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外為マーケットコラム

米国は追加緩和に動くかどうかに注目

【ECBは国債買い入れへ向けて動く】
 6日の欧州中央銀行(ECB)の理事会後の記者会見で、ドラギ総裁は南欧国債の購入を発表しました。ユーロ圏加盟国の借り入れコストを引き下げるため、新たな国債買い入れプログラムを実施します。流通市場で償還までの期間が1〜3年の国債を買い入れ、購入の規模は「無制限」としています。これを好感して、スペインやイタリアの国債利回りは低下しており、10年物国債利回りはスペインが5.6%近辺、イタリアは5.1%前後まで低下しています。

 なお、ECBによる買い入れは、欧州金融安定メカニズム(ESM)に支援を要請することを条件としています。9月12日にドイツの憲法裁判所が欧州金融安定メカニズム(ESM)を合憲とみなすかどうかの判断を下します。ここでESMが合憲と見なされれば、発足へ向けて前進します。また、違憲と見なされれば、混乱に見舞われることとなり、今回のECBによる国債買い入れの前提条件が成立しなくなります。

 スペインでは、カタルーニャ州に続いて、中央政府に対して資金支援要請をする地方自治州が相次いでいます。14日のユーロ圏財務相会合でスペインが支援要請に踏み切るとの見方も出ていますが、ECBやESMから支援を受ける場合には、財政再建を公約することが求められます。スペインはこれに難色を示しているとみられ、ECBによるスペイン国債購入開始へはまだ時間がかかりそうです

 ユーロ・ドルはECBによる国債買い入れ期待から堅調な流れを続けてきました。また、7日の米雇用統計が予想を下回ったことで、ユーロ買い/ドル売りの動きとなり、1ユーロ=1.28ドル台まで上昇しました。スペインやギリシャの財政問題は予断を許さないものの、米追加緩和期待もあってユーロ・ドルは底堅い動きを続けて1ユーロ=1.28ドル台を固めて一段高が見込まれます。12日にドイツの憲法裁判所がESMを合憲と見なせば、1.30ドル前後まで上昇する可能性も出てきそうです。

【ドル・円は米経済指標に左右されやすい展開か】
 8月31日の米ワイオミング州ジャクソンホールでの米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長の講演では、時期や規模への言及はなかったものの、必要に応じて追加緩和を実施していくとの姿勢を示しました。これにより、追加緩和への期待感は根強く残ることとなりました。

 ただ、米国での追加緩和に関しては米連邦公開市場委員会(FOMC)のメンバーの中でも見解が分かれています。9月12〜13日に実施される次回のFOMCで追加緩和に動く可能性は残されているものの、経済指標はまちまちで、すぐに追加緩和が必要なほどは悪化してはいないとみられます。

 7日に発表された8月の米雇用統計で失業率は8.1%と予想外に前月(8.3%)から低下した一方で、注目された非農業部門雇用者数は9万6,000人増と事前予想(13万人増)を大きく下回ったことで、ドル売りの動きとなりました。非農業部門雇用者数は予想を大きく下回ったものの、これだけで一気に追加緩和へ向けて動くとも考えにくく、次回のFOMCでは緩和姿勢に含みを持たせるにとどまりそうです。実際に追加緩和に動くのは経済指標が一段と悪化した場合に限られ、時期は11月の米大統領戦後の12月のFOMC以降になりそうです。

 目先のドル・円は、米経済指標の動向に左右される展開が見込まれ、1ドル=78〜79円台でのレンジ相場が続きそうです。米国では追加緩和への期待感が根強く、米長期金利を抑える要因となりやすく、80円接近では上値を抑えられるとみられます。

 今後の主な経済指標としては、11日に米7月貿易収支、12日に日本7月機械受注高、独8月消費者物価指数、英8月雇用統計、ユーロ圏7月鉱工業生産指数、13日にニュージーランド準備銀行(RBNZ)政策金利、米8月生産者物価指数、米新規失業保険申請件数、米連邦公開市場委員会(FOMC)、14日に日本7月鉱工業生産指数、ユーロ圏8月消費者物価指数、米8月消費者物価指数、米8月小売売上高、米8月鉱工業生産・設備稼働率などの統計が発表されます。

【ドル・円、クロス円のボラティリティ低下に歯止め】
 このところは、米ワイオミング州のジャクソンホールでのバーナンキ議長の講演、ECBの理事会、米雇用統計など重要イベントを数多く控えていたこともあり、通貨市場ではイベント待ちによる様子見ムードが広がりました。その影響でドル・円やクロス円の変動幅も低下傾向にありました。

 グラフは、ドル・円、ユーロ・円、ポンド・円、豪ドル・円という個人投資家に人気の通貨の1日の変動幅を5日間、10日間、20日間、50日間、100日間、250日間、300日間で平均したものです。ちなみに変動幅とはある日の「高値−安値」です。これを5〜300日で平均しています。ここでは、この平均変動幅をボラティリティと呼ぶことにします。データは9月7日までのものです。

 グラフからは、平均する日数が短くなるほど平均変動幅が小さくなる傾向があります。それはどの通貨にもおおむね共通しています。期間が短くなるほど変動幅が小さくなるということは、それだけ最近の値幅が小さくなっていることを意味しています。ただ、5日間の変動幅は10日間の変動幅を上回ってきており、ボラティリティの低下傾向にようやく歯止めがかかったようです。

 ドル・円は100日間の平均変動幅は0.54円ですが、10日間の平均変動幅はわずか0.39円、すなわち1日平均で39銭しか動いてないことになります。それが5日間の平均変動幅は0.46円となり、変動幅が拡大に転じました。これはECB理事会、米雇用統計といったイベントを受けて、相場が動きやすくなったためとみられます。

 ユーロ・円、ポンド・円、豪ドル・円は100日間の平均変動幅はそれぞれ、1.13円、1.18円、0.97円となっており、10日間の平均変動幅は0.75円、0.80円、0.72円と大きく低下していました。5日間の平均変動幅は、それぞれ0.78円、0.88円、0.87円と拡大に転じており、動きが出てきました。日足チャートでは横ばいだった通貨も多いですが、動き始めたことで今後、売買が活発になることが期待されます。



2012年9月10日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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