FX・為替比較はALL外為比較

  • FX会社を探す
  • FXの基礎知識
  • Q&A
  • 外国為替マーケット予想

ALL外為比較 > 外為マーケットコラム > ドル・円は上値の重い展開か

外為マーケットコラム

ドル・円は上値の重い展開か

【ドル・円はリスク志向の低下で上値の重い展開か】
 10日の日銀金融政策決定会合では、政策金利は0〜0.10%で据え置きとなり、資産買い入れ基金の規模も65兆円に据え置かれました。国内の市場参加者は据え置き予想が多く、予想通りでしたが、海外勢を中心に一部で追加緩和に動くとの見方が出ていたため、現状維持と判明すると円買いの動きとなりました。対ドルだけでなく、クロス円全般でも円は買われており、上値の重い展開となっています。

 6日の米雇用統計で非農業部門雇用者数が予想を大きく下回ったことやスペイン国債の利回り上昇など欧州債務問題への懸念が再燃したことも円買いにつながりました。米雇用統計の下振れで、米国をはじめとして世界的に景気の先行き不透明感が広がっており、安全資産として米国債が買われています。この結果、米10年債利回りは2%割れの水準まで低下しました。

 また、中国の今年第1四半期の国内総生産(GDP)の伸び率が予想を下回り、世界的に景気の先行き不透明感も広がっています。こうした状況から、リスク志向が高まりにくくなっており、円は買われやすく、ドル・円は上値の重い展開が見込まれます。今後は、金融市場は当局者のコメントや金融政策への思惑、経済指標などに左右される展開が続いて、ドル・円1ドル=80〜83円前後での推移となりそうです。ただ、仮に1ドル=80円割れとなっても長期化しないでしょう。

 市場では日銀が4月27日の金融政策決定会合で追加緩和を決めるとの観測が広がっています。追加緩和に動くとすれば、買い入れ基金の5〜10兆円増額、今年末までとなっている買い入れ期限を延長といった内容となりそうです。追加緩和に動けば円売りの材料となります。ただ、2月に長期国債の買い入れ上限を19兆円に拡大したものの、3月末時点での買い入れ実績は6兆3,000億円程度にとどまっています。基金だけ増額しても買い入れ実績が伴わなければ、日銀の本気度が疑われることとなります。

 今後の主な経済指標としては、16日に米4月NY連銀製造業景気指数、米3月小売売上高、17日にオーストラリア準備銀行(RBA)理事会議事録、日本2月鉱工業生産指数、ユーロ圏3月消費者物価指数、独4月ZEW景況感指数、米3月住宅着工件数・建設許可件数、米3月鉱工業生産・設備稼働率、18日に英金融政策委員会(MPC)議事録、英3月雇用統計、19日に日本3月貿易収支、米新規失業保険申請件数、米3月中古住宅販売件数、20日に独4月ifo景況感指数などがあります。経済指標の動向によっては、市場のセンチメントが大きく変化する可能性があり、注意しておきたいところです。

【ユーロ圏の国債入札に注目】
 今後は経済指標とともにユーロ圏の国債入札が注目されます。4日のスペイン国債の入札が不調に終わったことが、欧州の債務問題への懸念の再燃につながっており、市場のセンチメントを大きく左右する要因となる可能性が高いためです。ユーロ圏では、16日にフランス国債、17日にスペイン国債、19日にスペインとフランス国債の入札が予定されています。

 財政問題への懸念を背景にスペインの10年債利回りは6%近くまで上昇しています。イタリアの利回りも上昇しており、欧州債務問題への懸念が再燃した格好となっています。欧州中央銀行(ECB)関係者から、ECBによる債権買い入れプログラム実施について、肯定的な見解や否定的な見解がそれぞれ出されるなど、当局者の間でも見解に相違が見られます。このため、「スペインの利回り上昇→ECBによる国債の買い入れ」といった単純な図式は描きにくい状況です。スペインやイタリアの国債利回りの高止まりはユーロの上値を抑える要因となりそうです。

 6日の米雇用統計を受けて、米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和第3弾(QE3)に動くとの見方が強まっています。11日にFRBのイエレン副議長、12日にNY連銀のダドリー総裁やFRBのラスキン理事がQE3に含みを残す発言をしています。3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録では、QE3への機運は低下したものの、今月(24〜25日)のFOMCでは米雇用統計の悪化を背景にQE3への機運が再び盛り上がる可能性が出てきました。

