FX・為替比較はALL外為比較

  • FX会社を探す
  • FXの基礎知識
  • Q&A
  • 外国為替マーケット予想

ALL外為比較 > 外為マーケットコラム > ギリシャの動きに注目、市場の混乱は収束するか

外為マーケットコラム

ギリシャの動きに注目、市場の混乱は収束するか

【円売り介入でドル・円は水準訂正】
 10月の下旬にドル・円は1ドル=76円を割り込み、75円台まで円高が進みました。こうした中、安住財務相は「円高が行き過ぎれば断固たる措置」とのコメントを繰り返していたものの、実際の介入はなくじりじりと円高が進むこととなりました。

 ドル・円はリスク回避の円買いから、10月31日早朝に1ドル=75円台前半まで円高が進みました。政府・日銀はここから円売り介入に動いて、一気に79円台半ばまで円安に振れました。介入による円売り一服後は、77円台後半から79円近辺での推移となっています。円売り介入への警戒感から78円割れでは下げ渋りを見せやすくなっています。

 2日(日本時間の3日)の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利を据え置くとともに景気を刺激するため住宅ローン担保証券のさらなる買い入れを示唆しました。なお、来年の経済成長率見通しを6月時点の3.3〜3.7%から、2.5〜2.9%に下方修正しています。ただ、今年第3四半期の経済成長は幾分強まったとの認識を示しました。

 米国の経済指標は強弱入り混じる格好となっています。こうした中、米10年債利回りは一時2.40%台まで上昇したものの、ギリシャの債務問題が再燃したことから一時2%を割り込むなど、金融市場はなかなか落ち着きを見せるには至っていません。

 ドル・円は円売り介入への警戒感から1ドル=78円割れから大きな崩れはなさそうです。ただ、大きく円安に進むような状況ではなく、各国の経済指標や株価動向を眺めつつ、77〜79円台での推移が見込まれます。

【ギリシャの混乱は落ち着くか】
 10月26日〜27日にかけて、欧州債務危機への「包括戦略」がまとまりました。これは銀行の資本増強、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の規模拡大、民間部門(銀行)によるギリシャの債務減免が柱となっています。これがまとまったことで、債務危機への懸念も落ち着き、金融市場も落ち着きを取り戻すかに思われました。

 ところが10月31日にギリシャのパパンドレウ首相が同国向けのギリシャ支援策受け入れの是非について国民投票を実施する意向を表明して、世界中に驚きと怒りが広がりました。これを受けて、ユーロ・ドルだけでなく、欧米株を中心に主要国の株価が急落しました。

 3日の20カ国・地域(G20)首脳会議を前に、フランスのサルコジ大統領とドイツのメルケル首相がパパンドレウ首相を交えて協議を行っています。独仏首脳はギリシャへの次回融資80億ユーロを先送りすることを決め、先週合意された救済策をギリシャが国民投票で否決すればギリシャは欧州から全ての支援が受けられなくなると警告しました。

 ドイツのメルケル首相はギリシャのユーロ圏離脱も視野に入れた考えを示し、ユーログループのユンケル議長もギリシャがユーロ圏を離脱した場合のシナリオについて協議していると明らかにするなど、ギリシャに圧力をかけました。この結果、ギリシャのパパンドレウ首相は国民投票を実施しない意向を表明しました。

 さらにギリシャでは、6日に与野党が連立政権樹立で合意、パパンドレウ首相は退陣すると発表されました。欧州連合(EU)では、7日のユーロ圏財務相会合までに挙国一致内閣樹立の道筋をつけるよう要求しています。ギリシャが新政権の樹立に向かっていることもあり、ギリシャ問題を巡る政治的混乱は落ち着くことが期待されます。

 ただ、ギリシャ国内ではデモが続くなど、まだ混乱が収束したと見なすことはできません。このため、ユーロ・ドルは欧州の当局者のコメントなどに一喜一憂しながら、1ユーロ=1.35〜1.40ドルのレンジで荒れた動きとなりそうです。債務危機への懸念が一段と後退すれば、1ユーロ=1.40ドルを回復してさらに上値を追う可能性もありますが、ギリシャ情勢はまだ不透明で楽観するのは危険でしょう。

 なお、欧州中央銀行(ECB)は3日の理事会で、政策金利を1.50%から1.25%に引き下げました。債務問題の深刻化が背景にあり、市場予想に反しての利下げとなりました。理事会後の記者会見で、ドラギ新総裁は、ユーロ圏が今年後半から緩やかなリセッション(景気後退)に陥る可能性があると述べており、ユーロ圏の景気動向も注目されます。

【イタリアの利回り上昇続く】
 10月26日から27日にかけて、EUは欧州債務危機を解決するための「包括戦略」で合意しました。ただ、その後もイタリアとスペインの利回りは低下せず、特にイタリアの10年債利回りは6.3%超まで上昇してきました。ギリシャ情勢の不透明感やイタリアの財政問題への懸念から下げにくくなっています。

 グラフは債務問題が懸念されるポルトガル、アイルランド、イタリア、スペインの10年債の利回りとドイツ債の利回りの差を表示したものです。利回りの差はリスク・プレミアムと見ることができます。この差が大きいほど、その国への財政状況への懸念が高いと言えます。

 ドイツ債との利回りの差は、ポルトガルは高止まりしているものの、アイルランドは銀行への資本注入と財政再建策の表明によりピークから低下しています。これらの国に比べて低いものの、イタリアとスペインは上昇傾向にあります。両国の財政問題への懸念の根強さがうかがえます。

 イタリアの10年債利回りは6%を超えていますが、7%を超すと市場での資金調達が困難になると言われており、イタリアが財政再建に取り組む姿勢が注目されます。イタリア、スペインのような経済力の大きな国の財政問題が引き続き懸念されるようだと、欧州の債務危機はさらに深刻化の度合いを増すこととなるでしょう。



2011年11月7日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

 オーバルネクストは、国内外の先物取引や為替情報に関する各種のニュースやデータを配信、またこれらの情報に伴うシステム開発を行っております。スピードと正確性に富むニュースやデータの配信に加え、オーバルネクスト独自の情報分析を含む各種コンテンツを一般投資家や各種ブローカーの皆様へ幅広く提供しています。
詳しくはこちらをご覧ください

コラム一覧へ戻る

当社は「ALL外為比較」に掲載される情報(以下「掲載情報」といいます。)の完全性および正確性を保証いたしません。

また掲載情報は、将来における結果を示唆するものではありません。

したがいまして、お客様において掲載情報に基づいて行動を起こされた場合でも、当社はその行動結果について何らの責任も負担いたしません。

掲載情報に基づく行動は、お客様の責任と判断によりお願いいたします。掲載情報は、金融商品の売買等の勧誘を意図したり、推奨するものではありません。

お客様において掲載情報に含まれる金融商品の売買等の申込等をご希望される場合には、その掲載情報に記載の金融機関までお客様ご自身でお問い合わせください。

当社はお問い合わせに関し対応いたしかねます。

掲載情報のうち「外為マーケットコラム」等に関しましては、著作権法等の法律により保護されており、

個人の方の私的使用目的以外での使用や権利者に無断での他人への譲渡、販売コピーは認められていません。