段階を踏むこととなる見通しです。EFSFの機能拡充案が承認されたことで、安全網がそれだけ広がることとなり、金融システム不安の後退につながりそうです。

 EU、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)の3者調査団はギリシャに対する調査を終了して、次回融資を実施することで合意しました。次回融資80億ユーロは11月上旬に行われる予定です。なお、ユーロ圏の当局者によると、民間部門(銀行)のギリシャ向け債権のヘアカット(債務元本の減免)が、7月21日のEU首脳会議で合意した21%から50%程度に引き上げられる可能性が出てきました。

 ユーロ・ドルはEFSFが加盟17カ国で承認されたことや、銀行の資本不足解消への期待感から、上昇基調で推移しており、1ユーロ=1.38ドルを突破してきました。ギリシャ向けの債務元本の削減や銀行の資本不足解消へ向けた対策の具体化などにより、金融システム不安や債務危機への懸念が一段と解消に向かえば、1ユーロ=1.40ドルへ向けて上昇しそうです。ただ、ユーロ圏の景気動向は先行き不透明であり、1.40ドルを超えての上昇には経済指標の好転も必要となりそうです。なお、23日のEU首脳会議で債務危機克服へ向けた具体策がまとまらないようだと、失望売りから1.35ドル割れまで下落することとなりそうです。

【豪ドル・ドルと世界の株価指数に注目】
 グラフはMSCIワールドインデックスと豪ドル・ドルを表示したものです。MSCIワールドインデックスとは、日本を含む先進国の株を元に構成される株価指数で、1969年12月31日を100としています。新興国の市場は含まれていません。グローバルな株式運用を行う際などのベンチマークとして利用されています。

 豪ドル・ドルとMSCIワールドインデックスは、上げ幅や下げ幅は連動するとは限らないものの、チャート上の山と谷は一致するケースが多く、似たような動きを見せています。MSCIワールドインデックスは、先進国の株価指標であり、また、豪ドルは資源国通貨の代表的な通貨であり、豪ドルは世界的な景気動向を色濃く映していると言えそうです。

 豪州といえば、天然資源の輸出を中心に中国との結びつきが強いですが、豪ドルと中国を代表する株価指数である上海総合指数の連動性は最近はやや低下しています。豪ドルについては、中国の景気動向や株価指数は重要ながら、先進国の株価動向により影響を受けやすくなっています。



2011年10月17日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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