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外為マーケットコラム

欧州債務危機への懸念収まらず

【ドル・円は活発な動きはなさそう】
 欧州債務危機が一段と深刻化したことで、欧米の株価が下落しており、リスク回避の動きからドルが買われやすくなっています。ドル指数は25日に79.70まで上昇して、今年10月4日以来の高値をつけました。

 なお、ドル指数とはドルの強さを示す指標で、ユーロ、円、英ポンド、カナダドル、スウェーデンクローナ、スイスフランといった6通貨で構成されます。ユーロ・ドルやドル・円などの単一の通貨と比べてドルの強弱を把握しやすいと言われています。

 ドル・円は、ドル買いの動きから、25日に1ドル=77.79円まで上昇するなど、じり高で推移しています。ただ、欧州債務危機などの影響でリスク回避の動きが強まると、ドルとともに円も買われやすく、ドル・円は一方的に上昇しにくいとみられます。また、ドル・円が上昇すると、実需筋によるドル売り/円買いも出やすくなり、上値を抑えられる要因となりそうです。

 依然として、市場の関心は欧州債務問題が中心となっており、ドル・円はあまり活発な値動きはなく、この傾向が続きそうです。このため、目先は1ドル=76〜77円台での推移が続とみられます。ドル買いの動きから上昇しても、78円付近では上値を抑えらることとなり、あまり大幅な上昇はないでしょう。

【ドイツ国債の入札不調】
 23日に実施されたドイツ10年物国債の入札では、募集額の60億ユーロに対して、応札額が約39億ユーロにとどまる札割れとなりました。表面利率が2%と10年債としては過去最低水準だったことも影響しているものの、投資家がユーロ圏の国債への投資に慎重になっている姿勢が浮き彫りとなっています。欧州債務危機への対応でドイツの負担が増えるとの懸念が高まりつつあることも背景にあります。

 これは現時点だけの一過性の問題ではありません。ユーロ圏外の投資家は、ユーロ圏の国債への投資額を減らしています。欧州中央銀行(ECB)によると、ユーロ圏外のユーロ圏の国債への投資額は、今年第2四半期は約1300億ユーロの買い越しから、第3四半期には520億ユーロの売り越しに転じています。

 また、ドイツ連銀によると、海外投資家の独連邦債の買い越し額は、第2四半期の300億ユーロの買い越しから、第3四半期には90億ユーロの買い越しに縮小しています。ユーロ圏の国債を保有するリスクの高まりを意識して、ユーロ圏最強の経済規模を誇るドイツ国債すら投資対象から外しつつあることがうかがえます。

 欧米で株安の動きとなり、ユーロ圏の国債が売られやすくなっている現状では、安全資産として米国債に買いが入りやすくなっています。米10年債利回りは、2%を割り込む水準まで低下しています。

 ユーロ圏の主要国の10年債利回りは、イタリアが7%超まで上昇して、スペインが6%台後半までじりじり上昇しています。フランスの利回りもじり高で、3%台後半まで上昇してきました。ドイツの利回りは、1.7〜1.9%前後の低水準で推移していましたが、23日の入札が不調に終わり、その後2.2%台まで上昇しています。

 今後、ユーロ圏各国は市場に安心感を与えられるだけの対応策をとることができるのかが注目されます。債務危機対策の一環として検討されているユーロ共同債の発行については、欧州委員会で様々な案を作成して検討されているものの、ドイツのメルケル首相は断固反対しており、簡単に実現しそうにありません。

 国際通貨基金(IMF)からは、信用不安の拡大を防ぐために1兆ドル(約77兆円)規模の追加資金枠を設ける案も出ていますが、ドイツ連銀などによる反対も根強く、実現するにしても話がまとまるには時間がかかりそうです。

 ユーロ・ドルは、引き続き欧州債務問題の動向に左右されそうです。25日には格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)がベルギー国債を格下げするなど、債務危機は一段と広がりを見せています。こうした状況を眺めつつ、ユーロ・ドルは1ユーロ=1.32〜1.35ドルを中心にしての動きが見込まれます。債務危機への懸念が一段と強まるようだと、1.30ドル割れの可能性も出てきそうです。債務危機への懸念が若干後退しても、根本的な解決へ向かうわけではなく、1.36〜1.37ドル前後までの戻りにとどまることとなりそうです。

【ユーロ圏の利回り上昇が主要国にも波及】
 ユーロ圏での利回り上昇が徐々に主要国へ広がっています。グラフはドイツ、フランス、イタリア、スペインというユーロ圏加盟17カ国の国内総生産(GDP)の規模の大きい4カ国の10年債の利回りを示しています。これらの国はポルトガル、アイルランド、ギリシャなどと比べて経済規模が格段に大きく、ユーロ圏のみならず世界経済に及ぼす影響も大きくなることが懸念されます。

 イタリアはユーロ圏第3位の経済規模を誇り、支援したくとも「大きすぎて財政支援が難しい」という規模です。それだけに経済規模の大きい国の財政問題は、深刻な問題として捉えられています。

 イタリアとスペインの10年債利回りは、10月中旬以降、上昇傾向が顕著となり、イタリアは7%台まで上昇、スペインも6%台後半まで上昇しています。フランスもじり高で推移しています。利回りの上昇はその国に対する信用度の低下を意味しており、欧州債務危機への具体策の実行が求められています。

 本来、景気が改善して利回りが上昇していれば、それは通貨の価値の高まりを意味して通貨の上昇につながります。ただ、現状では利回り上昇は、リスクの増加を意味しています。このため、ユーロ圏各国での利回り上昇はユーロの信用力の低下を意味しており、ユーロの圧迫要因となっています。



2011年11月28日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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