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外為マーケットコラム

日銀の追加緩和、ドル・円の下支え要因に

【日銀が追加緩和に動く】
 日銀は、18〜19日の金融政策決定会合で、買い入れ基金を従来の70兆円から80兆円に増額する追加緩和を決めました。買い入れの期間も2013年6月末までから同年12月末までと半年間延長した上、長期国債などの買い入れの下限金利(0.1%)も撤廃しました。

 6日に欧州中央銀行(ECB)が南欧国債の無制限の購入を表明、13日には米連邦準備理事会(FRB)が毎月400億ドルの住宅ローン担保証券(MBS)の購入による量的緩和第3弾(QE3)に踏み切るなど、欧米金融当局の緩和措置を受けて、日銀も背中を押されたようです。

 日銀は10月に公表する「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)を待って、追加緩和に動くとの見方も市場には広がっていました。ただ、海外経済の減速や欧米の中銀に比べて、緩和姿勢が消極的との見方が広がると、一段の円高が進んで企業業績に悪影響が出るとの判断が、前倒しでの緩和につながったようです。

 19日に日銀の追加緩和が発表された後、円売りの動きが加速して、ドル・円、クロス円全般に大きく上昇しましたが、一時的な動きにとどまりました。FRBのMBSの購入には期限がなく、ECBの南欧国債購入は無制限となっているのと比べて、日銀の緩和策は緩和効果が弱いとの見方が広がり、円売りは長続きしませんでした。ただ、それでも状況次第で日銀も動くとの姿勢を示したことで、今回の緩和措置はドル・円の下支え要因として意識されそうです。

 今後は、米国の経済指標や米長期金利の動向を眺めつつ、ドル・円は1ドル=77〜79円台でのレンジ相場となりそうです。米経済指標が良好で、米長期金利が上昇すると80円を試す可能性も出てきますが、長期的な円安局面に転じるのは難しそうです。

 今後の主な経済指標としては、24日に独9月ifo景況感指数、25日に米7月S&P/ケースシラー住宅価格指数、米9月消費者信頼感指数、26日に独9月消費者物価指数、米8月新築住宅販売件数、27日に独9月雇用統計、英第2四半期国内総生産(GDP)・確報値、米第2四半期国内総生産(GDP)・確報値、米8月耐久財受注、米新規失業保険申請件数、28日に日本8月雇用統計、日本8月鉱工業生産指数、ユーロ圏9月消費者物価指数、米9月シカゴ購買部協会景気指数、米9月ミシガン大学消費者信頼感指数などの統計が発表されます。

【スペインの動向に注目】
 6日の欧州中央銀行(ECB)理事会後の記者会見で、ドラギ総裁が南欧諸国の国債の無制限の買い入れを表明したことや12日にドイツ憲法裁判所が欧州安定メカニズム(ESM)を合憲との判断を下したことなどから、ユーロ・ドルは堅調な推移を続けてきました。米国でのQE3によるドル売りも支援材料となり、一時1ユーロ=1.31ドル台後半まで上昇した。ただ、その後は、短期的な買われ過ぎ感などから上げ一服となっています。

 債務危機への懸念が後退したことや、ユーロのセンチメントの好転から、10年物国債の利回りは、スペインが5.7%近辺、イタリアが5.0%前後となるなど、落ち着きを見せています。金融市場が落ち着きを見せたこともあり、スペインは支援要請に慎重な構えを見せています。20日のスペイン国債の入札は順調にこなしたものの、スペインが支援要請を先延ばししていることがユーロの懸念材料となる可能性が出てきました。また、ギリシャの動向も不透明です。

 ユーロ・ドルは、米国QE3を受けてのドル売りの動きやユーロのセンチメント改善から、上昇トレンドが続きそうです。ただ、9月に入ってからの上げ幅が大きく、目先は修正安となる可能性もあります。その場合も1ユーロ=1.27〜1.28ドル前後で下げ止まり、調整終了後は再び上昇に転じそうです。9月17日の高値1.3172ドルを更新すれば、1.32〜1.33ドルへ向けて上昇するとみられます。ただ、スペインやギリシャの財政問題の動向がクローズアップされて、債務問題への懸念が再燃するようなら、下げ止まらずに1ユーロ=1.25ドルへ向けて下落することとなるでしょう。

【ユーロ・ドルの売り玉の減少続く】
 米商品先物取引委員会(CFTC)は毎週金曜日にその週の火曜日時点での建玉明細を発表しています。この中で、大口投機家の売り越し幅、買い越し幅の変動は、相場の方向と連動性が高いケースが多く、特に注目されています。

 グラフはユーロ・ドルの大口投機玉の建玉明細のグラフで、水色はユーロ・ドルの終値(これのみ左軸)、緑の棒グラフは買い玉、ピンクは売り玉です。赤は買い玉から売り玉を差し引いたネットポジションで、最も注目される数値となっています。赤のグラフがゼロより下にあるときは大口投機玉は売り越し、赤がゼロより上なら買い越しとなります。

 グラフによると、ユーロ・ドルの大口投機玉は売り越しではあるものの、売り越し枚数は6月5日の21万4,418枚をピークに減少傾向にあり、9月18日時点では7万3,482枚まで減っており、ピーク時の3分の1程度まで減少しています。欧州債務懸念が収まったわけではありませんが、欧州中央銀行(ECB)などによる債務危機対応への期待感などから売り玉の買い戻しの動きが進んでいます

 大口投機玉の買い玉は微増となる中、売り玉が買い戻されて減少している分、売り越し枚数は減っています。ユーロ・ドルは売り越し枚数の減少と歩調を合わせて上昇傾向にあり、堅調な推移を続けています。足元のユーロ・ドルの上昇は一服しているものの、買い戻しがさらに進むと、一段と上昇する可能性がありそうです。ただ、スペインやギリシャ情勢への懸念から、債務懸念が再燃すれば、再び売り越しが膨らんで下落することとなりそうです。



2012年9月24日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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