FX・為替比較はALL外為比較

  • FX会社を探す
  • FXの基礎知識
  • Q&A
  • 外国為替マーケット予想

ALL外為比較 > 外為マーケットコラム > ギリシャの政局混迷、ドル・円は動きにくい展開か

外為マーケットコラム

ギリシャの政局混迷、ドル・円は動きにくい展開か

【ドルが堅調でドル・円はあまり円高に振れず】
 ギリシャで連立協議が決裂して再選挙が決まったことで、同国の政局は混迷を深めています。この前の選挙で第2党となった急進左派連合は「反緊縮」を掲げており、次回の選挙で第1党となる可能性が出てきました。「反緊縮」が推進された場合、欧州連合(EU)、国際通貨基金(IMF)などによるギリシャ支援が凍結され、ギリシャはユーロを離脱するとの観測も高まりつつあります。

 こうした中、リスク回避の動きから各国の株式市場は調整局面を迎えており、NYダウや日経平均は4カ月ぶりの安値圏まで下落しています。通貨では、ユーロや資源国通貨などが売られており、ドルと円が買われやすくなっています。米国の経済指標が比較的良好なこともあり、ドルが堅調でドル・円は1ドル=79〜80円台で推移しており、あまり極端な円高には振れていません。

 ユーロ、円、英ポンド、カナダドル、スウェーデンクローナ、スイスフランといった6通貨で構成されるドルの強さを示すドル・インデックスは5月18日に81.758まで上昇しており、1月16日以来、4カ月ぶりの高値をつけました。ドル・インデックスは5月に入り上昇を続けており、ドルの堅調さがうかがえます。

 なお、ユーロ・円、豪ドル・円、ポンド・円などのクロス円は円高基調で推移しています。特にユーロ・円は1ユーロ=101円を割り込む水準まで下落しました。ギリシャ情勢が不透明なことで、対ユーロでの円高はさらに進む可能性があり、1ユーロ=100円を割り込む可能性も念頭に置いておきたいところです。リスク回避の動きからドルも円も買われやすいことから、ドル・円は1ドル=78〜81円台でのもみ合いが続きそうです。

 今後の主な経済指標としては、21日に日本3月景気動向指数、22日に米4月中古住宅販売件数、23日に日本4月貿易収支、日銀金融政策決定会合、英金融政策委員会(MPC)議事録、米4月新築住宅販売件数、24日に独第1四半期国内総生産(GDP)・改定値、英第1四半期国内総生産(GDP)・改定値、米4月耐久財受注、米新規失業保険申請件数、25日に日本4月消費者物価指数、米5月ミシガン大学消費者信頼感指数があります。

【ギリシャの再選挙は6月17日】
 ギリシャでは再選挙は6月17日に決定しました。「反緊縮」を掲げる急進左派連合がトップとなった場合、反緊縮を推進する勢力がEUやIMFとの合意事項を守らないようだと、融資の凍結や資金不足という事態に陥りかねません。その場合、ギリシャのデフォルト(債務不履行)やユーロ離脱が現実味を帯びてきます。ギリシャの総選挙へ向けて、金融市場も不安定な状況が続きそうです。選挙後にEUとギリシャの間で歩み寄りがみられるかがカギとなりそうです。

 ギリシャの政局混迷により、スペインやイタリアへ影響が波及しつつあります。17日にはスペインの銀行であるバンキアの預金流出騒ぎで株価が急落しました。ただ、スペイン政府は預金流出報道を否定しています。また、格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスはスペインの銀行16行を格下げしました。

 こうした状況で、スペインの国債入札では資金調達コストが大きく上昇、10年債(既発債)の利回りは6.3%台まで上昇しています。なお、イタリアの10年債利回りも5.8%前後まで上昇しています。ギリシャ問題が他国へ波及しつつあり、金融市場の混乱要因となっています。

 15日に就任したフランスのオランド新大統領は、欧州の財政協定の見直しを改めて主張しました。緊縮策一辺倒でなく、成長促進策を追加するように求めています。また、オランド新大統領は15日の就任式の数時間後にドイツのメルケル首相と会談を行っており、独仏両首脳は、若干の相違点もあるものの、ユーロ圏の経済成長促進に関して一致点を見いだすことができると確信していると述べています。

