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外為マーケットコラム

欧州債務危機の話題に左右される展開か

【ドル・円は目立った動きなし】
 欧州債務危機が市場の最大の関心事となっている現状では、ドル・円を積極的に仕掛ける向きは少なく、1ドル=77〜78円台での推移が続いています。

 米国の経済指標は強弱混ざっているものの、良好なものも多く、それほど悪いわけではありません。ただ、せっかく良好な結果となっても、欧州債務危機の影響の陰に隠れてしまっています。なお、債務危機への懸念から、米国債が買われて、米10年債利回りは一時2%を割り込む場面も見られましたが、前週末の9日には債務危機への懸念が後退したこともあり、2%を回復しています。

 今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、米経済指標が良好なこともあり、追加緩和はないとみられます。市場では、ドル資金の調達のための金利である3カ月物ドルLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)が上昇傾向で推移しています。また、ドルは対主要通貨で堅調に推移しており、ドル・円も底堅く推移しやすく、あまり大きく円高に振れることはないでしょう。

 金融市場は、引き続き欧州債務危機に関する動きに左右されそうです。ただ、ドル・円は、積極的に手がけにくく、あまり極端な値動きとはなりにくいでしょう。目先は1ドル=77〜78円台でのレンジ相場が見込まれ、78円台では輸出筋のドル売りから上値の重い展開となりそうです。

【欧州債務危機への具体策へ期待】
 5日に格付け会社スタンダード&プアーズは、ドイツやフランスを含むユーロ圏の15カ国の長期ソブリン格付けを「クレジットウオッチ・ネガティブ」に指定して、格下げの可能性を示唆しました。さらに6日には欧州金融安定ファシリティー(EFSF)のトリプルA格付けを「クレジットウオッチ・ネガティブ」として、格下げ方向で見直すとしました。

 こうした中、8日の欧州中央銀行(ECB)理事会や8〜9日の欧州連合(EU)首脳会議では、債務危機克服へ向けて対策が打ち出されるとの期待が高まりました。欧州中央銀行(ECB)は8日に開催した理事会で政策金利を1.25%から1.00%に引き下げたほか、期間3年の資金供給オペを導入すると発表しました。ただ、理事会後の記者会見でドラギ総裁が、ユーロ圏の国債購入の拡大や国際通貨基金(IMF)への融資案に否定的な見解を示しました。欧州債務危機の克服へ向けて、ECBがより積極的な役割を担うと期待する向きが多かっただけに8日にはユーロや欧米株が失望売りから下落しました。

 また、8日に欧州銀行監督機構(EBA)は、欧州の銀行は1147億ユーロの資本増強を行う必要があるとの算定結果を発表しました。これを受けて、銀行株が急落する場面もありましたが、今後、資本増強の必要な銀行が必要とされる資本の増強をきちんと行えば、銀行部門の不安が実体経済へ悪影響を及ぼすことを防ぐことにつながりそうです。

 8〜9日の欧州連合(EU)首脳会議では、債務危機克服へ向けて、ユーロ圏17カ国を中心に財政規律強化のために新条約を制定することや、欧州安定メカニズム(ESM)の発足を2012年7月に前倒しすることで合意しています。また、ユーロ圏を中心に国際通貨基金(IMF)へ2000億ユーロの拠出することでも合意しました。

 EU首脳会議は、債務危機の克服には不十分で、金融不安の払しょくは難しいとの見方も出ています。このため、ユーロ・ドルは、欧州債務危機に関するニュースや格付け会社の発表などに左右されそうです。ただ、あまり大きな崩れはないとみられ、1ユーロ=1.32〜1.35ドルを中心にしての動きが続きそうです。市場の不安心理を払しょくするような前向きな動きが出てくれば、1.35ドルを固めて一段高となる可能性も出てきそうです。

【イタリア・スペインの利回りがピーク時からは低下】
 金融市場では、各国の経済指標よりも欧州債務危機の動向が最大の関心事となっており、ユーロ圏の利回りもその動向に振り回されています。そうした中、イタリアの10年債利回りは、一時「危険水域」と呼ばれる7%台まで上昇したものの、ピークからは低下しています。スペインの利回りもピーク時からは低下しています。

 これは日米欧の6中央銀行によるドル資金の供給拡充策に加えて、イタリアが総額300億ユーロもの新たな財政再建策を取りまとめたことが好感されたためです。10年債利回りは一時7.4%前後まで上昇したものの、その後5.8%前後まで低下しました。ただ、8日のECBのドラギ総裁の国債買い入れ拡大に対する否定的な発言を受けて、利回りは再び上昇するなど、予断の許さない状況です。

 グラフはユーロ圏で経済規模の大きいドイツ、フランス、イタリア、スペインの4カ国の10年債利回りの推移を示したものです。これによると、イタリアとスペインの利回りが大きく低下した後に下げ渋っていることがわかります。ユーロ圏の国々の国債利回りは、今後も欧州債務危機に関するニュースに振り回されて、高下する展開が続きそうです。EU首脳会議を終えたことで、債務危機の克服へ向けて、前向きな動きが出てくると利回りも再び低下傾向で推移することとなるでしょう。



2011年12月12日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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