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外為マーケットコラム

緩やかな円安トレンドが継続か

【円売りトレンドは続きそう】
 2月29日の米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長の議会証言では、量的緩和第3弾(QE3)への言及がなく、追加金融緩和への期待が後退したことで、ドル買いの動きにつながりました。

 また、日銀の追加緩和以降の円売りのセンチメントは継続しており、対ドルだけでなく対主要通貨で円売りの動きから円安が進行しています。ドル・円は上昇一服となっていますが、今後も緩やかな上昇が続きそうです。

 ドル・円は1ドル=81円台では日本の輸出筋によるドル売りや利益確定の売りに押されて、上値重く推移する傾向があるものの、81円台でのもみ合いが終了した後は、82〜83円台へ上値を伸ばす動きが見込まれます。

 なお、中国の全国人民代表大会(全人代)で中国が今年の国内総生産(GDP)成長率の目標を7.5%と低めの水準にとどめると報じられています。この結果、リスク志向の後退から資源国通貨などが下落して、クロス円が全般に下落する可能性が出てくるので注意しておきたいところです。

 今後の主な経済指標としては、5日の米2月ISM非製造業景況指数、6日のオーストラリア準備銀行(RBA)政策金利、ユーロ圏第4四半期国内総生産(GDP)・改定値、7日の豪第4四半期国内総生産(GDP)、米2月ADP雇用統計、8日のニュージーランド準備銀行(RBNZ)政策金利、日本第4四半期国内総生産(GDP)・2次速報、日本1月経常収支、豪2月雇用統計、英中銀(BOE)政策金利、欧州中央銀行(ECB)政策金利、9日の中国2月消費者物価指数や中国2月鉱工業生産、米2月雇用統計などがあります。

【ユーロ・ドルは上値が重そう】【ユーロ・ドルは上値が重そう】
 欧米株が堅調に推移したことや2月29日の欧州中央銀行(ECB)の2回目の3年物オペを控えて、リスク志向の高まりや金融市場が落ち着くとの見方から、ユーロ・ドルは一時1ユーロ=1.35ドルへ迫る堅調な動きとなりました。ただ、ECBの3年物オペが5,295億ユーロとなり、市場の予想の範囲内の結果となると、利益確定の売りからユーロは下落しました。 。

 2回の3年物オペにより、1兆ユーロを超す潤沢な資金が金融機関供給されたこともあり、イタリアやスペインの国債利回りが低下しています。銀行の資金繰りへの懸念が後退して、銀行間の取引金利も低下傾向にあります。供給された資金はユーロ圏の国債購入や企業や家計への貸し出しに回ることが期待されています。また、イタリアは3〜4月に国債発行を予定しており、今回のオペの資金が同国の国債利回りを落ち着かせることも期待されています。

 ECBの3年物オペで欧州では金融市場に大量の資金が供給される一方で、米国では追加緩和期待が後退しており、相対的にユーロよりもドルが買われやすい地合いに転じそうです。経済指標は、米国では新規失業保険申請件数が低下傾向にあり、雇用情勢が改善に向かいつつあるなど、強弱入り混じっているものの、良好なものが多くみられます。これに対してユーロ圏は1月の失業率が10.7%となり、ユーロ導入以来の最高水準まで悪化したことに代表されるように、景気は減速傾向にあり、リセッション(景気後退)が懸念されています。

 米国の景気が堅調に推移すると、リスク志向の高まりからドルは対資源国通貨などに対して売られやすくなりそうです。ただ、対ユーロでは、ECBの3年物オペも終わってユーロの買い材料出尽くし感やユーロ圏の景気動向への懸念から、ドルが買われやすくなりそうです。こうした中、ユーロ・ドルは、上値重く推移して1ユーロ=1.30〜1.34ドル前後での推移となりそうです。仮に1.35ドル付近まで上昇しても長続きしないでしょう。

【今年は円安の年か。もしそうなら3月中は円安進行も】
 ドル・円は円安基調で推移しています。昨年は4月から11月にかけて大きく円高が進んで、1年を通しても円高で終わりましたが、今年はどうなるでしょうか。過去に円高で終わった年、円安で終わった年のパターンを確認して、今年の動向きの予測に活用してみます。

 2001〜2011年の11年間で、1年を通して円安で終わった年は、2001年、2005年、2006年、2009年の4回、円高で終わったのは2002〜2004年、2007〜2008年、2010〜2011年の7回あります。

 グラフは過去の値動きを指数化したもので、2001〜2011年の平均が青、上記の円安の年だけを平均したものが赤、円高の年だけを平均したものが茶色となっています。いずれも0〜100の指数で表示しています。なお、2012年(緑)は実際の価格となり、右軸で表示しています。このグラフでは、円高年(茶色)と円安年(赤)のグラフには似たような動きをする時期もみられるものの、2月中旬から3月中旬、6月中旬から6月下旬、9月中旬から10月下旬など正反対に動く時期も目立ちます。

 例年、円高の進む年は2月の中旬から3月中旬にかけて円高が進行しやすいという特徴があります。今年はそのパターンに当てはまらず、今のところ円安基調で推移しています。これは過去の円安の年のパターン(赤いグラフ)に近いといえます。今年が円安の年となる場合、堅調な推移がしばらく続いて、途中で小休止はあるものの、3月中は円安が進行しそうです。ただ、その場合も4月に入ると円安進行が一服して、円高に振れることとなりそうです。



2012年3月5日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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