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外為マーケットコラム

ユーロ・ドルは堅調も上値は限定的か

【ドル・円はレンジ相場が続きそう】
 日銀が5日に開催した金融政策決定会合では、金融政策に変更はありませんでした。政策金利は0〜0.1%に据え置き、国債などの資産買い入れ枠も80兆円で据え置きとなりました。いずれも全員一致で決定しています。9月18〜19日の金融政策決定会合で、追加金融緩和を決めたばかりであり、今回はその効果を見極める途上にあるということのようです。なお、今回の会合には前原国家戦略・経済財政相が出席しました。会合終了後に「強力な金融緩和を引き続き求めていきたい」と述べています。今後も可能な限り出席する意向と報じられており、日銀に対する政治的な金融緩和圧力が強まりそうです。

 9月下旬にかけて、米国の長期金利の低下傾向が続いたことで、日米の金利差に連動しやすいドル・円は1ドル=78円を割り込むなど上値の重い展開を強いられました。ただ、10月に入り、米ISM製造業景況指数(9月)、米ADP雇用統計(9月)、米ISM非製造業景況指数(9月)などが事前予想を上回る展開となり、ドル買いの動きからドル・円も堅調な推移を見せました。9月の米雇用統計で失業率が7.8%となり、事前予想の8.2%を下回ったことで、1ドル=78円台後半まで上昇しましたが、その後、上昇は一服しています。日足チャートを見る限り、ドル・円はレンジ相場を続けています。

 ドル・円は引き続き大きく動きにくい展開が見込まれます。このところの米経済指標の堅調な結果を受けて、米長期金利が下げ止まりから緩やかに上昇しており、ドル買いの動きからドル・円は上昇に転じています。目先は経済指標の結果に一喜一憂して振り回されやすい展開が続きそうです。このため、ドル・円は1ドル=77〜79円台で推移して、ここから大きく逸脱するような動きにはならないとみられます。

 今後の経済指標やイベントとしては、9日に英8月鉱工業生産指数、EU財務相理事会、国際通貨基金・世界銀行年次総会(14日まで)、10日に米地区連銀経済報告(ベージュブック)、11日に日本8月機械受注高、豪9月雇用統計、独9月消費者物価指数、米新規失業保険申請件数、12日にユーロ圏8月鉱工業生産指数、米10月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値などがあります。また、9〜14日に国際通貨基金(IMF)・世界銀行の年次総会が開催されます。ここでの要人発言なども注目されます。

【ESMが8日に発足】
 5日の欧州中央銀行(ECB)理事会では、政策金利を据え置くとともに、金融政策の目立った変更はありませんでした。ドラギ総裁は理事会後の記者会見で、「南欧国債を買い入れる準備はできている」と発言しました。これで欧州債務問題への懸念が後退しています。ECBは9月の理事会で償還までの期間が1〜3年の国債を無制限で買い入れることで合意しており、現在はスペインからの支援要請を待っている状況です。

 金融市場が落ち着きスペイン国債の利回りが低下していることで、スペインは支援要請に慎重な構えを見せています。5日に実施したスペイン国債の入札では、2年物国債の平均落札利回りは3.282%となり、前回(7月)の5.204%から大きく低下しています。

 8日のユーロ圏財務相会合では、スペインは経済改革を進めており、金融市場で自力で資金調達できているため、現時点で支援は必要ないとの見方を示しています。ただ、市場ではスペインはいずれ支援を要請するとの見方が根強く、地方選挙が終わった10月末にも支援を要請するとの見方も出ています。支援要請が先延ばしされると、市場では先行き不透明感が広がることとなりそうです。

 常設の金融安定網となる欧州安定メカニズム(ESM)は10月8日に発足しました。これで安全網(セイフティネット)が強化されることとなります。ユーロ圏では、スペイン国債を購入する投資家に対して、ESMが損失保証を提供する案が検討されていると報じられています。スペインが発行する国債の一部について、ESMが保証を提供することで、ESMが直接スペイン国債を購入する場合に比べて、少ない資金で市場を安定させられるレバレッジ効果が期待できます。

 金融市場が落ち着いていることや米国の経済指標が堅調なことから、ユーロ・ドルは一時1ユーロ=1.30ドル後半まで上昇しました。今後はスペインやギリシャの動向に左右されやすくなりそうです。ユーロ・ドルは堅調な動きを見せそうですが、ユーロ圏の経済指標は悪化しているため、上値は1ユーロ=1.31〜1.32ドルまでにとどまり、それ以上に上昇するのは難しいでしょう。

【落ち着き見せるスペインの利回り】
 グラフはスペインとイタリアの10年物国債の利回りとユーロ・ドルの推移を示しています。利回りが左軸、ユーロ・ドルが右軸です。スペインの利回りは財政問題への懸念から、7月には自力での資金調達が困難になるとされる「危険水域」の7%超の水準まで上昇しました。イタリアの利回りもスペインに追随して、一時6%台後半まで上昇しました。

 その後、欧州中央銀行(ECB)が南欧国債の無制限での買い入れを表明したことなどから、債務問題への懸念が後退して、スペインの利回りは6%を割り込む水準まで低下しました。6%割れの水準では、利回り低下は一服しており、スペインが財政支援を要請するかどうかが市場の関心を集めています。なお、イタリアの利回りは5%近辺まで低下しています。

 ユーロ・ドルはスペインの利回りと逆相関の動きを見せる傾向が強く、このところは底堅い動きが続いています。スペインが財政支援を要請して、債務不安が一段と後退、スペインの利回りが一段と低下するようだと、ユーロ・ドルは一段と上昇する可能性が高まりそうです。ただ、スペインの支援要請への態度が煮えきらず、債務懸念が再燃するようだと、同国の国債利回りが再び上昇して、ユーロ・ドルには圧迫要因となりそうです。



2012年10月9日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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