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外為マーケットコラム

イタリアの財政懸念は落ち着きを見せるか

【ドル・円はやや上値重く推移か】
 ドル・円は1ドル=78円付近から下落して、77円台前半まで下落しました。ただ、値動きは小幅にとどまっています。イタリアの債務懸念でドル買いの動きとなっても、円も同時に買われやすいため、大きく動きにくい状況となっています。

 イタリアの債務懸念を背景に主要国の株式、金融市場は振り回されています。9日には欧米株が急落、10日のアジア市場もこの流れを受けて全面安となりました。ただ、10日にはイタリア国債の利回りが7%を割り込み、欧米市場の株価も落ち着きを見せました。11日にはイタリア上院が財政安定法案を承認したことで、欧米株は大幅に上昇しています。

 各国の金融市場は、引き続きイタリアの債務問題に振り回される展開が見込まれます。イタリアでは国債の急落(利回りの急上昇)を背景に危機感が台頭して、与野党が大連立により挙国一致内閣の発足へ向けて動き出しました。13日にはベルルスコーニ首相が辞任して、新首相にモンティ元欧州委員が指名されて、一時のような懸念は後退しています。ただ、今後、イタリアの財政問題の解決へ向けての道筋は不透明で、今後も同国の動向に左右される展開が続きそうです。

 ドル・円は緩やかですか軟調な推移が続いており、1ドル=77円台前半まで下落しました。引き続き77円台を中心としたレンジ相場が続きそうです。やや上値重く推移しており、リスク回避の円買いが加速すると、76円台へ突入する可能性もありそうです。

【焦点はギリシャからイタリアへ】
 市場の関心はギリシャからイタリアへ移っています。8日にイタリアのベルルスコーニ首相が辞意を表明したものの、イタリア国債の売り圧力は強く、10年債利回りは7%を突破しました。欧州の証券決済期間であるLCHクリアネットがイタリア国債を取引する債の証拠金を引き上げたことなどが背景にあります。

 利回りが7%を超えたあたりで、ポルトガルやアイルランドは救済を余儀なくされており、そのころから両国の国債利回りは上昇に歯止めが掛からなくなりました。このため、市場では7%を重要なポイントと見ています。

 なお、10日のイタリア国債の入札利回りが予想よりもやや低かったことなどもあり、10年債利回りは7%を下回りました。8日の利回りの上昇の背景には、LCHクリアネットによる証拠金引き上げで、証拠金増加を嫌った投資家による手じまい売りが一時的に加速したこともあります。このため、イタリア国債がポルトガルやアイルランドのように急激な利回り上昇が続くことはないでしょう。

 11日にはイタリア上院が財政安定法案を可決したことを受けて、同国の国債利回りは6.5%台まで大きく低下しました。目先は14日に実施される30億ユーロの5年債入札が注目されます。なお、13日にモンティ新首相が指名されたことで、一時に比べて債務危機への懸念は後退しそうです。ただ、引き続き、同国の財政再建へ向けての動きが注目されます。

 欧州債務危機が周辺国から主要国に拡大するとの懸念もあり、フランス10年債の利回りが10日には3.5%近辺まで上昇しました。リスク回避の動きからドイツ国債が買われて利回りが低下しており、フランスとドイツ国債の利回りの差がじりじりと拡大しました。ただ、11日にはイタリア上院が財政安定法案を可決したことで、欧州の株価は大幅高となり、フランス国債の利回りも低下して、ドイツ債との差も縮小に転じています。

 10日に格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)がフランスの格付け変更を示唆する文書が誤って社外に流失したことも、市場を混乱させました。人騒がせな話ですが、S&Pがフランスの「AAA」格付けに変更がないことを確認したことで、この問題は落ち着きを見せています。

 なお、ギリシャでは11日に前欧州中央銀行(ECB)副総裁のパパデモス氏が新首相に就任しました。新政権が発足したことで、欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)による次回融資80億ユーロが11月中にも実行されることが期待されます。

 ユーロ・ドルは、イタリアの財政問題が焦点となり、財政問題に関するニュースや当局者のコメントなどにより、振り回される展開となりそうです。このため、1ユーロ=1.35〜1.40ドルのレンジで荒れた動きが見込まれます。イタリアの債務懸念が後退すれば1.40ドルへ向けて上昇することとなり、逆に財政再建が足踏みするようなら、1.35ドルへ向けて下落することとなりそうです。

【豪ドル・円は年末にかけて上昇か】
 グラフは豪ドル・円の過去の季節性データと今年の価格の推移を示しています。青の線は過去のデータを指数化したものです。1年間の安値をゼロ、高値を100として、それを2001〜2010年(過去10年分)を平均したのが青の線です。これでおおよその過去の季節的な値動きを把握することができます。赤の線は今年の値動きで、指数でなく価格そのものを示しています(右軸)。

 両者のグラフを比べると、青の季節性グラフは9月のはじめが谷になっているのに対して、今年の値動きは10月はじめが谷になっており、約1カ月のずれがあります。例年のパターンに1カ月遅れで追随しているとすると、今後、年末にかけて上昇が見込まれます。

 過去のパターンを1カ月遅れで歩むとすれば、この先の下落局面は上昇途上の押し目と考えることができそうです。過去のパターンはあくまでも過去データの平均であり、今年同様なパターンを再現するとは限りませんが、先行きを予測する上でのひとつの判断材料にはなりそうです。なお、今年の動きを見る限り、他通貨に比べて豪ドル・円は過去のパターンと似た動きをしやすい通貨と言えます。



2011年11月14日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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