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外為マーケットコラム

ギリシャ情勢に左右される展開か、ドル・円は上値重そう

【欧州の政局混迷でリスク回避の円買いとなりやすい】
 フランス大統領選、ギリシャの総選挙の後、欧州での政局の不透明感から、経済指標よりも欧州債務問題への懸念が金融市場を振り回す材料となっています。ギリシャでは緊縮財政を推進してきた連立与党が総選挙で敗北しており、連立協議も不調に終わっており、6月に再選挙になるとの観測も浮上してきました。

 ギリシャの政局不透明感で、ギリシャがユーロを離脱するとの観測も台頭しつつあり、欧州だけでなく、米国や日本の株式市場にも圧迫要因となっています。各国の株安の影響で、資金は安全資産とされる米国債やドイツ国債へ向かっており、両国の10年債利回りは過去最低水準まで低下しています。リスク回避の動きから米国債が買われて(利回りは低下)、米10年債利回りは一時1.8%を割り込んでいます。米長期債の利回り低下で、ドル・円は上値の重い展開を強いられそうです。

 ドル・円は経済指標よりも欧州の政局の動向に左右されやすい動きとなっています。欧州の動向を眺めつつ、ドル・円は1ドル=78〜81円前後でもみ合いとなり、81円接近では上値を抑えられやすくなりそうです。また、ユーロ・円は一時1ユーロ=103円を割り込んでおり、102〜104円台で上値の重い展開が見込まれます。なお、ドル・円、ユーロ・円ともに日本の当局による円売り介入への警戒感もあり、あまり急激な円高に振れることはないでしょう。

 今後の主な経済指標としては、14日にユーロ圏3月鉱工業生産指数、15日に独第1四半期国内総生産(GDP)・速報値、ユーロ圏第1四半期GDP・速報値、米4月消費者物価指数、米4月小売売上高、16日に日本3月機械受注高、英4月雇用統計、ユーロ圏4月消費者物価指数、米4月住宅着工件数・建設許可件数、米4月鉱工業生産・設備稼働率、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録、17日に日本第1四半期GDP・速報値、日本3月鉱工業生産指数、米新規失業保険申請件数があります。

【スペインの10年債利回りが6%乗せ】
 欧州ではギリシャの政局だけでなく、スペインの銀行の不良債権問題もクローズアップされそうです。スペイン政府は同国の大手銀行であるバンキアを公的管理化に置くと発表しました。事実上の国有化とみられており、同国の金融機関の健全性に対する懸念から、スペインの10年債利回りは9日に6%超まで上昇、その後も6%近辺で推移しています。

 ユーロ・ドルは、ギリシャの政局不透明感に加えて、スペインの財政問題や銀行への懸念を背景に軟調な動きを見せています。なお、フランスで次期大統領に就任するオランド氏が、緊縮よりも成長に軸足を置いた政策を主張しており、欧州連合(EU)でも緊縮一辺倒でなく、財政再建と経済成長を両立させるというスタンスに軸足を移す可能性が出てきました。

 これは短期的に財政再建が足踏みする恐れはあるものの、長い目で見てユーロ圏の経済にはプラスになるとみられます。ただ、ドイツのメルケル首相は財政規律が緩むことを牽制するなど、意見の調整が難航する可能性があります。15日のEU財務相理事会や23日のEU首脳会議の動向が注目されます。

 ギリシャでは連立協議が難航しています。再選挙となった場合、反緊縮を掲げる急進左派連合が再び勝利すると、ギリシャの政局は混迷を深めることとなり、EU、国際通貨基金(IMF)などによる融資が先送りされる可能性が高まります。そうなれば、デフォルト(債務不履行)懸念が高まり、ユーロ離脱へつながるとの見方も出ています。

 今後のユーロ・ドルは、ギリシャの政治情勢やスペインの財政や銀行の健全性などが材料視される展開が見込まれます。ギリシャの政局が混迷を深めると、1ユーロ=1.25〜1.26ドルへ向けて下落する流れとなりそうです。

【日経平均と連動性の高いユーロ・円、今年1月以降は特に顕著】
 以前、豪ドル・円は先進国の株価指数を元にしたMSCIワールドインデックスとの連動性が極めて高いということを説明しました。資源国通貨の代表である豪ドルは世界の景気動向と密接な関係があることがわかりました。豪州は中国との結びつきが強く、豪ドルは上海株の動向に左右されやすい傾向がありましたが、最近は上海株と豪ドル・ドルの相関はやや低下しています。それだけ上海株だけでなく、世界的な景気動向に影響されやすくなったためと思われます。

 世界の株式と通貨は密接な関係があります。ドイツ、フランスなど欧州の株価動向はユーロの行方を左右する傾向があります。日本の午後4時ころに欧州の株式市場はスタートします。株安の場合はたいていユーロ安、株高ならユーロ高に振れる傾向が強いといえます。

 面白いことにユーロ・円は日経平均との連動性が高く推移しています。ユーロ高・円安は輸出関連株にはプラス要因で、逆はマイナス要因となります。また、最近では、ユーロが高いということは債務問題への懸念が後退しているということを示唆しており、ユーロ・円の上昇は日経平均の上げにつながりやすくなっています。

 なお、グラフ期間中の相関係数は0.63と比較的高くなっています。特に今年1月以降では、ユーロ・円と日経平均の相関係数は0.98となり、ほぼ同一歩調で推移しています。株が弱いから円高なのか、円安だから株高なのか、どちらが原因でどちらが結果になると明確には断言できません。というよりも、相互に影響しあう性質のものです。日経平均と通貨の関係見る時は、豪ドル・円やドル・円だけでなく、ユーロ・円との関係も注目されます。



2012年5月14日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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