 また、ギリシャにユーロ圏残留を求めることでも意見は一致していると表明しています。18〜19日に米国のメリーランド州キャンプデービッドで開催された主要国(G8)首脳会議では、欧州債務問題への対応で、経済成長と財政再建を両立させる方向で一致、ギリシャにユーロ圏残留を促す宣言をまとめました。ただ、具体策は特に出ませんでした。このため、5月23日や6月末のEU首脳会合で、事態の打開へ向けてどのような解決策が出てくるのかが注目されます。

 今後のユーロ・ドルは、ギリシャ情勢やスペインの銀行の問題などに振り回されつつ、下値を探る動きとなることが見込まれます。年初来安値である1ユーロ=1.2624ドル(1月13日の安値)を割り込めば、1.25ドルまでの下げが視野に入ってきます。

【上昇を続けるスペインの国債の利回り】
 ギリシャで再選挙実施が決まるなど、同国の政局混迷がスペインなどへ波及しつつあります。そうした中、17日に実施したスペインの3年債と4年債の入札では、調達額は目標上限の25億ユーロに達したものの、調達金利は大きく上昇しました。3年債入札では、平均利回りは4.375%で、前回(4月)の2.890%から大きく上昇、4年債入札では、平均利回りは5.106%で、前回(3月)の3.374%大きく上昇しました。

 ギリシャ情勢の不透明感だけでなく、イタリアやスペインの銀行の健全性や財政への懸念から、両国の既発債の国債利回りも上昇傾向にあります。10年債利回りはスペインは6.3%台、イタリアは5.8%台まで上昇しています。ユーロ圏ではリスク回避の動きが加速すると、安全資産として買われるのはドイツ国債で、ドイツの10年債利回りは1.4%台まで低下しています。

 グラフは、スペイン、イタリア、フランスの10年債利回りと、ドイツの10年債利回りの差を表示したものです。ドイツとの金利差はリスク・プレミアムと判断でき、この差が大きいほど金融市場で、その国に対する懸念が高いと見ることができます。フランスは低水準で推移していますが、スペインとイタリアはこのところ上昇傾向にあります。両国に対する市場の懸念がドイツとの利回り格差となって表れています。このまま利回り格差の拡大が続くと、資金調達が困難になる可能性が出てきます。

 グラフにはありませんが、ギリシャの10年債利回りは29%台まで上昇しており、ドイツとの利回り格差は27%前後と常識外の大きさとなっています。ポルトガルの利回りはギリシャより低いものの、12%前後となり、ドイツとの格差は10%を超えています。



2012年5月21日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

 オーバルネクストは、国内外の先物取引や為替情報に関する各種のニュースやデータを配信、またこれらの情報に伴うシステム開発を行っております。スピードと正確性に富むニュースやデータの配信に加え、オーバルネクスト独自の情報分析を含む各種コンテンツを一般投資家や各種ブローカーの皆様へ幅広く提供しています。
詳しくはこちらをご覧ください

コラム一覧へ戻る

当社は「ALL外為比較」に掲載される情報(以下「掲載情報」といいます。)の完全性および正確性を保証いたしません。

また掲載情報は、将来における結果を示唆するものではありません。

したがいまして、お客様において掲載情報に基づいて行動を起こされた場合でも、当社はその行動結果について何らの責任も負担いたしません。

掲載情報に基づく行動は、お客様の責任と判断によりお願いいたします。掲載情報は、金融商品の売買等の勧誘を意図したり、推奨するものではありません。

お客様において掲載情報に含まれる金融商品の売買等の申込等をご希望される場合には、その掲載情報に記載の金融機関までお客様ご自身でお問い合わせください。

当社はお問い合わせに関し対応いたしかねます。

掲載情報のうち「外為マーケットコラム」等に関しましては、著作権法等の法律により保護されており、

個人の方の私的使用目的以外での使用や権利者に無断での他人への譲渡、販売コピーは認められていません。