FX・為替比較はALL外為比較

  • FX会社を探す
  • FXの基礎知識
  • Q&A
  • 外国為替マーケット予想

ALL外為比較 > 外為マーケットコラム > 米長期金利の低下傾向で、ドル・円は上値が重そう

外為マーケットコラム

米長期金利の低下傾向で、ドル・円は上値が重そう

【緩和効果が息切れか】
 日銀は、18〜19日の金融政策決定会合で、追加金融緩和を決めました。その効果は1日持たず、その後、ドル・円は上値の重い動きが続いています。日米欧の中央銀行による追加緩和による楽観的なムードが後退して、緩和効果が息切れしつつあります。

 NYダウは量的緩和第3弾(QE3)への期待感などを背景に4年9カ月ぶりの高値圏まで上昇した後、高値警戒感から上げ一服となっています。そうした中、米国や中国、欧州などの景気の先行き不透明感から、安全資産として米国債は再び買われています(利回りは低下)。米10年物国債の利回りは、9月17日に1.88%前後まで上昇したものの、その後1.63%近辺まで低下しています。米長期金利が低下傾向にあることで、日米の金利差に連動しやすいドル・円は上値の重い展開を強いられています。

 米国では注目度の高い統計の発表が相次ぎます。1日の米9月ISM製造業景況指数、3日の米9月ADP雇用統計、米9月ISM非製造業景況指数、4日の、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録、5日の米9月雇用統計などは特に注目されます。

 米国の経済指標は住宅関連を除くと、さえないものが多く、経済指標が景気の改善を示唆しないようなら、米国債が買われて、米長期金利が低下、ドル・円は上値の重い展開となりそうです。ただ、あまり極端な高下はなく、目先は1ドル=77〜78円台でのもみ合いが中心となるでしょう。なお、リスク回避の動きが加速すると、一時的に1ドル=77円を割り込む可能性もありそうです。

 なお、5日に日銀金融政策決定会合が開催されます。日銀は9月19日に国債などの買い入れ枠を10兆円拡大する追加緩和策を発表したばかりで、5日には金融政策の目立った変更はないとみられます。もし、一段と緩和に動くような内容となれば、大きなサプライズとなり、円安に振れる可能性が高まりそうですが、可能性は低いでしょう。

【ユーロ圏では足並みに乱れ】
 常設の金融安定網となる欧州安定メカニズム(ESM)は10月に発足の予定となっています。ESMによる銀行への資本注入に関して、ドイツ、オランダ、フィンランドの3カ国は6月の欧州連合(EU)首脳会議の合意事項と矛盾するような見解を表明しました。

 それによると、将来発生する銀行の問題と過去の問題を区別し、ESMは新たな監督の下で生じる問題に関して直接責任を負うことができますが、旧資産は各国当局の責任とすべきとしています。6月のEU首脳会議での合意では、ESMがアイルランドやスペインの銀行に直接資本を注入することが可能になると理解されていました。

 ESMが実際に銀行に資本注入するのは、来年に予定される一元的な銀行監督機関の設立後となると見込みです。それまでにESMによる銀行への資本注入に関しては、さらに議論が行われて、実際の開始までには紆余曲折がありそうです。

 24日に発表された9月の独IFO景況感指数101.4となり、前月の102.3から低下しました。これで5カ月連続で前月から低下するなど、欧州債務問題がドイツにまで影響を及ぼしているとの懸念が広がっています。また、スペインやギリシャでは緊縮策に反対する大規模なデモが起きており、両国での政情不安も懸念材料です。

 ただ、27日にスペインは、歳出削減に重点を置いた2013年予算案を提示しました。これによると、歳出を8.9%削減する緊縮案となっており、さらに経済改革の行程表を明らかにしています。これはスペインが支援を申請した場合、求められると想定される財政再建の条件に対して、同国が先手を打ったと評価されています。

