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外為マーケットコラム

ドル・円はもみ合い、米経済指標好転なら再び円安へ

【ドル・円はもみ合い】
 ドル・円は82〜83円台を中心に上値重く推移しており、一時的に82円を割り込む場面も見らました。日本企業の決算期末を迎えてのレパトリエーション(海外へ投資していた資金を自国に戻すこと)の動きなどから、円が買われやすい場面もみられたものの、大きく円高に振れることはありませんでした。

 米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は、3月26日の講演で失業率低下のためには経済成長の加速が必要で、超低金利政策の正当性を主張しました。量的緩和第3弾(QE3)への言及はなかったものの、早期に金融緩和策の解除に動くことはないとの見方が広がりました。

 また、最近も米国の経済指標があまり良好とは言えず、NYダウも1万3,000ドル超で頭打ちとなっている上、米長期金利の上昇も一服しています。日米の金利差拡大がドル・円の上昇の一因となっていましたが、2年債利回りの差は拡大一服となっています。

 日米の金利差拡大一服はドル・円の圧迫要因となるものの、1ドル=82円を大きく割り込むような円高には振れないとみられます。引き続き1ドル=82〜83円での推移が見込まれます。米経済指標が好転すると、米株高・米長期金利高につながり、再び円安に振れる可能性が高まります。

 今後の主な経済指標としては、2日にユーロ圏2月雇用統計、米3月ISM製造業景況指数、3日にオーストラリア準備銀行(RBA)政策金利、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録4日に欧州中央銀行(ECB)政策金利、米3月ADP雇用統計、米3月ISM非製造業景況指数、5日に英中銀(BOE)政策金利、米新規失業保険申請件数、6日に日本2月景気動向指数、米3月雇用統計があります。

【欧州の金融安全網は拡大へ】
 30日にユーロ圏財務相会合が開催されました。会合の前には、これまで金融安全網の拡充に消極的だったドイツのメルケル首相が安全網の強化を支持したことで、安全網拡充へ向けて大きく前進しました。

 ドイツの案は、欧州金融安定メカニズム(ESM)の5,000億ユーロの融資上限は変更せず、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の支援枠のうち2,000億ユーロ分をESMと並存させ、最大で7,000億ユーロにするというものです。これまで、ドイツはESMの5,000億ユーロを上回る額について反対姿勢を示してきましたが、ドイツが譲歩した格好です。ユーロ圏財務相会合では、結局、この案でまとまりました。なお、すでに拠出している分を含めて8,000億ユーロの規模となっています。

 事前に経済協力開発機構(OECD)からは、金融安全網を1兆ユーロ以上の規模とすることを求める提案を出されていました。また、ユーロ圏財務相会合で安全網の規模を9,400億ユーロに引き上げる案も出されたものの、ドイツの反対で実現しませんでした。市場の予想を超える規模拡大とはなりませんでしたが、基金の規模の拡大はユーロの安定化につながることとなるでしょう。

 ユーロ・ドルは米国や欧州の経済指標に左右されやすい展開となりそうです。1ユーロ=1.30〜1.35ドルのレンジで一進一退の動きが見込まれます。ただ、ユーロ圏の経済指標は良好とは言えないものが多いことや、スペインの財政への懸念もあり、1.35ドル前後では上値を抑えられる展開となりそうです。なお、スペイン政府は30日に大幅な歳出削減案を盛り込んだ2012年予算案を発表しており、実際に財政赤字削減が進むかどうかが注目されます。

【日米の2年債の金利差の拡大一服、ドル・円は頭打ちなのか?】
 ドル・円は日米の2年債の利回りの差と連動しやすいという特徴があります。グラフはドル・円と日米の2年債の金利差をグラフにしたものです。今年2月以降は金利差におおむね連動しています。

 日本で一段の金融緩和観測が根強いことや米国で一時追加緩和への期待が後退したことなどから、日米の金利差が上昇して、ドル・円は3月中旬にかけて上値を追う展開となりました。その後、米国で追加緩和への期待感が再び台頭したことや米国の経済指標にさえないものが増えたことなどから、米金利の上昇が頭打ちとなり、金利差拡大も一服して縮小に転じています。

 なお、最近の状況だけ見ると、日米の金利差は急拡大したかのように見えますが、過去にはもっと大きく変動したことがあります。グラフは2009年5月以降の日米2年債の金利差とドル・円を示していますが、青の金利差のグラフは最近の動き以上に大きく変動している部分がいくつもあります。このため、金利差が拡大がこれで頭打ちとは限らず、一段と拡大する可能性も残されていると言えそうです。

 このまま日米の金利差拡大伸び悩むようなら、ドル・円の上昇も一服となりそうです。ただ、米国の経済指標は良好なものも多く、好調な経済指標が続くと景気回復への期待感が一段と高まり、米長期金利の上昇につながり、ドル・円を再び上昇させる動きにつながりそうです。今後のカギを握るのは米国の景気動向ということとなりそうです。今週は注目度の高い経済指標も多いため、その動向が注目されます。



2012年4月2日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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