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外為マーケットコラム

欧州債務危機の拡大に懸念

【ドル・円はこう着状態か】
 ドル・円は1ドル=76〜77円台での推移が続いています。欧州債務危機の影響で円は買われやすい地合いにあるものの、介入警戒感が一段の円高を抑えています。また、リスク回避の動きから円とドルが買われやすくなっており、ドル・円は大きく動きにくくなっています。

 格付け会社フィッチ・レーティングスが、欧州の債務危機が広がれば、米金融機関にとって深刻なリスクとなるとのレポートを発表しました。今のところは米金融機関の見通しは安定しているものの、今後、欧州債務危機の広がりが食い止められないと、金融機関だけでなく、世界的に実体経済に悪影響を及ぼすことが懸念されています。

 欧州の債務危機の影響で、欧州の株式だけでなく、米国やアジアの株も売りに押されやすくなっています。債務危機の影響が長期化すると、株安や景気減速が世界的に広がる可能性が出てきそうです。明るい材料としては米国の経済指標は良好なものも多く、必ずしも悲観的な材料ばかりではないことです。ただ、最近の市場の注目は欧州債務危機に集中しており、米経済指標が良好でも株式市場や金融市場があまり反応しないケースも多くなっています。

 日銀は16日の金融政策決定会合で、政策金利を据え置くとともに、国債などの資産買い入れ枠も55兆円で据え置いています。資産買い入れ枠は、10月27日の金融政策決定会合で、50兆円から55兆円に増額されたばかりで、大方の予想通りの結果となり、市場へのインパクトは乏しいものでした。なお、その後の記者会見で日銀の白川総裁は欧州の債務問題を「最大のリスク要因」と指摘しており、この問題が世界経済へ及ぼす悪影響に懸念を表明しています。

 市場の関心が欧州債務問題に集中している状況では、ドル・円を活発に仕掛ける向きは少ないとみられ、目先は小幅な値動きが続きそうです。このため、1ドル=76〜77円台を中心とするレンジ相場が見込まれます。なお、円が堅調な中、ユーロが売られやすい地合いのため、ユーロ・円は1ユーロ=100〜101円台まで下落する可能性も出てきました。

【広がりを見せる欧州債務危機】
 欧州の債務危機はギリシャからイタリアに飛び火して、イタリアの10年債利回りは一時7%を超えました。危機の波及はイタリアだけにとどまらず、スペイン、フランスなどの利回りも上昇傾向にあります。

 17日のスペインとフランス国債の入札では、スペインの10年物国債の入札利回りが7%に接近して、1997年以来の高水準となりました。フランスの2〜4年物国債の入札では借り入れコストが従来に比べて約0.5%上昇するなど、債務危機の影響が主要国まで広がりつつあります。特にスペイン国債の入札が不調に終わったことで、同国の10年債利回りは一時6.8%前後まで上昇しました。この日は債務危機の波及を懸念して、欧州株だけでなく、米国株も下落しました。欧州債務危機の影響で、安全資産への逃避として米国債が買われて、米10年債利回りは2%を割り込む場面も見られます。

 16日にギリシャではパパデモス新内閣発足に伴う信任投票で、新内閣は賛成多数で信任されました。一方、イタリアではモンティ首相率いる新政権が発足しました。銀行経営者や有識者など全閣僚が政治家ではなく、専門家を集めて欧州債務危機を乗り切ることを目指しています。なお、モンティ政権では、追加の財政再建策を実施する検討に入っており、財政不安を払しょくして、高止まりしている国債利回りを低下させることを狙っています。

 ただ、ギリシャにしてもイタリアにしても、財政再建へ向けての歩みは依然として不透明で、市場の懸念を払しょくするには至っていません。財政再建へ向けて具体的な進展が期待されます。今後、欧州の債務危機の打開へ向けてカギを握るのは29日のユーロ圏財務相会合となりそうです。ここでは債務問題克服へ向けて、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)にレバレッジ機能を付加して、法制面や運用面での詳細を煮詰める見通しとなっています。

 ユーロ・ドルは、債務問題の動向に左右されそうです。1ユーロ=1.35ドルを中心にしての動きが見込まれますが、主要国での国債利回りが上昇して、先行きに悲観的な見方が強まるようだと、1.30ドルへ向けて下落する可能性が高まりそうです。悲観的な見方が後退しても、1.37ドル前後まで戻すのがやっとでしょう。

【豪ドル・円と世界の株価指数の関係】
 グラフはMSCIワールドインデックスと豪ドル・円を重ねて表示したものです。MSCIワールドインデックスとは、日本を含む先進国の株を元に構成される株価指数で、1969年12月31日を100としています。新興国の市場は含まれていません。グローバルな株式運用を行う際などのベンチマークとして利用されています。

 今年の5月ころから、両者は極めて連動性が高くなっています。グラフの期間全体では両者の相関係数は0.88と極めて高くなっています。相関係数とは、2つのデータ間の関連性の度合いを示す指標です。-1.0〜1.0の範囲で動き、1.0で完全に同じ動き、-1.0で全く逆の動き(逆相関)、ゼロなら相関なしと判断されます。この数字が1.0に近いほど値動きが似ていると言え、0.8〜0.9なら極めて相関が高く、動きがよく似ていると判断できます。

 MSCIワールドインデックスは、先進国の株価指標であり、また、豪ドルは資源国通貨の代表的な通貨であり、豪ドルは先進国を中心とする世界的な景気動向を色濃く映していると言えそうです。豪ドル・円はスワップ金利も高めで、個人投資家には人気の通貨です。今後、豪ドル・円の方向性を予測する上では、世界の株価動向に注目しておくべきと思われます。



2011年11月21日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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