FX・為替比較はALL外為比較

  • FX会社を探す
  • FXの基礎知識
  • Q&A
  • 外国為替マーケット予想

ALL外為比較 > 外為マーケットコラム > ユーロ・ドルの上昇は一時的か、買い戻し一巡後は上げ一服か

外為マーケットコラム

ユーロ・ドルの上昇は一時的か、買い戻し一巡後は上げ一服か

【ギリシャの再選挙後の動きに注目】
 17日に実施されたギリシャの再選挙では、緊縮派の新民主主義党(ND)が勝利を収め、全ギリシャ社会主義運動(PASOK)と合わせて過半数を制したもようです。反緊縮を掲げる急進左派連合が敗れたことで、緊縮策の「白紙撤回」に伴うユーロ圏離脱という最悪の事態を免れることとなりました。

 18日の外国為替市場では、緊縮派の勝利を好感してユーロ・ドルが1ユーロ=1.27ドル台まで上昇しています。ただ、緊縮派が勝利したとはいえ、ギリシャの抱える財政問題が何ら解決したわけではありません。今後は欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)は新政権と緊縮プログラムの修正交渉に応じることとなりそうです。ただ、ドイツは一段のギリシャ支援に難色を示すとみられ、その推移が注目されます。

 18〜19日の20カ国・地域(G20)首脳会議を控え、G20当局者からはギリシャの再選挙後の金融市場の混乱に対処するため、主要国の中央銀行が流動性供給策を準備していると報じられました。もし混乱が生じれば、各国が協調して迅速な対応策を打ち出すとみられます。なお、19〜20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、今回、量的緩和第3弾(QE3)が決まることはなく、追加緩和策が打ち出されてもツイストオペの延長にとどまりそうです。

 なお、14〜15日での日銀金融政策決定会合では、政策金利を据え置くとともに、資産などの買い入れ枠も70兆円に据え置きました。今回は見送りとなったものの、17日にギリシャの再選挙後に金融市場で混乱が生じるようなら、臨時の金融政策決定会合を開催して、金融機関への資金供給などへ動くことが見込まれます。ただ、緊縮派が勝利したことで、しばらくは推移を見守る動きとなりそうです。

 最近のドル・円は、ギリシャの再選挙を控えて、スペインの金融システム不安などに振り回される中、ポジション調整の動きが中心となり、明確な方向感に乏しく推移していました。ドル・円は1ドル=78〜79円台を中心に狭いレンジで一進一退の動きを続けていました。ギリシャの再選挙の結果を好感して、ユーロや資源国通貨は上昇しているものの、ドル・円は方向感のない動きが続いて、1ドル=78〜80円近辺での推移が見込まれます。

 今後の主な経済指標としては、19日に日本4月景気動向指数、オーストラリア準備銀行(RBA)議事録、独6月ZEW景況感指数、米5月建設許可件数・建設許可件数、20日に日銀・金融政策決定会合議事要旨、日本5月貿易収支、独5月生産者物価指数、英金融政策委員会(MPC)議事録、英5月雇用統計、米連邦公開市場委員会(FOMC)、21日に米新規失業保険申請件数、米6月フィラデルフィア連銀景況指数、米5月中古住宅販売件数、22日に独6月ifo景況感指数などがあります。

【スペインの銀行支援のアナウンスメント効果は続かず】
 9日にユーロ圏財務相が電話会議を開き、スペインの金融機関へ最大で1,000億ユーロの支援を行うことで合意しました。この結果、ユーロは買い戻され、各国の株価も上昇したものの、そうしたポジティブな動きは一時的なものにとどまり、かえってスペインへの財政懸念が広がることとなりました。

 欧州金融安定ファシリティー(EFSF)や7月に発足する欧州金融安定メカニズム(ESM)などの救済基金が、スペインの銀行へ直接資本注入すればスペインの財政を悪化させることはありません。ただ、今回の支援の仕組みでは、EFSFやESMがスペインの銀行再編基金(FROB)へ融資して、FROBが同国内の銀行に資本注入を行います。スペイン政府は銀行への資本注入に全責任を負うこととなっており、これではスペイン政府の財政負担は軽減されるどころか、増してしまう恐れがあります。

 また、ESMは債権者として優先権があり、仮にスペイン債がデフォルト(債務不履行)した場合は、民間投資家などの債権保有者は後回しにされてしまいます。また、13日には格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスがスペインを3段階格下げしました。こうした状況で、スペインの国債利回りは上昇傾向にあり、14日には10年債利回りは自力での資金調達が困難とされる「危険水域」の7%まで上昇しています。

