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外為マーケットコラム

ユーロの先安観は払拭されず、一段安を試す展開か

【ドル・円は引き続きこう着か】
 米国の株価はおおむね堅調に推移しています。米経済指標も良好なものが多いものの、欧州債務危機への警戒感から安全資産として米国債が買われており、米10年債利回りは2%を下回っています。また、ドル・円の相場と相関の高い両国の2年債の利回りの差は0.1%前後で動きに乏しくなっています。

 こうした中、ドル・円は1ドル=76〜77円台での狭いレンジでの推移が続いています。最近は欧州債務危機が主な注目材料となっていることもあり、ドル・円を積極的に手がける向きは減っているようです。このため、目先は1ドル=76〜78円台でのレンジ相場が継続するとみられます。

 ユーロ・円はユーロ売りの動きから下げトレンドが続いて、1ユーロ=97円台前半まで下落しました。12日にスペインなどの国債入札などが順調だったことで、安値からは戻したものの、13日に格付け会社スタンダード&プアーズがフランスをはじめとする、ユーロ圏9カ国の格付けを引き下げたことで、再び下げに転じました。ユーロのセンチメントの悪化で、ユーロ・円は1ユーロ=95円割れの可能性も出てきました。

 注目される経済指標としては、17日の中国の第4四半期国内総生産(GDP)・鉱工業生産・小売売上高、ユーロ圏消費者物価指数、19日の米消費者物価指数、米鉱工業生産・設備稼働率、20日の米中古住宅販売件数などがあげられます。今は欧州債務危機への注目度が高く、経済指標の影響はやや低下しそうです。ただ、経済指標が良好な結果となれば、株高につながり、リスク志向は高まります。ただ、その場合はドルとともに円も売られやすくなるとみられ、ドル・円は動きにくい展開に変化がないでしょう。

【市場の戻りに水を差す格付け会社】
 欧州債務危機への警戒感から、ユーロ・ドルは11日に1年4カ月ぶりの安値となる1ユーロ=1.26ドル台後半まで下落しました。昨年10月以降は下げトレンドが継続してきたわけですが、12日にはスペインとイタリアの国債入札が順調な結果となったことで反発に転じました。ただ、13日には格付け会社スタンダード&プアーズが、ユーロ圏9カ国の格付けを引き下げを発表したことで、1.2624ドルまで下落しています。

 なお、格付け会社は市場が落ち着くか、良好な方向へ向かおうとすると、それに水を差すようなタイミングで格下げや格下げ警告を発して市場のセンチメントを悪化させています。まるで意図的にタイミングを計って、恣意的に行っているようにすら感じられます。今後も市場のセンチメントが好転したタイミングでは、格付け会社の動向に注意が必要です。

 12日の国債入札で、スペインは、目標の上限としていた50億ユーロの倍となる100億ユーロを調達して、利回りも低下しました。イタリアも短期国債入札で43億ユーロを調達。特に1年物の落札利回りは2.735%と、前回(12月)の5.952%を大幅に下回りました。13日のイタリアの3年債の入札では、平均落札利回りは4.83%となり、前回の5.62%から低下しています。

 欧州中央銀行(ECB)は12日の理事会で政策金利を現行の1.00%に据え置きました。ドラギ総裁はその後の記者会見で、ユーロ圏の景気に下振れリスクは残るものの、それほど悲観的な見方は示さず、「経済に安定化の一時的な兆しが見られる」と指摘しています。また、昨年12月21日に実施した3年物オペについて、「銀行システムの資金調達を妨げる状況を回避した」と述べています。

 昨年12月の3年物オペで、ECBは低利で潤沢な資金を銀行へ供給しており、その資金の一部が今回の国債入札に向かって、スペインやイタリアの金利低下につながったもようです。今週はスペインやフランスの国債入札があるため、その動向に注目が集まります。

 ECBによると、13日の翌日物預金残高が4899億0600万ユーロと過去最高となりました。金融機関が国債購入や銀行間貸し出しに資金を振り向けず、手元流動性の確保に動いていることが見て取れます。ただ、12〜13日の国債入札が順調だったことで、今後、各国の国債へ資金が振り向けられて、ユーロ圏の国債利回り低下につながる可能性も出てきました。ただ、フランスなど各国の格下げがどう影響してくるかが懸念されます。

 スペインなどの国債入札では、利回りは低下したものの、欧州の債務問題は明確な進展はありません。ギリシャでは、同国の国債を保有する民間部門債権者(金融機関)と50%の債務元本の削減について交渉していたものの、交渉は難航していったん打ち切られたと報じられています。

 また、これまでフランスをはじめとする各国の格下げへの懸念がずっと燻っていましたが、13日に格付け会社スタンダード&プアーズが、ユーロ圏9カ国の格付けを引き下げを発表しました。フランスやオーストリアがトリプルA格付けを失うこととなりました。なお、ドイツはトリプルAを維持しています。

 米商品先物取引委員会(CFTC)が13日に発表した10日時点での大口投機玉は、ユーロが過去最高となる15万5195枚の売り越しとなりました。このようにユーロ・ドルは売りが膨らんでいることもあり、買い戻しの動きから一時的に値を戻す可能性もあります。

 ただ、債務問題に関する根本的な解決策が実行に移されているわけではなく、フランスなど9カ国の格下げで、ユーロのセンチメントは悪化したことで、1ユーロ=1.25ドルへ向けて下落することが見込まれます。

【ECBの政策金利の発表とユーロ・ドルの動向】
 チャートはユーロ・ドルの日足チャートで、緑の十字の印は欧州中央銀行(ECB)の政策金利の発表日です。これによると、ECBの政策金利の発表日は、相場の転換点となっている時もあれば、そうでない時もあります。ひとつ言えることは、その後の方向性を示す起点となっていることが多いということです。

 最近の例を見ると、昨年9月はその後の下げにつながり、10月は上昇につながっています。11月と12月もその後の下げの起点となっていると判断できそうです。今回(1月)は政策金利は据え置きとなりました。ドラギ総裁の記者会見では、景気の下振れリスクがあるとの景気認識が示されたものの、「経済に安定化の一時的な兆しが見られる」との見解も示され、それほど悲観的な内容とはなりませんでした。

 今回は政策金利の発表後、数日しか経過していないので、今後の方向性を判断するのは難しいですが、12日のスペインやイタリア国債の入札が順調だったことで、安値からは値を戻したものの、翌13日にはフランスなどユーロ圏の9カ国の格下げで再び下げに転じています。欧州の債務問題への懸念は根強いため、今後の下げトレンドの起点となる可能性が出てきたようです。



2012年1月16日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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