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外為マーケットコラム

ドル・円は日銀の追加緩和への期待感と欧州懸念のせめぎあい

【追加緩和期待と欧州懸念でドル・円は動きにくい】
 スペインの財政問題への不安から、欧州債務問題への懸念がくすぶり続けています。債務不安は一時的に後退しても、根本的な解決には時間がかかることから、事あるごとに蒸し返されて、材料視されることとなりそうです。その場合、リスク回避の動きとなり、円は買われやすくなります。

 一方で、日銀の追加緩和への期待感は根強いものとなっています。18日に日銀の西村副総裁は、「必要に応じて追加的な措置を講じる」と述べ、19日に白川総裁は「強力な金融緩和を推進していくことに完全にコミットしている」と述べています。

 こうした日銀サイドの発言もあり、27日の金融政策決定会合で追加緩和を決めるとの観測が広がっています。追加緩和に動くとすれば、買い入れ基金の5〜10兆円増額、今年末までとなっている買い入れ期限を延長といった内容が予想されます。ただ、この程度の内容はすでにマーケットでは織り込まれており、これ以上のサプライズがあるかどうかが注目されます。次回の会合で、物価上昇率1%(前年比)を目指して、デフレ脱却へ動くかどうか、日銀の本気度が試されます。

 ドル・円は欧州債務問題への懸念と日銀の追加緩和への期待感のせめぎあいとなり、1ドル=80〜82円台での推移が見込まれます。ただ、80円接近では底堅い動きとなり、仮に80円割れとなっても長くは続かないでしょう。なお、米国でも最近の経済指標がさえないことで追加緩和への期待感が高まっており、低調な米経済指標が続くと円高に振れやすくなりそうです。

 今後の主な経済指標としては、24日に米2月S&Pケースシラー住宅価格指数、米4月消費者信頼感指数、米3月新築住宅販売件数、25日に英第1四半期国内総生産(GDP)・速報値、米3月耐久財受注、米連邦公開市場委員会(FOMC)、26日に米新規失業保険申請件数、27日に日本3月消費者物価指数・日本3月鉱工業生産指数、日銀金融政策決定会合・政策金利発表、米第1四半期国内総生産(GDP)・速報値などがあります。日銀の金融政策決定会合以外では、米耐久財受注、FOMC、英国と米国のGDPが特に注目されます。

【スペイン国債の入札はまずまず、懸念払しょくとはならず】
 17日のスペイン短期債入札は無難に通過しました。調達金額は32億ユーロとなり、20〜30億ユーロとしていた目標レンジの上限を上回りました。とはいえ、利回りは12カ月物が2.623%、18カ月物が3.110%となり、それぞれ前回の調達利回りの1.418%、1.711%を大きく上回っています。無事に乗り切ったとはいえ、金利上昇は先行きに不安を感じさせる結果となりました。

 注目された19日のスペイン国債入札では、2年債と10年債で合わせて25億ユーロを調達しました。10年債の平均利回りは5.743%となり、前回(1月)の5.403%から上昇しています。スペインの財政問題への懸念が根強いことを示しており、ユーロの上値を抑える要因となりそうです。

 スペイン中央銀行によると、スペインの銀行の不良債権比率は、2月に融資残高の8.2%に達しており、1月の7.9%から上昇しました。特に不動産関連の不良債権の比率が高いとされています。また、スペインの銀行は同国の国債の保有比率が高いとされており、この点も市場の不安心理につながっています。

 欧州中央銀行(ECB)による国債買い入れも一時期待されましたが、当局者の間でも見解が相違しています。ECBが国債購入を再開すれば、市場のセンチメントの悪化を食い止めることとなりそうですが、現時点では積極的な国債購入は期待薄というのが実情です。

 米国では、予想を下回る経済指標が続いていることで、量的緩和第3弾(QE3)への期待が徐々に高まっています。ただ、6月末まではツイストオペが実施されるため、実際に追加緩和策が打ち出されるとしても、6月19〜20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)でということになりそうです。今月24〜25日のFOMCでは、追加緩和を視野に入れた地ならしがあるかどうかに関心が集まります。FOMC後にはバーナンキ議長の会見が予定されており、その発言内容も注目されます。

 ユーロ・ドルは、一時1ユーロ=1.30ドルを割り込む場面もありましたが、1.30ドル割れは一時的な動きとなり、1.30ドル台前半では底堅い動きを見せました。ただ、スペインの財政懸念などから上値は重く、1ユーロ=1.30〜1.33ドル前後での推移が続きそうです。スペインへの懸念が深刻度を増すようなら、1.30ドルを割り込んで下げる可能性も否定できません。

 19〜20日に開催された20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、国際通貨基金(IMF)の財源強化が注目されていました。各国による資金拠出により、調達額は4,300億ドル超に上る見込みです。IMFの財政基盤強化がなさることで、金融危機へのセーフティネットの拡充につながり、債務危機への対応能力が増すこととなります。

【米雇用関連統計でみるとNYダウは引き続き上値の重い動きか】
 このところは世界の金融市場がやや不安定な動きとなっており、米国、欧州、アジアの株が全般に調整しています。スペインの財政懸念や長期金利の利回り上昇による欧州債務問題への不安の再燃や米雇用統計で非農業部門雇用者数が予想を下回ったことなどが背景にあります。

 NYダウは1万3000ドルを割り込む場面も見られるなど、米国の景気回復の鈍化懸念が強まると、さらに下値を追う可能性も出てきます。NYダウは今後、どのような動きが見込まれるのでしょうか?米新規失業保険申請件数を用いて、NYダウの今後を予測してみたいと思います。

 グラフは、米新規失業保険申請件数とNYダウを表示しています。ピンクが米新規失業保険申請件数の4週平均(左軸)で上下を逆に表示してあり、青がNYダウを示しています(右軸)。ピンクのグラフの上昇(数値は低下)は雇用情勢の改善を意味しています。このグラフからは両者の密接な動きが見て取れます。

 なお、米新規失業保険申請件数は、毎週木曜日に発表される週次のデータであり、速報性が高いことで米国の雇用情勢を把握するのに適したデータです。ただ、この統計は発表後に修正されることが多い(というより、ほぼ毎回のように修正される)という特徴があります。このようにブレの大きい統計であるため、グラフでは4週平均を採用しています。

 米新規失業保険申請件数の4週平均は減少傾向を続けていましたが、このところ減少傾向が一服しています。これは改善を続けていた雇用情勢が足踏みしていることを示しています。グラフでは米新規失業保険申請件数がやや下向きとなっており、この傾向が続くようなら、NYダウは引き続き上値の重い展開となりそうです。



2012年4月23日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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