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外為マーケットコラム

円安基調は継続、ユーロ・ドルはレンジ相場か

【円売りの流れは継続か】
 ドル・円はこれまで上昇が続いてきたことやギリシャの債務交換への不透明感で円買いの動きとなり、一時円高が進む場面も見られました。ただ、市場での円売りのセンチメントは根強く、大きく円高に振れるような展開とはならず、再び円安傾向で推移しています。

 日本の1月の経常赤字は過去最大となる一方で、米ADP雇用統計や米雇用統計が予想以上となるなど、米国の経済統計は比較的良好で、ドルと円では相対的にドルが買われやすい地合いとなっています。なお、日本の経常赤字は日本国内よりも海外において、円売り材料としてより意識されているようです。

 7日には、米連邦準備理事会(FRB)が国債やMBS(住宅ローン担保証券)などを購入する新たなプログラムを検討しているとの報道がありました。これは長期国債などの買い入れで市場に流れた資金を短期的に市場から借り入れることで、将来のインフレ懸念を払拭するというものです。なお、こうしたプログラムが実行に移された場合は、短期金利は上昇する可能性があり、その場合は日米の金利差が拡大して、一段の円安要因となる可能性が出てきます。

 ドル・円は2月上旬から円安傾向にあり、長期的なトレンド転換のポイントとみられる200日移動平均線を2月14日に上抜いた後も上昇が続いています。2月24日に21日移動平均線とのかい離率が4%超まで拡大したことで、過熱感から一進一退の動きを見せましたが、円安トレンドに変化はありません。

 米国では経済指標が比較的良好な一方で、日本では日銀の金融緩和姿勢が根底にあり、さらに経常収支や貿易収支の赤字が懸念されており、円安トレンドに転換しているとみられ、さらに円安が進む展開が見込まれます。

 9日の米雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比22.7万人増加して、市場予想を上回りました。これで量的緩和第3弾(QE3)が遠のいたとの観測からドルが買われて、1ドル=82円台に乗せました。82円台をしっかりと固めることができれば、3月中に83〜84円台への上昇の可能性が出てきそうです。

 今後の主な経済指標としては、13日に日銀政策金利、米連邦公開市場委員会(FOMC)、14日に日本1月鉱工業生産指数、15日に米3月NY連銀製造業景気指数、米2月生産者物価指数、米新規失業保険申請件数、16日に日本1月景気動向指数、米2月消費者物価指数、米2月鉱工業生産・設備稼働率、米3月ミシガン大学消費者信頼感指数の発表があります。なお、米国とカナダは11日に夏時間入りしています。

【ギリシャの債務問題に振り回される】
 このところのユーロ・ドルはギリシャの債務交換問題に振り回される展開が続きました。民間投資家がギリシャの債務交換に応じるかどうかで懸念が広がり、ユーロ・ドルは一時1ユーロ=1.31ドル前後まで下落。ところが7日ころより、ギリシャの民間投資家が債務交換に応じる比率が高まっているとの見方が広がり、反発に転じました。ただ、強い米雇用統計を受けてドル買いの動きとなり、再び下げに転じるなど、方向感の定まらない動きとなっています。

 民間投資家のギリシャ債務交換への参加比率は、ギリシャ国内法に基づく国債1770億ユーロのうち、85.8%程度とみられ、市場で懸念された無秩序なデフォルト(債務不履行)は回避される見通しとなっています。これでギリシャに対する第2次支援へ向けて大きく前進しました。ただ、国際スワップデリバティブ協会(ISDA)は、ギリシャの債務交換で、一部の民間投資家に債務削減を強制する集団行動条項(CAC)発動は信用事由に該当すると発表しています。予想された事態ではあったものの、今後、ユーロの圧迫要因となる可能性があります。

 欧州中央銀行(ECB)は8日の理事会で政策金利を1.00%に据え置きました。2月29日の第2回目の3年物オペで、800の金融機関に対して5,300億ユーロもの資金を供給、昨年12月のオペとあわせて1兆ユーロを超す資金供給を実施しています。こうしたオペの後だけに金融政策の変更などは見送られました。

 この日の記者会見でドラギ総裁は、12月以降に銀行融資が緩やかに改善、金融市場のリスク環境が大幅に改善するなど、2回のオペが成功したことに疑問の余地はないとの見解を表明しました。実際、このオペ以降にユーロ圏ではイタリアやスペインの国債利回りは低下しており、特にイタリアの10年債利回りは7%超から5%割れまで低下しています。

 ユーロ圏の景気は減速が懸念されます。ECBによると、2012年のユーロ圏の域内総生産(GDP)の伸び率の見通しは、−0.5%〜+0.3%となっており、昨年12月時点の予想である−0.4%〜+1.0%から下方修正されました。ユーロ圏の経済指標はまちまちで、比較的良好な米国の経済指標と比べて見劣りします。

 ユーロ・ドルは、経済指標の動向に一喜一憂しつつ、1ユーロ=1.30〜1.35ドル前後でのレンジで推移しそうです。ギリシャの債務交換で想定外の事態が発生したり、米国の景気が一段と改善するようなら、ユーロ売り/ドル買いにつながり、1.30ドルを割り込む可能性も出てきます。なお、上昇に転じても1.35ドルに接近するようだと売りに押される展開が見込まれます。

【春は株高の季節、日本株上昇で一段の円安進行も】
 前週はドル・円の季節性について解説しました。「円高の進む年は2月の中旬から3月中旬にかけて円高が進行しやすいという特徴があるものの、今年はそのパターンに当てはまらない」「過去の円安年のパターンに近く、その場合3月中は円安が進行しそう」という趣旨でした。

 ドル・円と連動して動きやすい日経平均の季節的なパターンを分析して、日経とともにドル・円の動向を予測してみたいと思います。グラフは2002〜2011年の過去10年間の日経平均の価格を指数化したものです。青のグラフは10年間の平均、ピンクは上昇した年(2003〜2006年、2009年)の平均、赤は下落した年(2002年、2007〜2008年、2010〜2011年)の平均を示しています。緑は今年のグラフで、これのみ実際の株価を表示しています(これだけ右軸)。なお、「上昇年」「下落年」とは年末の株価が年初に比べて上昇しているか、下落しているかで判断しています。

 今年の日経平均は年初から上昇傾向にあり、3月9日には7カ月ぶりに1万円台に乗せました。ピンク(上昇年)や青(10年間の平均)では、4月上旬にかけて上昇傾向で推移しています。赤(下落年)も3月中旬から上昇しています。上昇年と下落年は、特に6月以降に顕著な違いがありますが、いずれの場合も3月中旬から4月初旬は上昇しやすい傾向がみられます。ドル・円も円安パターンの年は3月中は上昇(=円安)する傾向があり、日経平均の上昇が続けば、「株高・円安」のパターンとなりそうです。

 なお、せっかくの株高ですが4月以降は上昇が一服する傾向があります。株価が下落して終わるパターンの年は、その後、年末近くまで下げトレンドが続きやすくなります。一方、上昇して終わる年は、4月から5月中旬にかけて下落するものの、その後は年末にかけて上昇トレンドを描く傾向が強くなります。株高一服となれば、円安も一服する可能性が高まりそうです。



2012年3月12日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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