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外為マーケットコラム

ギリシャのユーロ圏離脱懸念で、金融市場の不安定は続く

【ドル・円はもみ合いもクロス円は円高傾向】
 ギリシャのユーロ圏離脱懸念が広がっており、スペインの金融システム不安もあり、金融市場が不安定さを増しています。各国の株価は下落傾向にあり、リスク回避の動きから通貨では円とドルが買われやすく、安全資産として米国債も買われています(米国金利は低下)。

 23日の日銀の金融政策決定会合では、政策金利、国債などの資産買い入れ枠も据え置きとなりました。大方の市場参加者の予想通りだったものの、一部の海外勢などには追加緩和を期待する向きもあったことで、発表後には失望感から円買いの動きとなりました。

 なお、今回はこれまで声明に盛り込まれていた「強力に金融緩和を推進する」との文言が削除されて、「引き続き適切な政策運営に努めていく」との表現に置き換えられています。白川総裁は金融政策決定会合後の記者会見で、「日銀は強力な金融緩和を推進しており、この姿勢はまったく変わっていない」と強調しています。ただ、単なる文言の変更とはいえ、金融緩和推進への日銀の本気度を疑問視する声も出ています。

 もっとも、6月17日のギリシャの再選挙と、その結果起きるであろう一段のユーロ圏での混乱を前に、現時点では市場参加者に過度な期待を抱かせず、打てる手を温存しているという見方の方が妥当でしょう。次回の金融政策決定会合は、ギリシャの選挙前の6月14〜15日に予定されており、ユーロ圏の情勢に大きな変化がなければ、実際に追加金融緩和を打ち出すのは7月の会合でとなりそうです。なお、市場の一部にはギリシャの総選挙後に臨時の金融政策決定会合を開くとの観測も出ています。

 ユーロ、円、英ポンドなど6通貨で構成されるドルの強さを示すドル・インデックスは5月25日に82.461まで上昇して2010年9月以来の高値をつけました。依然としてドルが堅調に推移していることがうかがえます。

 ドルとともに円も堅調で、ユーロや資源国通貨が売られています。ユーロ・円、豪ドル・円、ポンド・円などのクロス円は円高基調で推移しています。ユーロ・円は1ユーロ=100円を割り込む水準まで下落、ギリシャ情勢の不透明感が続いている間は、クロス円の円高傾向は継続しそうです。ドル・円は1ドル=79〜80円台でのもみ合いが続きそうですが、79円接近では日本の金融当局による円売り介入への警戒感から、下げ渋ることとなりそうです。

 今後の主な経済指標としては、29日に日本4月雇用統計、日本4月有効求人倍率、米3月S&Pケースシラー住宅価格指数、31日に日本4月鉱工業生産指数、独5月雇用統計、ユーロ圏5月消費者物価指数、米5月ADP雇用統計、米第1四半期国内総生産(GDP)・改定値、米新規失業保険申請件数、1日にユーロ圏4月雇用統計、米5月雇用統計、米5月ISM製造業景況指数の発表があります。

【EU首脳会合は目立った成果なし】
 22日にギリシャのパパデモス前首相の「ギリシャのユーロ圏離脱リスクは現実のもので、ユーロ圏離脱の準備が検討されている」との発言が報じられ、ギリシャのユーロ圏離脱が現実味を帯びてきて、ユーロは一段と値を崩すこととなりました。

 23日の欧州連合(EU)首脳会合では、「ギリシャがユーロ圏に残ることを望むものの、ギリシャは約束を守る必要がある」との意見が相次ぎました。ただ、あまり目立った成果はなく、フランスのオランド大統領が提案したユーロ圏共同債は、ドイツなどの反対で意見がまとまりませんでした。

 オランド大統領は、ドイツの緊縮一辺倒のやり方に不満な国々の支持を取り付け、緊縮だけでなく成長を目指す方向性へ舵を切ろうとの意図が感じられました。オランド大統領が各国の支持を取り付ければ、ユーロ圏共同債も実現する可能性が出てくるかもしれません。

 ギリシャの離脱に備える動きも水面下で進んでいるようです。ドイツ連銀は23日に発表した月報で、ギリシャがユーロ圏を離脱すると、その影響はかなり大きいものの「対応することは可能」との認識を示しました。また、EU高官が、ギリシャのユーロ圏離脱に備え、各国に対応策を用意するよう求めたとの報道もあります。フランスの銀行もギリシャのユーロ圏離脱に備えて、対応策を強化したと伝えられています。

 ギリシャの離脱問題と並んで、スペインの銀行の不良債権も懸念されています。国際金融協会(IIF)によると、スペインの銀行の不良債権は最大で2600億ユーロに膨らむ可能性があり、新たに760億ユーロの引当金が必要になるとの見通しを示しました。こうした中、スペインの銀行バンキアは、スペイン政府に190億ユーロの資本注入を要請、これは当初想定された2倍の額となっています。また、スペインの中でも裕福とされるカタルーニャ州が中央政府に金融支援を要請したことも明らかになりました。ギリシャ問題と並んでスペインの金融システム不安はユーロの圧迫要因となっています。

 今後のユーロ・ドルは、ギリシャのユーロ圏離脱懸念やスペインの金融システム不安などが圧迫要因となり、下値を探る動きとなることが見込まれます。投機筋による買い戻しの動きから、反発する可能性はあるものの、買い戻しが一巡すると再び下げに転じそうです。一時1ユーロ=1.25ドルを割り込んでおり、1ユーロ=1.20〜1.22ドルまでの下げがありそうです。

【高水準の売り越し続くユーロ・ドル】
 米商品先物取引委員会(CFTC)は毎週金曜日にその週の火曜日時点での建玉明細を発表しています。この中で、大口投機家の売り越し幅、買い越し幅の変動は、相場の方向と連動性が高いケースが多く、特に注目されています。

 グラフはユーロ・ドルの大口投機玉の建玉明細のグラフで、水色はユーロ・ドルの終値(これのみ左軸)、緑の棒グラフは買い玉、ピンクは売り玉です。赤は買い玉から売り玉を差し引いたネットポジションで、最も注目される数値となっています。赤のグラフがゼロより下にあるときは大口投機玉は売り越し、赤がゼロより上なら買い越しとなります。

 グラフによると、ユーロ・ドルは売りが膨らみ、売り越し傾向が強まっています。ギリシャの総選挙後、連立協議が決裂して再選挙が決まり、「反緊縮」を掲げる急進左派連合が再選挙で第1党となる可能性が出てきました。もしそうなれば、「反緊縮」が推進された場合、欧州連合(EU)、国際通貨基金(IMF)などによるギリシャ支援が凍結され、ギリシャはユーロを離脱するとの観測も高まっているためです。

 水色の価格と赤のネットポジションは連動性が高いことがわかります。大口投機家の売り越し枚数は、5月22日時点で195,361枚となり、過去最高の売り越しとなりました。ギリシャ情勢が落ち着きを見せ、ユーロ圏離脱懸念が後退しない限り、ユーロへの売り圧力は続く可能性が高いとみられます。ユーロの売り持ちが膨らんでいることで、買い戻しの動きからユーロが上昇する場面もありそうですが、一時的な動きにとどまるでしょう。



2012年5月28日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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