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外為マーケットコラム

ドル・円は上値の重い展開が続きそう

【米雇用統計は予想を下回る】
 注目された4月の米雇用統計は、失業率は8.1%と前月(8.2%)より改善したものの、非農業部門雇用者数は前月比11.5万人増にとどまり、事前予想の16万人増に届きませんでした。この結果、米10年債利回りは1.8%台まで低下しています。

 最近発表された米経済指標は、1日のISM製造業景況指数が予想を上回ったものの、2012年第1四半期・米国内総生産(GDP、速報値)、3月の米個人支出、4月のシカゴ購買部協会景気指数など事前予想を下回る米経済指標が相次ぎました。

 米雇用統計が予想を下回ったことで、米国の景気の先行き不透明感が一段と広がる格好となりました。欧州の政局の不透明感もあり、円は対ドルや対ユーロで買われやすい展開となりそうです。ドル・円はこうした材料に一喜一憂して、1ドル=78〜81円台での推移が見込まれます。現時点では、円買いにつながりやすい材料が多いため、ドル・円は上値の重い展開が続きそうです。

 今後の主な経済指標としては、8日に独3月鉱工業生産指数、9日に日本3月景気動向指数、10日に日本3月経常収支、中国4月貿易収支、英中銀(BOE)政策金利、米3月貿易収支、米新規失業保険申請件数、11日に中国4月消費者物価指数・中国4月生産者物価指数・中国4月鉱工業生産指数・中国4月小売売上高、米4月生産者物価指数、米5月ミシガン大学消費者信頼感指数があります。

【欧州の政局や景気動向に注目】
 欧州では、債務問題や景気動向に加えて、各国の政局の動向も注目されます。フランスでは、5月6日の大統領選の決選投票でオランド候補がサルコジ大統領に勝利しました。これまでサルコジ大統領はドイツのメルケル首相とともに債務問題で中心的な役割を担ってきましたが、オランド候補は景気刺激策や雇用対策を重視する姿勢を示しており、ユーロ圏の財政規律が緩むとの懸念も出ています。

 さらに6日にはギリシャの総選挙が実施され、財政緊縮路線に反対する急進左派連合が第2党に躍進したと報じられています。欧州では緊縮財政に対する国民の不満が広がっているようです。フランスの大統領選とギリシャの総選挙の結果を受けて、ユーロ・ドルは1ユーロ=1.30ドルを割り込んでおり、選挙の結果が政局不透明感につながり、ユーロにはネガティブな材料となっています。

 今後のユーロ・ドルは、米国や欧州の経済指標、欧州各国の政局の動向、各国国債の入札状況に一喜一憂しながら、上値の重い推移が見込まれます。なお、国債入札は、7日にオランダ、フランス、8日にオランダ、オーストリア、9日にドイツ、11日にイタリアなどが予定されています。

 ユーロ・ドルは前週に1ユーロ=1.32ドル台後半まで上昇したものの、その後は政局不透明感などを背景に下向きの流れとなっています。政局の動向を眺めつつ、1ユーロ=1.25〜1.26ドルへ向けて軟調な流れを続けそうです。

【ドル・円は5月中は上値の重い展開か(円安パターンの季節性)】
 ドル・円は3月中旬まで円安トレンドが続いた後に徐々に円高に振れています。2月のはじめから3月中旬にかけて8円ほど円安となり、1ドル=85円に乗せるかと思われましたが、その後は円高基調で推移しています。

 以前にも紹介しましたが、過去に円高で終わった年、円安で終わった年のパターンを確認して、今年の動向きの予測に活用してみます。 2001〜2011年の11年間で、1年を通して円安で終わった年は、2001年、2005年、2006年、2009年の4回、円高で終わったのは2002〜2004年、2007〜2008年、2010〜2011年の7回あります。

 グラフは過去の値動きを指数化したもので、2001〜2011年の平均が青、上記の円安の年だけを平均したものが赤、円高の年だけを平均したものが茶色となっています。いずれも0〜100の指数で表示しています。なお、2012年(緑)は実際の価格となり、右軸で表示しています。グラフによると、今年は円安年(赤)の動きとほぼ同じようなパターンを描いています。

 これまでの動きだけで、今年が円安に振れるとの判断は早計です。ただ、赤いグラフのパターンを踏襲するとなると、上値の重い展開となり、ドル・円は5月中に1ドル=77〜78円前後まで円高が進む可能性が出てきます。円高基調が続くことで、景気の先行きに不透明感が漂い、悲観的な見方が広がりそうですが、5月の中盤から終盤にかけて持ち直して、夏場へかけて円安に転じる展開となりそうです。



2012年5月7日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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