FX・為替比較はALL外為比較

  • FX会社を探す
  • FXの基礎知識
  • Q&A
  • 外国為替マーケット予想

ALL外為比較 > 外為マーケットコラム > 米国の追加緩和期待で、ドル・円は上値重く推移か

外為マーケットコラム

米国の追加緩和期待で、ドル・円は上値重く推移か

【ECBへの期待感が膨らむ】
 米ワイオミング州ジャクソンホールで8月31日に米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長が講演を行い、必要に応じて追加の金融緩和に動くとの姿勢を示しました。ただ、具体的な規模や時期については言及しませんでした。この講演を受けて、米国株が買われ、ドルが売られています。

 ただ、米国での追加緩和に関しては米連邦公開市場委員会(FOMC)のメンバーの中でも見解が様々で、9月12〜13日に実施される次回のFOMCで追加緩和に動くかどうかは、市場関係者の見方も分かれています。9月7日には8月の米雇用統計が発表され、前回のように予想を大きく上回ると、緩和期待が後退することとなりそうです。

 ジャクソンホールでの講演で、FRBは必要に応じて追加緩和に動くとの姿勢が示されたことで、米長期金利には低下圧力がかかり、ドル・円の上値を抑えています。バーナンキ議長の講演を終えたことで、目先は経済指標に左右されやすい展開となりそうです。ただ、米国での追加緩和期待からドルは売られやすく、ドル・円は上値重く推移しそうです。ドル・円は大きく上昇するのは難しいとみられ、目先は1ドル=78〜79円台でのレンジ相場が続きそうです。

 今後の主な経済指標としては、4日にオーストラリア準備銀行(RBA)政策金利、米8月ISM製造業景況指数、5日に豪第2四半期国内総生産(GDP)、ユーロ圏7月小売売上高指数、カナダ銀行(BOC)政策金利、6日に豪8月雇用統計、ユーロ圏第2四半期域内総生産(GDP)・改定値、英中銀(BOE)政策金利、欧州中央銀行(ECB)政策金利、米8月ADP雇用統計、米新規失業保険申請件数、米8月ISM非製造業景況指数、7日に豪7月貿易収支、日本7月景気動向指数、英7月鉱工業生産指数、独7月鉱工業生産指数、米8月雇用統計などの統計が発表されます。

【ECBは国債買い入れに動くか】
 欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、多忙のためジャクソンホールでのシンポジウムに欠席しました。欠席の理由は、6日のECB理事会に向け、南欧国債の購入の買い入れの詳細を詰めるのに忙しいためとの見方が広がりました。ドイツ国債と各国の国債利回りの差に目安を設定して、その範囲内に収まるように国債の買い入れを行うとの報道もあり、市場での期待は高まっています。

 ただ、ECBの国債買い入れには反対意見も根強くあります。ドイツ連銀のバイトマン総裁は強く反対しており、ECBによる国債買い入れは政府に対するファイナンス(資金提供)に該当すると警告しています。ベルギーやフィンランドの当局者も批判的です。こうした中、ECBのアスムセン専務理事は、ECBによる政府へのファイナンスに該当するとの懸念を払拭するために、買い入れる国債の対象を短期債に限るとのプランを策定中と明らかにしています。

 市場では9月6日のECB理事会で、南欧国債買い入れに関してどのような具体策が発表されるかが注目されます。スペインやイタリアの利回りを低下させるような対応策が示されれば、ユーロ買いの動きにつながり、1ユーロ=1.27ドルへ向けて上昇しそうです。なお、スペインのカタルーニャ州など地方政府の一部は、中央政府に対して資金支援を要請すると報じられています。ECBへの期待感から、今はそれほど悪材料視されていませんが、6日のECB理事会が肩透かしに終われば、ユーロを崩す一因となりそうです。

 9月12日にはドイツの憲法裁判所が欧州金融安定メカニズム(ESM)や財政協定を合憲とみなすかどうかの判断を下します。この判断が下る前にECBは債券購入には動かないとの見方も出ています。また、9月14〜15日には欧州連合(EU)財務相会合も開催される。債務危機への対応が一段と進展するかが注目されます。

【連動性の高いユーロ・ドルとスペイン国債の利回り】
 欧州債務問題は解決へ向けて紆余曲折がありそうですが、債務問題が深刻になるとスペインの利回りが上昇、逆に懸念が後退するとスペインの利回りが低下するといった傾向が続いていました。グラフはスペインの10年物国債とユーロ・ドルの関係を示したものです。グラフでは、今年に入ってから両者がおおむね逆の動きをしていることが見て取れます。

 グラフ全体では、両者の相関係数は−0.73となり、高い逆相関がありますが、今年に入ってからは−0.89となり、一段と逆の動きをする傾向が強まっています。すなわち、スペインの利回りが上昇するとユーロ・ドルは下落して、スペインの利回りが低下するとユーロ・ドルは上昇するといった傾向が今年に入って強まっています。このところ、やや逆の動きをしにくくはなっていますが、スペインの利回りは債務危機の深刻度を計る一種のベンチマークとなっています。

 なお、相関係数とは、2つのデータ間の連動性の強さを示す指標です。-1.0〜1.0の範囲で動き、1.0で完全に同じ動き、-1.0で全く逆の動き(逆相関)、ゼロなら相関なしと判断されます。この数字が1.0に近いほど値動きが似ていると言え、0.8〜0.9なら極めて相関が高く、動きが似ていると判断できます。

 8月後半にかけて低下傾向が続いたスペイン10年債利回りですが、債務問題への懸念が再燃して、このところは再び上昇しています。ただ、ユーロ・ドルはECBへの期待感や米追加緩和期待によるドル売りなどから強含みで推移しています。今後、9月6日のECB理事会、7日の米雇用統計、12日のドイツ憲法裁判所の判断、14〜15日のEU財務相会合などの重要イベントを控えており、イベントや当局者のコメントなど、マーケットを左右する材料が出てくると、スペインの利回りもユーロ・ドルも大きく動く可能性が出てきます。



2012年9月3日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

 オーバルネクストは、国内外の先物取引や為替情報に関する各種のニュースやデータを配信、またこれらの情報に伴うシステム開発を行っております。スピードと正確性に富むニュースやデータの配信に加え、オーバルネクスト独自の情報分析を含む各種コンテンツを一般投資家や各種ブローカーの皆様へ幅広く提供しています。
詳しくはこちらをご覧ください

コラム一覧へ戻る

当社は「ALL外為比較」に掲載される情報(以下「掲載情報」といいます。)の完全性および正確性を保証いたしません。

また掲載情報は、将来における結果を示唆するものではありません。

したがいまして、お客様において掲載情報に基づいて行動を起こされた場合でも、当社はその行動結果について何らの責任も負担いたしません。

掲載情報に基づく行動は、お客様の責任と判断によりお願いいたします。掲載情報は、金融商品の売買等の勧誘を意図したり、推奨するものではありません。

お客様において掲載情報に含まれる金融商品の売買等の申込等をご希望される場合には、その掲載情報に記載の金融機関までお客様ご自身でお問い合わせください。

当社はお問い合わせに関し対応いたしかねます。

掲載情報のうち「外為マーケットコラム」等に関しましては、著作権法等の法律により保護されており、

個人の方の私的使用目的以外での使用や権利者に無断での他人への譲渡、販売コピーは認められていません。