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外為マーケットコラム

ギリシャへの懸念後退で、ユーロ・ドルは堅調な動きか

【日銀の追加金融緩和が円売り要因に】
 13〜14日の日銀の金融政策決定会合で、日銀は国債の買い入れ枠を10兆円拡大しました。これで資産の買い入れ基金の規模は55兆円から65兆円に拡大されました。このうち長期国債の買い入れ枠は9兆円から19兆円に拡大されています。1月末時点で長期国債の買い入れ残高は3兆5000億円程度にとどまり、買い入れ枠上限の9兆円(当時)まで余裕はありました。ただ、追加金融緩和により景気の下振れリスクに先手を打ち、景気回復への支援が必要との判断が働いたようです。

 この追加緩和の影響で、円は売られやすい地合いとなり、ドル・円は200日移動平均線を上抜いて、1ドル=80円近辺まで円安が進みました。なお、今回の追加緩和が円安進行につながったのは、昨年の日本の経常黒字が大幅に減少したことや、昨年第4四半期の国内総生産(GDP)が予想を下回る結果となり、円が売られやすい下地があったためとみられます。

 ドル・円は最近の円安基調を背景に、緩やかに円安に振れそうです。目先は1ドル=78〜81円前後での推移が見込まれます。20日に発表された日本の貿易赤字は1兆4750億円の赤字となり、事前予想(1兆4500億円前後の赤字)よりも大きくなりました。貿易赤字が過去最大規模の大きさとなったことも、円の先安観につながりそうです。ただ、円安が進むと輸出筋によるドル売りも出てきて、上値を抑えられる場面も出てくるでしょう。

 なお、2月は日本企業が決算を控えて、海外へ投資していた資金を自国へ戻す、いわゆるレパトリエーションや米国債の利払いや償還の影響により、円高が進みやすい月となります。2月は昨年までの過去10年間で7回が円高に振れており、季節的に円高に振れる可能性もあることを念頭に置いておきたいところです。

【ギリシャ問題に振り回される展開】
 このところ、ギリシャへの第2次支援がどうなるかを巡って、毎日のように振り回される展開が続いてきました。ギリシャでは13日に財政緊縮関連法案は可決されたものの、緊縮財政を実行する誓約書への与党党首の署名が遅れたことなどから、15日のユーロ圏財務相会合が電話会議に変更され、ギリシャ支援の決定が先送りされました。支援の先送りで一時ユーロ・ドルは軟調な推移となりました。

 その後、20日に開催されるユーロ圏財務相会合で1300億ユーロの第2次支援が承認される見通しとなり、ユーロ・ドルは上昇に転じています。これが正式に承認されれば、ユーロのセンチメントは一段と好転することとなりそうです。

 気になるのは格付け会社の動きです。16日に格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、欧州債務危機の影響を考慮して、欧州16カ国の114の金融機関の格付けを見直すと発表しました。また、これとは別に国際的な業務を展開している17の証券や銀行の格付けを引き下げる可能性があると警告しています。今後も格付け各社の発表には注意を払う必要があります。

 20日のユーロ圏財務相会合でギリシャ支援が決まりそうなことで、ユーロ・ドルは9日の高値1ユーロ=1.3322ドルへ向けて上値を追う展開が見込まれます。その後、ギリシャは民間債務者との債務交換を3月8日に開始したい意向で、これが順調に進めば、ギリシャへの懸念は一段と後退して、ユーロは堅調な推移が続きそうです。

【ドル・円は一段の円安進行なるか?】
 日銀の金融政策決定会合で、追加緩和策が発表されたことで、ドル・円は円安基調で推移しています。この円安の流れは続くのでしょうか。過去にドル・円と米10年債利回りとの連動性の高さなど、米長期金利とドル・円が相関高いことを示してきました。ここではドル・円と日米の2年債利回りの差を確認してみましょう。

 グラフはドル・円と米国と日本の2年債利回りの差を表示したものです。これによると、ごく短期的な方向性は一致しないことはあるものの、おおむね同じような動きを見せていることがわかります。日本で追加緩和を打ち出して、金利の低水準での推移が見込まれる中、米国の金利が上昇して、金利差が拡大しないことには、本格的な円安トレンドに転じるのは難しそうです。

 米国では異例の低金利を2014年終盤まで延長する方針を打ち出しており、長期金利が大きく上昇しにくくなっています。米連邦準備理事会(FRB)が昨年9月に打ち出したツイストオペでは、償還期限が6〜30年物の国債を買い入れ、3年以下の国債を売却することとなっています。

 より長期の国債の買い入れる一方で、2年債など償還期限の短い国債の売却により、2年債利回りが上昇するような事態となれば、ドル・円は一段と上昇する可能性も出てきます。ただ、2年債利回りがそれほど急激な上昇に転じるとは考えにくく、ドル・円は上昇しても緩やかなペースとなりそうです。本格的な円安進行には、米国の景気の本格的な回復と米長期金利の上昇が必要となるでしょう。



2012年2月20日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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