FX・為替比較はALL外為比較

  • FX会社を探す
  • FXの基礎知識
  • Q&A
  • 外国為替マーケット予想

ALL外為比較 > 外為マーケットコラム > 日米金融当局の姿勢の差で、ドル・円は上値重く推移か

外為マーケットコラム

日米金融当局の姿勢の差で、ドル・円は上値重く推移か

【QE3の早期実施はなさそう】
 米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は、17日と18日の議会証言で、米国経済の先行きに慎重な見方を示したものの、量的緩和第3弾(QE3)への具体的な言及はありませんでした。経済情勢が一段と悪化すれば、追加緩和に動く可能性は高いものの、早期の追加緩和は期待薄のようです。7月31日〜8月1日に予定されている次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加緩和策が決まる可能性は低く、仮に実現するとしても9月の会合でとなるでしょう。

 格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは13日にイタリア国債を2段階格下げした影響で、16日にイタリアの銀行13行を格下げしました。20日には、スペインのバレンシア州が中央政府に財政支援を要請するなど、欧州の債務問題への懸念が一段と深刻化しています。こうした動きを受けて、イタリアやスペイン国債の利回りは上昇しており、20日時点で10年物の国債利回りは、スペインが7.2%前後、イタリアも6.1%超まで上昇しています。

 今後、懸念されるのがドイツ憲法裁判所の動きです。ここでは、欧州金融安定メカニズム(ESM)と新財政協定の合憲性の判断を下しますが、判断を示す時期を9月としています。ドイツの承認がないことには、ESMは活動を始めることができません。当初7月に発足予定だったESMの活動開始が遅れると、債務危機克服への対応が遅れる恐れが出てきそうです。

 ユーロ・ドルは、7月の中旬まで売りが膨らんでいたことや、さえない米国経済の影響でドルが売られやすくなっていることから、一時下げ渋っていました。ただ、欧州債務問題への懸念は根強く、ユーロ・ドルは再び下げに転じており、1ユーロ=1.20ドル割れへ向けて下落する展開となりそうです。買い戻しの動きから上げても、一時的な戻りにとどまり、1ユーロ=1.22〜1.23ドル前後までとなりそうです。

【米長期金利の低下でドル・円は上値が重い】
 FRBのバーナンキ議長は追加緩和に対して言及はしていないものの、景気の下振れリスクは警戒しています。景気の状況が一段と悪化するようなら、追加緩和へ動くとの期待が市場には根強くあります。経済指標はさえないこともあり、米10年物国債の利回りは、1.5%を割り込む水準まで下落しています。一方、日銀は追加緩和へあまり前向きとは言えず、いずれは金融緩和に動くとみられるFRBとの姿勢の差もあり、ドルが売られやすくなっており、ドル・円は1ドル=78円台まで下落しています。

 今後の主な経済指標としては、23日に豪第2四半期生産者物価指数、24日に米5月住宅価格指数、25日に日本6月貿易収支、豪第2四半期消費者物価指数、独7月ifo景況感指数、英第2四半期国内総生産(GDP)・速報値、米6月新築住宅販売件数、26日にニュージーランド準備銀行(RBNZ)政策金利、米6月耐久財受注、米新規失業保険申請件数、27日に日本6月消費者物価指数、独7月消費者物価指数、米第2四半期国内総生産(GDP)・速報値、米第2四半期個人消費・速報値などがあります。

 16日に発表された6月の米個人消費は前月比0.5%減となり、事前予想に反してマイナスとなりました。GDPの約7割を占めると言われる個人消費の低迷は先行きに不安を感じさせる材料です。6月時点では春先と比べてガソリン価格が下落しており、車社会の米国では消費にプラス要因となるとみられましたが、そうはなりませんでした。さえない個人消費が27日の米GDPにどう影響しているかが注目されます。 でしょう。

 ドル・円は、米10年債利回りが過去最低水準近辺で推移していることから、上値を抑えられやすい展開が見込まれます。米GDPをはじめとして、今後の米経済指標が景気減速を示すような内容となれば、米長期金利は低水準で推移する可能性が高いとみられます。そうなればドル・円は上値を抑えられ、1ドル=78〜79円台のレンジでの推移となりそうです。

【スペインやイタリアの利回りは高止まり】
 欧州債務危機への具体的な対応策が打ち出されてこないこともあり、スペインやイタリアの利回りは高止まりしています。スペインは7%台前半、イタリアは6%台前半まで上昇しています。スペインの利回りは自力での金調達が困難になる「危険水域」とされる7%を突破してきました。両国の利回りは、欧州債務問題の深刻度を量るバロメータと言えそうです。

 ユーロ圏では、安全な国の国際へ資金がシフトしており、ドイツ、オランダ、オーストリア、ベルギーなどの国債は利回りが過去最低水準まで低下しています。ドイツの2年債利回りは、マイナス金利となる水準まで利回りが低下する異常事態となっています。

 グラフは、スペイン、イタリア、フランスの10年物国債の利回りとドイツの10年物国債の利回りの差を示しています。ドイツの利回りが低下傾向を続ける中、スペインやイタリアとの利回りの差は拡大傾向にあります。この差は、リスク・プレミアムとみなすことができ、差が大きいほどその国の信用力が低いと判断できます。

 スペインやイタリアとの利回りの差は拡大傾向にあり、両国の信用力低下に歯止めがかからない状況が続いています。債務危機克服へ向けて、具体的なアクションが実行されない限り、スペインやイタリア国債の利回りは低下せず、ドイツ国債との利回りの差も縮小しないでしょう。



2012年7月23日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

 オーバルネクストは、国内外の先物取引や為替情報に関する各種のニュースやデータを配信、またこれらの情報に伴うシステム開発を行っております。スピードと正確性に富むニュースやデータの配信に加え、オーバルネクスト独自の情報分析を含む各種コンテンツを一般投資家や各種ブローカーの皆様へ幅広く提供しています。
詳しくはこちらをご覧ください

コラム一覧へ戻る

当社は「ALL外為比較」に掲載される情報(以下「掲載情報」といいます。)の完全性および正確性を保証いたしません。

また掲載情報は、将来における結果を示唆するものではありません。

したがいまして、お客様において掲載情報に基づいて行動を起こされた場合でも、当社はその行動結果について何らの責任も負担いたしません。

掲載情報に基づく行動は、お客様の責任と判断によりお願いいたします。掲載情報は、金融商品の売買等の勧誘を意図したり、推奨するものではありません。

お客様において掲載情報に含まれる金融商品の売買等の申込等をご希望される場合には、その掲載情報に記載の金融機関までお客様ご自身でお問い合わせください。

当社はお問い合わせに関し対応いたしかねます。

掲載情報のうち「外為マーケットコラム」等に関しましては、著作権法等の法律により保護されており、

個人の方の私的使用目的以外での使用や権利者に無断での他人への譲渡、販売コピーは認められていません。