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外為マーケットコラム

ドル・円は1ドル=85円へ向けて円安進行か

【FRBと日銀のスタンスの違いが円売りに】
 13日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、異例の低金利政策の継続期間を従来通り「2014年終盤まで」としたものの、景気認識を前回からやや引き上げたことから、追加金融緩和の観測が後退しました。また、米国は経済指標が良好で、米長期金利はじり高で推移しており、米10年債利回りは3月はじめの2%付近から2.29%前後まで上昇しています。 。

 日銀は13日の金融政策決定会合で政策金利や資産買い入れ枠を据え置いたものの、白川総裁が記者会見で緩和姿勢の継続を示したことから、円売りの流れが続いています。米長期金利の上昇もあり、金利差が拡大するとの観測もドル・円の上昇につながっており、15日には11カ月ぶりに1ドル=84円台に乗せました。

 金融政策の維持を表明したものの、景気判断を引き上げた米国と、デフレ脱却へ向けて強い金融緩和政策の継続を表明した日米金融当局の姿勢の差がドル買い/円売りにつながっています。

 ただ、ドル・円は2月2日の1ドル=76.05円からは8円以上もの上昇となり、テクニカル面からは過熱感も台頭しつつあります。21日線からのかい離率は14日に3.5%前後まで拡大しており、その後は上値重く推移しています。

 これまで上昇が続いてきたことで、やや上値が重くなっていますが、円安一服は一時的な動きにとどまり、円売りの流れは継続することとなりそうです。ドル・円は1ドル=85円へ向けて円安が進行することが見込まれます。なお、85円台を固めることができれば、86〜87円前後まで一段と円安が進む可能性があります。

 今後の主な経済指標としては、20日にオーストラリア準備銀行(RBA)理事会議事録、米2月住宅着工件数・建設許可件数、21日に英金融政策委員会(MPC)議事録、米2月中古住宅販売件数、22日に日本2月貿易収支、米新規失業保険申請件数、米1月住宅価格指数、23日に米2月新築住宅販売件数などがあります。米国では住宅関連指標が多いので注目されます。

【ギリシャへの関心は薄れつつある】
 ギリシャの債務問題が一応、解決へ向けて進展しました。このため、市場の関心はギリシャから離れつつあり、ユーロ・ドルは米国を中心とする経済指標に左右されやすくなっています。

 ユーロ圏財務相会合や国際通貨基金(IMF)がギリシャへの第2次支援を承認したこともあり、市場関係者のギリシャへの関心は薄らいでいますが、今後はポルトガルやスペインの動向が注目を集める可能性があります。スペインは財政赤字の削減が予定通りに進まず、ポルトガルの10年債利回りは14%近辺まで上昇するなど、懸念材料となっています。スペインは2012年に財政赤字の対GDP比率を4.4%に引き下げる方針を示していましたが、この比率の目標を5.8%に緩和すると発表したことで、同国の長期金利は下げ渋っています。10年債利回りはイタリアよりも高水準で推移するようになっています。

 ただ、いずれの国もギリシャほどの懸念はないとみられ、国際金融市場に深刻な影響を及ぼすことはないでしょう。欧州中央銀行(ECB)が2度に渡って実施した3年物オペで潤沢な資金が金融機関に供給されたため、イタリアやスペインの国債利回りがピークから大きく低下するなど、金融市場は落ち着きを取り戻しています。

 欧州債務危機が懸念されていた時には、「米経済指標良好→米国株や欧州株上昇→リスク志向の高まり→ドル売り」という流れが多く見られましたが、最近は「米経済指標良好→米国株上昇→米長期金利上昇→ドル買い」という本来の動きを見せるようになっています。

 今後のユーロ・ドルは、ユーロ圏と米国の経済指標を眺めての推移が見込まれます。ドルが堅調でもユーロが一気に崩れることはないとみられ、1ユーロ=1.30〜1.35ドル前後でのレンジ相場となりそうです。ただ、相対的に米国の経済指標の方が良好なものが多いとみられ、ユーロ・ドルは上値の重い展開が見込まれます。ポルトガルやスペインの財政問題への懸念が高まると、1.30ドルを割り込むこともありそうです。

【今年、豪ドル・円は円安進行の年となるか】
 前々週にドル・円の季節性、前週に日経の季節性について解説しました。今週は個人投資家に人気の豪ドル・円について、季節性から今後の動向を予測してみたいと思います。2月以降のドル・円やクロス円は円売りの流れから、上昇トレンドで推移しています。ドル・円は、今年は円安年のパターンに近い動きをしており、3月中は円安が進行しそうなものの、4月には円安進行が一服する可能性があるとしました。豪ドル・円はどうでしょうか。

 過去に豪ドル・円が円高で終わった年、円安で終わった年のパターンを確認してみます。2002〜2011年の10年間で、1年を通して円安で終わった年は、2003年、2005〜2007年、2009年の5回、円高で終わったのは2002年、2004年、2008年、2010〜2011年の5回あります。

 グラフは過去の値動きを指数化したもので、2002〜2011年の平均が青、上記の円安の年だけを平均したものが赤、円高の年だけを平均したものが茶色となっています。いずれも0〜100の指数で表示しています。なお、2012年(緑)は実際の価格で、これだけ右軸で表示しています。グラフを見る限り、円高の年と円安の年ではかなり異なる動きを見せています。

 今年はいずれのパターンとも異なる動きですが、円安年のパターンに近い動きと言えそうです。円安パターンで推移するとなると、3月中は上昇一服となりますが、4月から7月下旬にかけて円安が進行しそうです。なお、仮に円高に振れる場合でも、3月中旬から4月中旬にかけて円安が進みそうです。ただ、今年が円高年となる場合、4月の高値時点が今年の円安のピークとなる可能性があります。



2012年3月19日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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