 ユーロ・ドルはスペインやギリシャの動向と、経済指標に左右される展開となりそうです。なお、ユーロ圏では、1日にユーロ圏8月雇用統計、3日にユーロ圏8月小売売上高指数、4日に欧州中央銀行(ECB)政策金利などが発表されます。スペインの支援申請には慎重で、まだ時間がかかりそうですが、あまり長引くと債務問題への懸念が再燃しかねません。また、ユーロ圏の景気は減速傾向にあり、経済指標で減速が裏付けられるとユーロ・ドルには圧迫要因となります。このため、ユーロ・ドルは1ユーロ=1.27〜1.30ドルでの推移が見込まれ、1.30ドルまで戻してもそこから大きく上昇するのは難しいでしょう。

【クロス円やドルストレートは10月は上昇しやすい】
 グラフは2002〜2011年の10年間について、主要通貨や商品などが10月の月足が陽線になった比率を示しています。陽線とは終値が始値よりも上昇したことを意味しています。ここで、ドル・円やクロス円が陽線になりやすい(すなわち上昇しやすい)ということは、円安に振れやすいということを示しています。

 グラフの棒グラフは10月の陽線確率(左軸)、ピンクの折れ線は通貨の値幅(pips)を示しています(右軸)。これによると、10月の陽線確率はドル・円とユーロ・円が50.0%、豪ドル・円とポンド・円は70.0%となっており、ドル・円とユーロ・円にはバイアスがないものの、豪ドル・円とポンド・円は円安に振れやすくなっています。

 ドルストレートでは、豪ドル・ドルとポンド・ドルが80.0%、ユーロ・ドルが70.0%といずれも上昇しやすく、ドル安に振れやすい傾向があります。通貨以外では、NY原油(WTI原油)は50.0%とバイアスがなく、ドル建て金が60.0%とやや上昇しやすくなっています。NYダウは70.0%と上げやすい傾向があります。

 なお、過去10年間の各通貨の10月の平均値幅は次の通りです。通貨間で標準化するためpipsで表示しています(カッコ内は9月の値幅)。ドル・円は525(448)、豪ドル・円は784(605)、豪ドル・ドルは659(572)、ポンド・円は1270(883)、ポンド・ドルは820(776)、ユーロ・円は855(703)、ユーロ・ドルは636(706)となっています。

 ドル・円やポンド・円はそれぞれ5.25円、12.70円の値幅ということになります。豪ドル・ドルは0.0659ドル、ユーロ・ドルは0.0636ドルとなります。ユーロ・ドル以外は10月の方が9月よりも月間の値動きが大きくなる傾向があります。また、豪ドル・円、豪ドル・ドル、ポンド・円、ユーロ・円は10月の値幅は、年間で最も大きく動きやすい月となります。



2012年10月1日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

 オーバルネクストは、国内外の先物取引や為替情報に関する各種のニュースやデータを配信、またこれらの情報に伴うシステム開発を行っております。スピードと正確性に富むニュースやデータの配信に加え、オーバルネクスト独自の情報分析を含む各種コンテンツを一般投資家や各種ブローカーの皆様へ幅広く提供しています。
詳しくはこちらをご覧ください

コラム一覧へ戻る

当社は「ALL外為比較」に掲載される情報(以下「掲載情報」といいます。)の完全性および正確性を保証いたしません。

また掲載情報は、将来における結果を示唆するものではありません。

したがいまして、お客様において掲載情報に基づいて行動を起こされた場合でも、当社はその行動結果について何らの責任も負担いたしません。

掲載情報に基づく行動は、お客様の責任と判断によりお願いいたします。掲載情報は、金融商品の売買等の勧誘を意図したり、推奨するものではありません。

お客様において掲載情報に含まれる金融商品の売買等の申込等をご希望される場合には、その掲載情報に記載の金融機関までお客様ご自身でお問い合わせください。

当社はお問い合わせに関し対応いたしかねます。

掲載情報のうち「外為マーケットコラム」等に関しましては、著作権法等の法律により保護されており、

個人の方の私的使用目的以外での使用や権利者に無断での他人への譲渡、販売コピーは認められていません。