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外為マーケットコラム

欧州債務危機への対応や格付け会社の動きに注目

【ドル・円はこう着状態続く】
 日銀は、20〜21日の金融政策決定会合で政策金利を現行の0〜0.1%に据え置くとともに金融資産の買い入れ規模にも変更はありませんでした。大方の市場関係者の予想通りとなり、金融市場への目立った影響はありませんでした。

 20日のスペイン国債の入札が良好だったことや米独の経済指標が予想以上となったことなどから、欧州債務危機への懸念が後退しました。その結果、同日の欧米株は大幅に上昇して、翌日のアジア株も上昇しました。その後は米国株が堅調に推移するなど、金融市場はやや落ち着きを見せています。

 欧州債務危機への懸念から、米国債が買われて、10年債利回りは2%を割り込む状況が続いていましたが、このところの株高でリスク志向が高まり、米10年債利回りは2%を回復してきました。ただ、欧州債務危機への懸念が根強い現状では、安全資産として米国債は買われやすく、米経済指標の改善がみられても、米国債の利回り上昇は続きにくい状況が続きそうです。

 クリスマス休暇や年末年始を控えて、金融市場全般に商いが薄くなっています。ドル・円は引き続き動意に乏しい状況が見込まれ、1ドル=77〜78円台でのレンジ相場となりそうです。78円では徐々に上値が重くなり、79円までは上昇しないでしょう。

【債務危機への懸念は払しょくされず】
 20日のスペイン国債の3カ月物と6カ月物の入札では、旺盛な需要があり、いずれの利回りも前回の入札から大幅に低下しました。3カ月物利回りは前回の5.110%から1.735%に低下するなど、調達金利の低下が悪化していた市場のセンチメントの改善に貢献しました。ただ、欧州債務危機への懸念は根強く、ユーロ・ドルの上昇は一時的なものとなり、おおむね1ユーロ=1.30〜1.31ドル台でもみ合っています。

 21日に欧州中央銀行(ECB)が実施した3年物の資金供給オペでは、523の金融機関に4892億ユーロを供給しました。市場予想の1.5倍程度の規模となり、欧州の金融機関の資金繰りの厳しさが浮き彫りとなりました。イタリアの銀行だけで1160億ユーロとなり、4分の1近くを占めています。

 このオペにより、ユーロ圏の金融機関の資金繰りや流動性の改善に大きく寄与することが見込まれます。このオペは「形を変えた量的緩和」との見方もありますが、この資金のうち、イタリアやスペインの国債購入に振り向けられる分は限定的となりそうです。なお、3カ月物ドルLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)は依然として上昇傾向にあり、欧州金融機関のドル調達の環境は厳しいものとなっています。

 8〜9日の欧州連合(EU)首脳会議では、欧州安定メカニズム(ESM)の設立を2012年7月に前倒しすることや国際通貨基金(IMF)を活用した総額2000億ユーロの支援制度の構築で合意しました。IMFを活用する制度では、ユーロ圏が1500億ユーロ、その他の国が500億ユーロをIMFに融資して、緊急時に活用することを見込んでいます。

 これに関して、19日のEU財務相の電話会議では、ユーロ圏で1500億ユーロをIMFに融資することで合意したものの、非ユーロ圏で残りの500億ユーロを調達するメドは立っていません。また、ESMの規模拡大にはドイツが反対しており、ECBはユーロ圏の国債購入拡大には依然として否定的です。

 ユーロ圏では債務危機克服のために実効性のある対策を打ち出せないでいる状況に変化はありません。また、格付け会社によるユーロ圏諸国の格下げの懸念も残されています。このため、ユーロ・ドルは一時的に上昇しても、大きく買われる状況になく、格下げなどの悪材料次第で再び下げに転じる可能性が高いとみられます。

 クリスマス休暇や年末年始を控えて、商いが低調となる中、ユーロ・ドルは1ユーロ=1.30〜1.31ドル台での推移が続きそうです。もし、ユーロ圏の国債の格下げなどの材料が出てくると、年初来安値である1月10日の安値1.2867ドルを更新することとなりそうです。なお、ユーロ・ドルは売り玉が積み上がっていることもあり、買い戻しの動きから上昇に転じても、戻りは1.32〜1.33ドル台まで、一時的な動きにとどまるでしょう。

【米新規失業保険申請件数で見るNYダウの動向】
 欧州債務危機の影響で、世界の金融市場が不安定になっています。そうした中、米国株(というより世界の株価指数)を代表するNYダウは1万2000ドル前後での推移が続いていますが、今後、どのような動きが見込まれるのでしょうか?

 グラフは、米新規失業保険申請件数とNYダウを表示しています。ピンクが米新規失業保険申請件数の4週平均(左軸)で上下を逆に表示してあり、青がNYダウを示しています(右軸)。ピンクのグラフの上昇(数値は低下)は雇用情勢の改善を意味しています。このグラフからは両者の密接な動きが見て取れます。

 なお、米新規失業保険申請件数は、毎週木曜日に発表される週次のデータであり、速報性が高いことで米国の雇用情勢を把握するのに適したデータです。ただ、この統計は発表後に修正されることが多い(というより、ほぼ毎回のように修正される)という特徴があります。このようにブレの大きい統計であるため、グラフでは4週平均を採用しています。

 今年8〜10月にNYダウは1万1000ドルを割り込むなど、調整局面を迎えました。その後は1万2000ドルまで戻した後に同水準近辺でのもみ合いが続いています。この間、米新規失業保険申請件数は緩やかに減少傾向を見せており、雇用情勢が徐々にではあるものの改善傾向にあります。この点を踏まえると、NYダウは現在の水準から一段高となってもおかしくないと言えそうです。



2011年12月26日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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