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外為マーケットコラム

次回の日銀金融政策決定会合で、追加緩和は期待薄

【ECBの利下げや経済指標悪化でユーロは売られる】
 5日の欧州中央銀行(ECB)理事会では、政策金利を大方の予想通り0.25%引き下げて、0.75%としました。記者会見でECBのドラギ総裁は、景気の下振れリスクがあるとの認識を示しました。ただ、国債の買い入れた長期の資金供給オペなどの一段の緩和策については言及していません。

 このため、やや失望感もあり、スペインやイタリアの国債利回りが上昇するなど、欧州債務危機への懸念が根強いことが示されました。ECBの利下げに加えて、最近の欧米市場の経済指標の悪化がユーロ売りの動きにつながっています。

 2日に発表されたユーロ圏の失業率は11.1%となり、過去最悪の水準に達しました。また、米ISM製造業景況指数は49.7となり、好不況の景気判断の分かれ目となる50を2009年7月以来はじめて下回っています。4日に発表された6月の独サービス部門購買担当者景気指数(PMI)が前月の51.8から49.9に低下。米ISM非製造業景況指数は2年半ぶりの低水準となるなど、欧米市場で景気の悪化を示す経済指標が相次ぎました。そして6日に発表された米雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比8万人増にとどまり、事前予想の10万人増を下回り、米国の景気減速懸念が高まりました。

 6月28〜29日の欧州連合(EU)首脳会議で合意された欧州金融安定メカニズム(ESM)が銀行に直接資本注入できるようにすることや、ESMからの融資には民間債権者よりも優先される返済条件をつけないことは市場で好感されました。ただ、ESMが南欧国債を買い入れる件は、フィンランドやオランダから反対の声が出てきているなど、債務危機克服へ向けて意見の対立が見られることなどは気がかりです。

 ESMによるスペインの銀行への資本注入が実行されれば、スペインの国債利回りは低下が見込まれ、債務危機への懸念が後退しそうです。ただ、ESMによる国債買い入れがフィンランドなどの反対で実現せず、さらにユーロ圏の経済指標の悪化が続けば、ユーロ・ドルは上値の重い展開を強いられることとなりそうです。1ユーロ=1.23ドルを下抜いてきたことで、1.20〜1.21ドル前後まで下げる可能性も出てきました。

【日銀に過度の期待は禁物】
 5日にECBが利下げに動いただけでなく、同日に英中銀(BOE)も金融政策委員会を開催して、量的緩和の拡大を決定しました。国債などを買い入れる枠を500億ポンド増額して、3,750億ポンドとしています。英国での景気後退に対応して、金融面からの支援を実施します。さらに中国も景気テコ入れのために2カ月連続での利下げに踏み切りました。景気減速へ対応するために各国の金融当局は対応を迫られる状況が続いています。

 ドル・円は5日に一時1ドル=80円台に乗せたものの、あまり極端な値動きはなく、このところ79〜80円台で一進一退の動きが続いています。これまでと同様にリスクオンでは、円とドルが両方売られ、リスクオフでは円とドルが両方買われる展開となりやすくなっています。このため、ドル・円は一方向に傾きにくい状況が続きそうです。

 11〜12日に日銀の金融政策決定会合が開催されます。日銀に一段の金融緩和を期待する向きもありますが、ちょっと難しそうです。2日の日銀短観では、大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)が−1となり、前回の−4から改善しました。この数値に代表されるように日本の景気が緩やかに回復している状況が示されたことから、今回は金融政策が据え置かれる可能性が高そうです。「日銀の追加緩和による一段の円安進行」というシナリオは描きにくくなっています。日銀に過度の期待は禁物です。ただ、前回と同様に海外勢などは緩和期待から事前に円売りに動く向きもありそうで、その場合、金融政策に変更なしとなれば、失望感から円高に振れる可能性もあります。

 ドル・円は引き続き狭いレンジでの推移が見込まれます。1ドル=79〜80円台で推移しそうです。81円接近では輸出筋の売りに押され、79円割れでは介入警戒感から下げ渋りそうです。ドル・円が一段と上昇するには、米国の経済指標の改善が続いて米長期金利が上昇に転じることや、欧州債務危機の克服へ向けて、EU首脳会議での合意事項が市場の予想以上に迅速に大規模に実施されることなどが必要となるでしょう。

 今後の主な経済指標としては、10日に中国6月貿易収支、英5月鉱工業生産指数、11日に独6月消費者物価指数、米5月貿易収支、12日に豪6月雇用統計、日銀金融政策決定会合・政策金利、ユーロ圏5月鉱工業生産指数、米新規失業保険申請件数、13日に中国6月鉱工業生産指数・中国第2四半期国内総生産(GDP)、中国6月小売売上高、日本5月鉱工業生産指数、米6月生産者物価指数、米7月ミシガン大学消費者信頼感指数などがあります。

【明確なバイアスのない7月の通貨市場、値動きは6月より大きい】
 昨年までの過去10年間の月足を元に、その月の通貨の傾向を見ると、先月(6月)はポジティブなバイアスがかかりやすい月となっていました。7月がどうなのかを確認しておきましょう。グラフは2002〜2011年の10年間について、主要通貨や商品などが7月の月足が陽線になった比率を示しています。陽線とは終値が始値よりも上昇したことを意味しています。ここで、ドル・円やクロス円が陽線になりやすい(すなわち上昇しやすい)ということは、円安に振れやすいということを示しています。

 グラフによると、7月はユーロ・ドルが40.0%とやや陰線となりやすく、ドル・円、豪ドル・ドル、ポンド・ドルが60.0%でやや陽線となりやすく、豪ドル・円、ポンド・円、ユーロ・円は50.0%バイアスがありません。いずれも極端な偏りがなく、明確なバイアスのない月となっています。なお、通貨以外では、NY原油(WTI原油)が80.0%と上げやすいものの、ドル建て金が50.0%、NYダウが60.0%と目立った偏りはありません。

 なお、過去10年間の各通貨の7月の平均値幅は次の通りです。通貨間で標準化するためpipsで表示しています(カッコ内は6月の値幅)。ドル・円は458(444)、豪ドル・円は543(456)、豪ドル・ドルは460(371)、ポンド・円は895(748)、ポンド・ドルは691(663)、ユーロ・円は622(549)、ユーロ・ドルは520(514)となっています。

 ドル・円や豪ドル・円はそれぞれ4.58円、5.43円の値幅ということになります。豪ドル・ドルは0.0460ドル、ユーロ・ドルは0.0520ドルとなります。いずれも7月の値幅が6月の値幅を上回っています。7月は月足として陰線・陽線になりやすいという偏りは少ないものの、6月に比べて月間の値動きが大きくなる傾向があります。



2012年7月9日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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