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外為マーケットコラム

欧州連合(EU)首脳会議に注目

【S&Pがスペインを格下げ】
 10日に格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)がスペインの格付けを「BBBプラス」から「BBBマイナス」に2段階引き下げました。これは投資適格等級では最低のランクとなります。なお、格付け見通しは「ネガティブ」としています。S&Pの格下げの結果、格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスの「Baa3」と同水準となりました。なお、ムーディーズも格付けを引き下げ方向で見直しを行っており、もし引き下げられた場合は、ジャンク級に下がることとなります。

 S&Pによるスペインの格下げは市場関係者から見ると、スペインによる支援申請への催促と見ることもできます。なお、8日に欧州安定メカニズム(ESM)が発足しています。これでユーロ圏でのセイフティネットが拡充したこととなり、危機の時に金融市場を支える仕組みとなりそうです。これまでの経緯からスペインが最初に支援を申請するとみられますが、最近の金融市場の落ち着きで、スペインは支援申請に慎重な構えを見せています。

 10日にフランスのオランド大統領とスペインのラホイ首相は会談を行い、ユーロ圏の銀行監督を一元化する銀行同盟の設立を急ぐように各国へ求めていくことで一致しました。ユーロ圏の銀行監督を欧州中央銀行(ECB)に一元化する方向で、18〜19日に開催される欧州連合(EU)首脳会議で議論を進展させたいとしています。ただ、オーストリア中銀のノボトニー総裁は銀行監督の一元化について「早くても2013年半ば以降になる」と、当初想定していた2013年1月よりも遅れるの見解を示しており、ユーロ圏内での調整にはまだ時間がかかりそうです。

 ユーロ・ドルはスペインやギリシャの動向、EU首脳会議などに左右されやすい展開が続きそうです。スペインが支援申請に動けば、ECBによる国債購入への期待感から堅調な推移が見込まれます。スペインの支援申請が先延ばしになるなど、債務問題への懸念がくすぶり続けるようだと、上値の重い展開となりそうです。また、18〜19日のEU首脳会議で債務危機克服へ向けて、銀行監督の一元化などについて具体的な工程表が出てくるようだと、ユーロには支援材料となります。目先はこうした問題に左右されつつ、1ユーロ=1.28〜1.31ドル台での推移が見込まれます。

【ドル・円はもみ合いが継続か】
 日銀は5日の金融政策決定会合で、金融政策を据え置きとしました。9月の18〜19日に追加緩和を決めたばかりなため、5日の見送りは予想された結果でした。ただ、「2014年度にも物価上昇率1%」との目標には届かないとの見方が広がっており、デフレ脱却への見通しが立たないことから、日銀は遠からず追加緩和を迫られるとの見方も出ています。

 市場関係者の間では、日銀は欧米金融当局と比べて緩和姿勢が不十分との見方が根強くあります。日銀の動きは「諸外国の緩和姿勢を眺めて、仕方なく緩和に動いているが、積極的に動きたくない」とさえ感じさせます。欧州債務問題への懸念は根強い上、米国や中国などの景気の先行き不透明感から、ただでさえ円はリスク回避の動きから買われやすくなるため、日銀によるより強力な緩和姿勢が求められています。

 前回の会合では、前原国家戦略・経済財政相が出席して、会合終了後に「強力な金融緩和を引き続き求めていきたい」と述べており、今後は政治的圧力も強まることが予想されます。政治サイドの意向としては、「日銀は景気好転や円安誘導のため、思い切った緩和に動くべきだ」というのが本音でしょう。

 今後のドル・円は各国の経済指標や欧州債務問題の動向などに左右される展開が続きそうです。各国から様々な経済指標が発表されるため、その結果に一喜一憂する展開が見込まれます。1ドル=77〜79円台での推移となりそうで、リスク回避の動きが加速すると77円台へ下落の可能性が出てきます。米国などの経済指標の好転が続けば、リスク志向が高まり、79円台まで上昇することとなるでしょう。ただ、1ドル=77〜79円のレンジを上下に抜けるような動きは期待しにくい状況です。

 今後の経済指標としては、15日に米9月小売売上高、16日に英9月消費者物価指数、ユーロ圏9月消費者物価指数、独10月ZEW景況感指数、ユーロ圏8月貿易収支、米9月消費者物価指数、米9月鉱工業生産・設備稼働率、17日に英金融政策委員会(MPC)議事録、英9月雇用統計、米9月住宅着工件数・建設許可件数、18日に中国9月鉱工業生産指数・中国9月小売売上高、中国第3四半期国内総生産(GDP)、英9月小売売上高指数、米新規失業保険申請件数、米9月景気先行指数、19日に日本8月景気動向指数、米9月中古住宅販売件数などがあります。

【落ち着き見せるスペインの利回り】
 ドル・円は日米の2年物国債の利回りの差と連動しやすいことが知られています。日本の2年債利回りというのは0.1%前後であまり大きな変動がなく、それを考慮するとドル・円は米国の2年物国債の利回りと連動しやすいと考えることができます。

 グラフはドル・円と米2年債利回りの推移を示したものです。両者はおおむね連動して動いており、グラフの表示期間の相関係数は0.83と極めて高くなっています。ちなみに同期間の日米の2年物国債の利回りの差とドル・円の相関係数は0.81となっています。最近の状況を見る限りは、日米の金利差を見なくとも、米国の金利だけでドル・円の参考材料とできそうです。

 米2年物国債の利回りが為替相場に影響を与えやすいのは、これが米連邦準備理事会(FRB)の金融政策を判断する指標と認識されているからとみられます。米2年債の利回りは0.2〜0.3%前後で推移していますが、これが0.4%近くまで上昇した今年3月にはドル・円は1ドル=84円台まで上昇しています。

 量的緩和第3弾(QE3)の実施など、米国では金融緩和措置が取られており、緩和姿勢は日銀よりもFRBの方が強いと認識されています。こうした状況が続くうちは、米国の金利は低めに抑えられ、ドル・円も上値の重い状況が続きそうです。もっとも米経済指標が改善傾向を続けて、米国の金利が上昇すれば、ドル・円も上昇する可能性が高まります。



2012年10月15日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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