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外為マーケットコラム

米長期金利の上昇で、ドル・円には上値余地がありそう

【ユーロ・ドルは債務危機への対応策などに左右される展開か】
 ドイツのメルケル首相が、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁の「ユーロを守るためにできることは何でもする」との発言を支持する姿勢を表明したことから、欧州債務危機への懸念がやや後退しています。ただ、発言を支持したからといって、それが次の具体的な行動につながるとは限りません。ドイツではECBによる南欧諸国の国債買い入れには否定的な意見が根強く残っています。

 ただ、ECBが行動を起こすことへの期待感もあり、ユーロは底堅い動きとなっており、スペインの10年物国債の利回りは6%台半ばまで低下するなど、落ち着きを見せています。ユーロ・ドルはスペインの利回りと逆相関の動きを見せており、スペインの利回りが落ち着きを見せると、ユーロ・ドルは堅調な動きとなっています。

 ユーロ圏の景気の先行きは減速が懸念されます。ユーロ圏の第2四半期域内総生産(GDP)は前期比−0.2%、前年比−0.4%と景気減速を示しています。第2四半期のGDPはドイツが前期比+0.3%(第1四半期は同+0.5%)、フランスは同0.0%(第1四半期は同0.0%)となり、ユーロ圏を牽引する両国の景気も伸び悩みを見せています。景気テコ入れのために、9月6日に開催されるECB理事会で、利下げなど景気に配慮した対策が打ち出されるとの期待も高まっています。

 また、9月12日にはドイツの憲法裁判所が欧州金融安定メカニズム(ESM)や財政協定を合憲とみなすかどうかの判断が下されます。ESMが合憲とみなされれば、発足の運びとなりそうです。そうなると、救済基金が拡充されることで、セイフティネットが充実することとなり、債務危機への懸念が後退することが見込まれます。

 ユーロ・ドルはユーロ圏内の景気動向や債務危機への対応などの動向を眺めつつ、1ユーロ=1.21〜1.24ドル台のレンジで推移することが見込まれます。スペインなどの南欧諸国の国債買い入れに否定的な見解が広がって、買い入れへの期待感が後退したり、ギリシャの債務問題が再燃するようなら、売りに押される可能性が高まりそうです。逆に債務危機克服へ進展があれば、逆に上昇することとなりそうです。

 今週はギリシャのサマラス首相が、ドイツのメルケル首相、フランスのオランド大統領を訪問して会談を行う予定となっています。ギリシャ側からは緊縮期間の延長などを申し入れると見込まれ、その動向次第ではユーロ・ドルを振り回す要因となりそうです。

【米長期金利の上昇がドル・円の支援材料に】
 8月3日の米雇用統計で非農業部門雇用者数が事前予想を上回ったあたりから、米10年物国債の利回りは緩やかに上昇に向かっています。その後の経済指標は強弱まちまちながら、14日の7月の米小売売上高、15日の米鉱工業生産指数が予想を上回ったことなどから、10年債利回りは1.8%台まで上昇しています。

 米10年債利回りは、7月下旬に1.3%台まで下落したものの、その後は米国の景気への過度な懸念が後退した上、米国株が堅調に推移して、NYダウが約3カ月半ぶりの高値圏まで上昇していることもあり、米長期金利は上昇基調で推移しています。

 米国の長期金利の上昇により、ドル買い/円売りの動きにつながり、ドル・円は1ドル=79円台後半まで上昇しています。ドル・円と連動性の高い日米の2年債の利回りの差も拡大傾向にあり、ドル・円には一段の上値余地が出てきたと言えそうです。もっとも、米長期金利の上昇はこれまで、リスク回避の動きから米国債を買っていた向きの手じまい売りによるところも大きいとみられます。このため、米長期金利の上昇が今後も継続して続くかどうかは注意深く見ていく必要がありそうです。

 なお、7月の米小売売上高など、良好な経済指標も出てきたことから、米連邦準備理事会(FRB)による追加緩和への期待感は若干後退しつつあります。8月末にワイオミング州ジャクソンホールで行われるバーナンキFRB議長の講演に注目が集まっており、今後の景気動向次第では、9月12〜13日に実施される次回のFOMCで量的緩和第3弾(QE3)が打ち出されるとの観測も出ています。

 今後の主な経済指標としては20日に日本6月景気動向指数、21日に米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録、22日に日本7月貿易収支、米7月中古住宅販売件数、23日に独第2四半期国内総生産(GDP)・改定値、米新規失業保険申請件数、米7月新築住宅販売件数、米6月住宅価格指数、24日に英第2四半期国内総生産(GDP)・改定値、米7月耐久財受注などの統計が発表されます。

 例年、8月はドル・円やクロス円は円高に振れやすく、一段の円高を警戒する向きもあったものの、今年は「8月の円高」が不発に終わる可能性が出てきました。米国の経済指標が良好な結果となれば、米長期金利はじり高で推移して、ドル・円は1ドル=80円へ向けて上昇することとなりそうです。ただ、輸出筋によるドル売りの動きなどに押されやすくなるとみられ、あまり急激に円安に傾くことはないでしょう。

【日米の2年債利回りの差からはドル・円は上値余地も】
 ドル・円は米国と日本の2年物国債の利回りの際に連動しやすいことは広く知られています。グラフは日米の2年債の利回りの差(青、左軸)とドル・円(ピンク、右軸)の推移を示したものです。

 これによると、両者は似たような動きで推移しており、グラフの表示期間中の相関係数は0.84と高水準となっています。相関係数とは、2つのデータ間の連動性の強さを示す指標です。-1.0〜1.0の範囲で動き、1.0で完全に同じ動き、-1.0で全く逆の動き(逆相関)、ゼロなら相関なしと判断されます。この数字が1.0に近いほど値動きが似ていると言え、0.8〜0.9なら極めて相関が高く、動きが似ていると判断できます。

 このところ、米経済指標に良好なものが見られることで、景気減速への懸念が後退しており、米長期金利は上昇に転じています。この結果、日米の金利差は拡大傾向にあります。最近の日米の金利差の拡大と比べて、ドル・円の上昇は緩やかとなっています。

 このため、両者の連動性の高さからして、ドル・円には一段の上昇の余地がありそうです。なお、米経済指標が徐々に好転して、米長期金利の上昇傾向がさらに続くようなら、金利差は引き続き拡大して、ドル・円の支援材料となりそうです。



2012年8月20日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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