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外為マーケットコラム

円売り介入の効果がどの程度続くかに注目

【ドル・円は円売り介入から急伸】
 欧州債務危機への対応への状況を眺めつつ、ユーロ・ドルが堅調な推移を見せてきました。対ユーロでドルが売られたことで対円でもドルが売られて、ドル・円は何度か戦後最高値を更新して、31日早朝には一時1ドル=75円台前半まで円高に振れています。安住財務相は「必要に応じて断固とした対応を取る」との口先介入を繰り返していたものの、75円台でも日本の金融当局による円売り介入はありませんでした。

 ところが、31日の午前に政府・日銀による円売り介入から、ドル・円は1ドル=75円台後半から79円台まで急伸しました。今後、介入がどの程度の規模で、どれくらいの期間続くかが注目されます。きょう1日だけのものとなるなら、ドル・円は上昇一服後に再び円高に振れる可能性が高まりそうです。

 米国では消費者信頼感指数などセンチメントを示す指標は悪化傾向を示しているものが多くみられます。ところが、小売売上高、耐久財受注など実体経済を示す指標は予想を上回るものも多く、企業業績も好調なケースが多くなっています。また、第3四半期の米国内総生産(GDP)は、第2四半期と比べて伸びが加速しています。米国の景気に対する2番底懸念は行き過ぎとみられます。米連邦準備理事会(FRB)のイエレン副議長やNY連銀のダドリー総裁が追加緩和の可能性に言及していますが、現時点ではそこまで景気の悪化を心配する必要はないでしょう。

 リスク資産の逃避先として米国債が買われる傾向は続くと見られるものの、米国株が堅調な動きを見せていることなどもあり、米10年債利回りは2.30〜2.40%付近まで上昇しています。株価や金利水準を見る限り、米国の景気への悲観論は後退することとなりそうです。

 米長期金利が上昇しており、本来ならもっとドルが買われて、ドル・円は上昇してもいいはずです。ただ、欧州債務危機が主なテーマとなっている現状では、米国株の上昇はリスク志向の高まりにつながり、ドルが売られる展開となりました。裏を返すとドル・円は売られて、円高が進みやすい地合いとなっています。このため、介入効果がどの程度続くかが注目されます。

 今後は、日本の金融当局による円売り介入への警戒感から、1ドル=75円台に突入するような円高にはなりにくくなることが見込まれます。方向性が読みにくくなる中、1ドル=76〜80円前後での推移となりそうです。ただし、介入が一時的なものとなれば、再び円高に振れる可能性も念頭に置いておきたいところです。

 今週は注目度の高い経済指標などの発表が相次ぐため、その動向も注目されます。1日に米ISM製造業景況指数、2日に米連邦公開市場委員会(FOMC)、バーナンキFRB議長記者会見、3日に欧州中央銀行(ECB)政策金利、ドラギECB新総裁記者会見、米10月ISM非製造業景況指数、4日に米雇用統計の発表があります。

【欧州債務危機対策で合意】
 欧州債務危機を解決するための「包括戦略」は、銀行の資本増強、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の規模拡大、民間部門(銀行)によるギリシャの債務減免が主な柱となっています。26日から27日にかけて、これらの対応策で合意ができたことで、債務危機への懸念は後退しつつあります。

 26日の欧州連合(EU)首脳会議では、銀行の資本増強について、中核的自己資本比率を2012年6月末までに9%に引き上げることで合意しました。欧州銀行監督機構(EBA)の試算では、この基準を満たすために必要な追加資本の規模を1,060億ユーロとしています。

 また、民間部門のギリシャの債務削減率を50%とすることで、銀行とユーロ圏当局者が合意しました。また、EFSFの規模を現状の4倍程度の1兆ユーロとすることでも合意しています。EFSFの規模は現状では4,400億ユーロで、ギリシャ、アイルランド、ポルトガルなどへの支援分を除く利用可能額は2,500〜2,750億ユーロとなっています。

 これにレバレッジをかけて1兆ユーロ程度の規模とする見通しです。レバレッジを利用したEFSFの運用方法などについては、今後、ユーロ圏財務相会合でとりまとめを行います。債務危機への対応で欧州首脳の危機感の高まりが、対応策での合意に結びつきましたが、問題はこれらが確実に実行されるかです。

 今後は具体策のとりまとめと、その実行が市場の注目を集めることとなります。31日には日銀によるドル買い/円売り介入の影響で、ユーロ・ドルは上値を抑えられています。この動きが落ち着きを見せ、債務危機対策が着実に実行されるか、その見通しが立てば、ユーロ・ドルは1ユーロ=1.45ドルへ向けて一段と上昇する可能性が高まります。ただ、各国間の利害の対立などから具体策の実行に支障を来たすようなら、1ユーロ=1.35ドルへ向けて下落することとなりそうです。

【ユーロ・ドルの大口投機家の売り越しは高水準 CFTC建玉明細】
 米商品先物取引委員会(CFTC)は現地時間の毎週金曜日にその週の火曜日時点での建玉明細を発表しています。この中で、大口投機家の売り越し幅、買い越し幅の変動は、相場の方向と連動性が高いケースが多く、特に注目されています。

 グラフはユーロ・ドルの大口投機玉の建玉明細のグラフで、水色はユーロ・ドルの終値(これのみ左軸)、緑の棒グラフは買い玉、ピンクは売り玉です。赤は買い玉から売り玉を差し引いたネットポジションで、最も注目される数値となっています。赤のグラフがゼロより下にあるときは大口投機玉は売り越し、赤がゼロより上なら買い越しとなります。

 グラフによると、水色の価格と赤のネットポジションは連動性が高いことが見て取れます。なお、7月以降は、動きの方向性はおおむね同方向ながら、売り越しが増えても価格があまり下げなくなり、むしろ上昇に転じています。これはファンドなどの大口投機家の売り越し以上に当業者の買い越しが大きいためとみられます。

 大口投機家の売り越し枚数は、10月25日時点で76,512枚となり、9月下旬以降は7〜8万枚前後の売り越しで推移しています。一方、当業者の買い越しは104,642枚の買い越しとなり、9月下旬以降、10万枚超の水準で推移しています。このように欧州債務危機の影響で大口投機玉は、売り越しに大きく傾いているものの、逆に当業者は買い越しに傾いています。大口投機家の売りと当業者の買いが交錯する中、価格は安値から戻り歩調にあります。今後、欧州債務危機への具体的な対応次第で、投機玉や当業者の玉の偏りにも変化が出てくることと思われます。



2011年10月31日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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