 ただ、反対意見もあります。12日にフィラデルフィア連銀のプロッサー総裁は「米雇用統計の内容は失望を招く内容だったが、大きな意味を持つとは思わない」「追加緩和を検討する前には、米経済が大幅に悪化する必要がある」と述べており、追加緩和の実施に対して否定的な見解を述べています。一度の雇用統計の悪化だけで簡単に追加緩和に動くほど単純な問題ではありません。今後の経済情勢を踏まえて、QE3が検討される可能性が出てきますが、仮に導入されるとしても、現在のツイストオペが6月末まで実施されるため、6月以降でのFOMCということになるでしょう。

 ユーロ・ドルは上下に大きく動きにくくなっており、1ユーロ=1.29〜1.33ドル台での推移が見込まれます。これまでは下げても1ユーロ=1.30ドル台前半で下げ止まっており、1.30ドル近辺では底堅い動きを見せてきました。ただ、債務問題への懸念が増すようだと、この水準で下支えされず、1.30ドルを割り込んで軟調に推移する展開となりそうです。

【世界的な株安が豪ドル・円の圧迫要因に】
 以前、先進国の株価を指数化したMSCIワールドインデックスと豪ドル・円に高い相関関係があることを示しました。両者の相関関係は極めて近く、両者は密接な関係があることがわかりました。世界的に株高が進むとそれに連動して豪ドル・円も上昇して、逆に株安が進むと豪ドル・円も下落する傾向があることが確認できました。

 最近の両者の関係を確認してみたいと思います。2月下旬に豪ドル・円に比べてMSCIワールドインデックスの上昇ペースが鈍化したものの、おおむね似たような動きとなりました。最近の下落局面では、ほぼ同一歩調で推移しています。グラフの期間の相関係数は0.93となり、以前と比べて若干低下したものの、依然として高い連動性があることに変わりはなく、世界的な株安が豪ドル・円の圧迫要因となっていると言えそうです。

 ちなみに同じ期間の豪ドル・ドルとMSCIワールドインデックスの相関係数は0.80となり、こちらも高いですが、豪ドル・円には及びません。とは言うものの、豪ドルの動きは世界的な株価の傾向と連動しやすい傾向があります。このところ、欧州債務危機の再燃や米雇用統計や中国のGDPが予想を下回ったことなどにより、世界的な株価が修正安局面にあり、この結果、豪ドルは上値を抑えられやすくなっています。豪ドルの動向を見る上では、引き続き世界の株価動向から目を離せません。

 なお、相関係数とは、2つのデータ間の関連性の度合いを示す指標です。-1.0から1.0の間の数値で示され、プラスの時は2つのデータ間には正の相関があるといい、マイナスなら負の相関があるといいます。すなわち、1.0に近いほど似たような動きをして、-1.0に近いほど逆の動きをします。ゼロに近いときは相関は低く、データ間の連動性はあまりないとみなされます。



2012年4月16日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

 オーバルネクストは、国内外の先物取引や為替情報に関する各種のニュースやデータを配信、またこれらの情報に伴うシステム開発を行っております。スピードと正確性に富むニュースやデータの配信に加え、オーバルネクスト独自の情報分析を含む各種コンテンツを一般投資家や各種ブローカーの皆様へ幅広く提供しています。
詳しくはこちらをご覧ください

コラム一覧へ戻る

当社は「ALL外為比較」に掲載される情報(以下「掲載情報」といいます。)の完全性および正確性を保証いたしません。

また掲載情報は、将来における結果を示唆するものではありません。

したがいまして、お客様において掲載情報に基づいて行動を起こされた場合でも、当社はその行動結果について何らの責任も負担いたしません。

掲載情報に基づく行動は、お客様の責任と判断によりお願いいたします。掲載情報は、金融商品の売買等の勧誘を意図したり、推奨するものではありません。

お客様において掲載情報に含まれる金融商品の売買等の申込等をご希望される場合には、その掲載情報に記載の金融機関までお客様ご自身でお問い合わせください。

当社はお問い合わせに関し対応いたしかねます。

掲載情報のうち「外為マーケットコラム」等に関しましては、著作権法等の法律により保護されており、

個人の方の私的使用目的以外での使用や権利者に無断での他人への譲渡、販売コピーは認められていません。