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外為マーケットコラム

ユーロ・ドルは買い戻しから一段高も、買い一巡後に再び下落も

【ドル・円は引き続き動きにくい展開か】
 ドル・円は手がかり材料に乏しい中、1ドル=76〜77円台での狭いレンジで一進一退の動きを続けています。米国では経済指標や企業決算はおおむね良好で、NYダウは堅調に推移しています。欧州株も堅調で、欧米の株高がリスク回避の動きを後退させています。

 また、ユーロ圏の国債入札が順調だったこともあり、債務危機への懸念が後退しました。この影響で、ユーロ・円も97円台前半まで下落した後に一時100円超まで値を戻しました。ただ、買い戻しが一巡すると戻りは一服となりそうです。

 今後の注目される経済指標としては、24日に日銀金融政策決定会合・政策金利発表、25日に英第4四半期国内総生産(GDP)・速報値、米連邦公開市場委員会(FOMC)、26日にニュージーランド準備銀行(RBNZ)政策金利、米12月耐久財受注、27日に米第4四半期国内総生産(GDP)・速報値などがあります。

 なお、今回からFOMC後に金利や利上げのタイミングについて、当局者の見通しが公表されるようになります。あまり大きな影響はないとの見方もありますが、市場にどのような影響を及ぼすかが注目されています。

【順調な国債入札などでユーロは戻すが債務懸念は根強い】
 格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)は13日にフランスなどユーロ圏9カ国を一斉に格下げしました。その影響で16日には欧州金融安定ファシリティー(EFSF)もトリプルAから1段階格下げされました。

 ユーロ圏では国債の入札が相次ぎ、格下げの影響が懸念されました。17日にスペイン、18日にドイツ、ポルトガル、19日にスペイン、フランスの国債入札が実施されましたが、入札は順調となり、債務危機への警戒感が後退しています。順調な国債入札は市場関係者へ安心感を与えて、ユーロ・ドルが安値から反発する大きな要因となっています。

 なお、この中でも19日のスペイン国債の入札が特に注目されました。S&Pによる格下げ後の国債入札は比較的期間が短いものが多く、昨年12月の欧州中央銀行(ECB)による3年物オペによる資金供給が支援材料となっているとみられていたためです。19日の入札は最長で10年物の入札となり、3年超の入札が順調に進むかが注目されていました。長期の国債入札を無難にこなしたことが、市場に与えた安心感は大きいとみられます。

【IMFは融資能力倍増なるか】
 国際通貨基金(IMF)は18日に5000億ドルもの融資能力の増強を検討していることを明らかにしました。加盟国による追加融資により、既存の融資能力と合わせて1兆ドル規模の融資枠を確保したい意向を示しています。これが実現すれば、欧州債務不安を解消するための手段となる可能性もあります。ただ、警戒されるのは米国の動向です。米国ではIMFを通じた欧州への支援に慎重な意見が根強く、米国の積極的な協力は望みにくいのが実情で、今後の動向を見守りたいとろころです。

 ユーロ圏の国債入札は順調で、IMFの融資能力増強も期待されますが、欧州の債務危機は楽観できるような状況ではありません。ギリシャと民間債権者による債務交換交渉は、合意に達していません。ギリシャは3月に145億ユーロもの国債償還を控えており、これからが交渉のヤマ場とみられます。合意への道は平坦ではなく、交渉が決裂するようなら、ギリシャはデフォルト(債務不履行)する可能性が高まり、ユーロ・ドルは大きく下落することとなりそうです。

 また、ポルトガルはS&Pにより「投機的」という水準まで格下げされており、他の国の利回りが落ち着きを見せる中、同国の利回りは上昇が続いています。ポルトガル国債を保有している民間債務者がギリシャと同様に負担を求められるのではないかとの警戒感が広がりつつあります。

 今後の予定としては、23日のユーロ圏財務相会合、24日の欧州連合(EU)財務相理事会、30日のEU首脳会議などがあります。ユーロ圏財務相会合では、欧州金融安定メカニズム(ESM)設立の草案などが討議される見通しです。なお、国債入札は、23日にフランス、24日スペイン、オランダ、25日にドイツ、26日と27日にイタリア国債の入札が実施され、特にイタリア国債の入札が注目されます。

 ユーロ・ドルは売りが膨らんでいたこともあって、順調な国債入札や株高などを好感して買い戻しの動きが進んで、1ユーロ=1.26ドル台前半から戻り歩調を見せました。目先は買い戻しの動きから一段高の可能性が高そうです。ただ、ギリシャの債務問題は予断を許さない状況にあり、また、欧州の銀行の資本増強が不透明で格付け会社が銀行の格下げなどに動くようなら、買い戻し一巡後にユーロが再び下げに転じる可能性も否定できません。

【イタリア・スペインの国債利回りが落ち着きを見せる】
 ユーロ圏では債務懸念を背景にイタリア、スペイン、フランスなどの国債の利回りが上昇していました。グラフはこれらの国にドイツを加えた4カ国の10年債の流通利回りを示したものです。

 これによると、ドイツは2%以下で低位安定しているのがわかります。スペインは一時期に比べて利回りが低下して1年前の水準と同程度まで低下しました。イタリアは自力での資金調達が困難になると言われる危険水域の7%付近から低下しつつあります。なお、フランスの利回りもピークから低下して、落ち着きを見せています。

 13日のスタンダード&プアーズによるフランスやイタリアなどの格下げの悪影響が懸念されましたが、市場では格下げを織り込み、国債利回りが落ち着きつつあります。各国の国債入札もおおむね順調です。

 昨年12月のECBによる3年物オペで金融機関に低利で潤沢な資金が供給されたことで、この一部が国債購入に向かったもようです。イタリアをはじめとして、財政問題は予断の許さない状況にあるものの、金利の低下がさらに進むかどうかが注目されます。



2012年1月23日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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