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外為マーケットコラム

欧州債務危機への対応に左右される展開か

【ドル・円は77〜78円台でのレンジ相場か】
 欧州債務危機の動向に一喜一憂しつつ、ドルが対主要通貨で売られたり買われたりする中、ドル・円は1ドル=77〜78円台での推移が続いています。ドル・円そのものの動きというよりは、他通貨の動向にドル・円は左右されやすくなっています。

 欧州債務危機の広がりによる金融市場の緊張の高まりに対応するために、日米欧の6つの中央銀行は、30日にドル資金供給での協調行動を取ることで合意しました。金融機関がドル資金を手当てしやすくして、欧州債務危機の影響が広がりによる金融機関の資金繰りや信用収縮への対応策となります。

 この動きを受けて、30日に欧米市場では株価が急騰しており、リスク回避姿勢が後退してドルが対主要通貨で下落して、ユーロ・ドル、ポンド・ドル、豪ドル・ドルなどは大幅に上昇しました。また、株高を受けて、米10年債利回りは2%超まで上昇しました。ただ、欧州債務危機そのものの根本的な解決に結びつく対策ではなく、あくまでも「時間稼ぎ」に過ぎないため、主要中央銀行によるドル資金供給の効果がどこまで続くかは不透明となっています。

 金融市場は、引き続き欧州債務危機とその影響に左右されそうです。ただ、ドル・円は他通貨、特にドルの動向に左右されて動く傾向が強く、あまり極端な値動きとはならないでしょう。目先は1ドル=77〜78円台でのレンジ相場が見込まれます。78円台では輸出筋のドル売りに上値を抑えられやすく、79〜80円へ向けて上昇するのは難しいでしょう。

【欧州債務危機の打開へ具体策が必要】
 29日のユーロ圏財務相会合では、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の機能強化に向けて合意しました。これは財政が悪化している国の国債の元本20〜30%を保証することや、ユーロ圏の域外投資家にユーロ圏の国債購入を促すために共同投資基金を設立するというもので、いずれも来年1月に運用を開始する意向を示しています。 す。

 また、EFSFの基金の規模については当初予定していた1兆ユーロの規模に達しない可能性が出てきました。中国などの新興国がユーロ圏の国債への投資に慎重な姿勢を見せており、基金の規模を明示できていません。なお、過去にユーロ圏財務相会合などでEFSFの規模拡大や機能強化について合意したものの、ほとんど具体的な動きにつながっていません。

 そうした中、30日に中国では12月5日より、預金準備率を0.5%引き下げると発表しました。引き下げは約3年ぶりとなります。欧州債務危機の広がりが世界経済に影響を与えつつあり、中国経済も減速への懸念が強まっていることで、金融引き締めから緩和へ方針転換しています。

 ユーロ圏各国の利回りは、日米欧の6中央銀行によるドル資金供給の拡充策を背景にピークから低下しています。1日に実施されたスペインやフランスの国債入札を無難にこなしたことも市場に安心感を与えて、その後の金利低下につながりました。10年債利回りはイタリアが7.4%台から6.6%台へ、スペインは6.7%台から5.6%台へ、フランスが3.7%台から3.1%台へ低下しました。特にイタリアの利回りは危険水域と言われる7%を割り込んできました。

 今後はユーロ圏が債務危機打開へ向けて具体策をどの程度実行できるかにかかっています。米国では、経済指標が比較的良好であり、景気が2番底へ落ち込むような懸念はひとまず後退しつつあります。ただ、欧州債務危機は深刻化すると、影響は広範囲に及んで、世界的な金融不安や景気後退が広がりかねません。ここで債務危機への対策を具体化できるようなら、世界の景気動向にも明るい材料となりそうです。

 債務危機へ対応するためにユーロ圏の中央銀行が国際通貨基金(IMF)を2000億ユーロの資金を拠出するとの報道から、2日にユーロ・ドルは1ユーロ=1.35ドル台半ばまで一時上昇しました。本当に実行に移されるのかどうかが注目されます。また、5日の独仏首脳会談では、債務危機克服へ向けての欧州の制度の改革について、両国の意見の隔たりから合意が難しいとの指摘も出ています。

 目先のイベントとしては、8日の欧州中央銀行(ECB)理事会、8〜9日の欧州連合(EU)首脳会議が注目されます。ECBは次の理事会で、政策金利を現行の1.25%から1.00%に引き下げる可能性が高まっています。これに加えて、資金繰りが厳しくなっている域内の銀行に対して、新たな資金供給策を導入するとの見方も出ています。

 EU首脳会議では、欧州債務危機に対する抜本的な対策や具体策が示されなければ、債務危機への懸念は根強く残ったままとなりそうです。これまでも、会議だけは繰り返してきたものの、具体的な政策の「実行」が見られず、実質的に問題を先送りしている状況となっているためです。

 ユーロ・ドルは、欧州債務問題の動向に振り回され、その対応策や当局からのコメントに一喜一憂することとなりそうです。材料に応じて、1ユーロ=1.32〜1.36ドルを中心にしての動きとなりそうです。債務危機への打開策が何も出ないようなら、1.30ドルへ向けて一段安となる可能性も出てきます。債務危機への懸念が若干後退しても、上昇は一時的な動きにとどまり、1.40ドルまでは上昇しないでしょう。

【豪ドルは政策金利の発表日がターニングポイントに】
 チャートはオーストラリア準備銀行(RBA)のキャッシュターゲット(政策金利)の発表日を豪ドル・円の上に表示しています。黄緑の十字が豪政策金利の発表日となっています。これによると、政策金利の発表日近辺で相場が転換するケースが多く見られます。特に7月以降はその傾向が顕著と言えそうです。なお、チャートは豪ドル・円ですが、豪ドル・ドルでもおおむね似たような動きとなります。

 スワップ金利の魅力などもあり、個人投資家には人気の高い豪ドル・円ですが、今年は4月以降、9月末まで戻りを入れつつ、下げを続けました。10月に大きく上昇したものの、11月に再び下げに転じるなど、なかなか上昇基調に乗れない動きとなっています。

 次回のキャッシュターゲットの発表は、12月6日となっています。豪ドル・円は11月下旬まで下げたものの、その後切り返しています。6日近辺がターニングポイントとなるとすると、その後、再び下げに転じる可能性が出てきます。あくまでも過去の例であり、今回も再現するとは限らないものの、豪政策金利の発表日が豪ドルの転換点になりやすいことは念頭に置いておきたいところです。



2011年12月5日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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