 スペインの影響が波及して、イタリア国債の利回りも上昇傾向にあります。19日と21日のスペイン国債入札で無事に資金調達ができるかが注目されます。なお、ギリシャの再選挙で緊縮派が勝利したことで、市場のセンチメントが好転してスペインへの懸念も若干後退することが見込まれます。

 ユーロ・ドルはギリシャで緊縮派が勝利したことで、18日には1ユーロ=1.27ドル台まで上昇を見せました。ただ、ギリシャの財政問題は何ら解決したわけではなく、買い戻しが一巡するとユーロ・ドルは上値を抑えられる可能性が高いとみられます。

 15日に発表された12日点での米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細では、大口投機玉のユーロの売り越しは、過去最高だった5日時点の21万4,418枚から、19万5,187枚へと減少しました。13日以降のユーロ・ドルの堅調な動きを見る限り、一段と買い戻しが進んで、さらに売り越しが減少しているとみられます。目先は買い戻しの動きから、ユーロ・ドルは1ユーロ=1.28〜1.29ドル近辺までさらに上昇する可能性はあるものの、買い戻しが一巡すると上昇一服となり、1.30ドルの回復は難しいでしょう。

【米雇用情勢の悪化が一服すれば、NYダウは持ち直しか】
 世界の株価指数を代表するNYダウは5月の上旬より下落していましたが、欧米の金融当局による追加金融緩和期待などから持ち直しつつあります。米国の経済指標は6月1日に発表された5月の米雇用統計に代表されるようにさえないものが多く、景気の先行き不透明感が広がりつつあります。そうした中、NYダウがどのような動きを見せるのか、米新規失業保険申請件数を用いて、NYダウの今後を予測してみたいと思います。

 グラフは、米新規失業保険申請件数とNYダウを表示しています。ピンクが米新規失業保険申請件数の4週平均(左軸)で上下を逆に表示してあり、青がNYダウを示しています(右軸)。ピンクのグラフの上昇(数値は低下)は雇用情勢の改善、ピンクのグラフの下落は雇用情勢の悪化を意味しています。このグラフからは両者の密接な動きが見て取れます。

 なお、米新規失業保険申請件数は、毎週木曜日に発表される週次のデータであり、速報性が高いことで米国の雇用情勢を把握するのに適したデータです。ただ、この統計は発表後に修正されることが多い(というより、ほぼ毎回のように修正される)という特徴があります。このように速報性は高いものの、ブレの大きい統計であるため、グラフでは4週平均を採用しています。

 このグラフでは、ピンクのグラフの上昇が頭打ちとなり、雇用情勢の改善傾向は鈍化傾向にあります。それと歩調を合わせてNYダウもピークから軟化しています。ただ、雇用情勢の悪化は過去と比べてそれほど極端なものではなく、「悪化」というよりは「改善傾向がやや鈍化」という程度と判断できそうです。

 このため、米新規失業保険申請件数が40万件に達するなど悪化傾向が続けば、NYダウには圧迫要因となりますが、40万件を下回る水準で推移して、今後減少に転じれば、株高につながることとなりそうです。現在の米新規失業保険申請件数の推移から判断して、1万2,000ドルを大きく割り込むような大幅な下げはないとみられます。



2012年6月18日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

 オーバルネクストは、国内外の先物取引や為替情報に関する各種のニュースやデータを配信、またこれらの情報に伴うシステム開発を行っております。スピードと正確性に富むニュースやデータの配信に加え、オーバルネクスト独自の情報分析を含む各種コンテンツを一般投資家や各種ブローカーの皆様へ幅広く提供しています。
詳しくはこちらをご覧ください

コラム一覧へ戻る

当社は「ALL外為比較」に掲載される情報(以下「掲載情報」といいます。)の完全性および正確性を保証いたしません。

また掲載情報は、将来における結果を示唆するものではありません。

したがいまして、お客様において掲載情報に基づいて行動を起こされた場合でも、当社はその行動結果について何らの責任も負担いたしません。

掲載情報に基づく行動は、お客様の責任と判断によりお願いいたします。掲載情報は、金融商品の売買等の勧誘を意図したり、推奨するものではありません。

お客様において掲載情報に含まれる金融商品の売買等の申込等をご希望される場合には、その掲載情報に記載の金融機関までお客様ご自身でお問い合わせください。

当社はお問い合わせに関し対応いたしかねます。

掲載情報のうち「外為マーケットコラム」等に関しましては、著作権法等の法律により保護されており、

個人の方の私的使用目的以外での使用や権利者に無断での他人への譲渡、販売コピーは認められていません。