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外為マーケットコラム

ユーロは上値重く、円は買われやすい展開か

【オバマ再選で「財政の崖」への懸念高まる】
 6日の米大統領選では、現職のオバマ大統領が共和党のロムニー候補を破って、再選を果たしました。ただ、市場では再選の熱気はすぐに冷めました。米国の議会は、下院は共和党が過半数を占め、上院は逆に民主党が過半数を占める「ねじれ」状態となっており、減税の失効と歳出削減が同時に起きるいわゆる「財政の崖」への警戒感が高まっています。

 7日の米国市場では、「財政の崖」への警戒感から株が急落、リスク回避の動きから米国債が買われて(利回りは低下)、対主要通貨でドルと円が買われました。8日もこの流れに変化はなく、米株安、ドル買い、円買いとなりました。本来ならドル買いは、ドル・円には上昇要因となりますが、リスク回避の動きから円も買われやすく、ドル・円は1ドル=80円台を割り込みました。

 ユーロ、円、ポンド、スイスフランなど6通貨から構成されて、ドルの強さを示すドル・インデックスは、10月17日の78.935をボトムに上昇に転じており、11月9日には81.087と、2カ月ぶりの高値圏まで上昇しています。リスク回避の動きからドルが買われやすいものの、円も買われやすいため、ドル・円は1ドル=79〜80円台で動きにくい状況が続きそうです。ドルと円が両方買われた場合は、円の方がやや買われやすくなるケースがあり、その場合は1ドル=78円台まで円高が進む可能性があります。

 また、ドル・円は昨年までの過去10年間で11月の月足が陽線(ドル高・円安)となったのはわずか3回で、残りの7回は陰線(ドル安・円高)に振れています。11月はやや円高に傾きやすい時期であることには注意しておきたいところです。

 今後の経済指標やイベントとしては、12日にユーロ圏財務相会合、13日に日本9月鉱工業生産指数、独11月ZEW景況感指数、14日に英10月雇用統計、ユーロ圏9月鉱工業生産指数、米10月小売売上高、15日に独第3四半期国内総生産(GDP)・速報値、英10月小売売上高指数、ユーロ圏第3四半期域内総生産(GDP)・速報値、米11月NY連銀製造業景気指数、米新規失業保険申請件数、米11月フィラデルフィア連銀景況指数、16日にユーロ圏9月貿易収支、米10月鉱工業生産・設備稼働率などがあります。

【12日のユーロ圏財務相会合に注目】
 ギリシャでは、8日の日本時間の早朝に国際通貨基金(IMF)や欧州連合(EU)が時期支援への条件として求めていた財政緊縮の関連法案を可決しました。300人の議員のうち、賛成が153人という薄氷の可決でした。サマラス首相は、採決の前に支援が得られない場合は短期国債の償還期限である今月16日に国庫が空になると警告して、支持を呼びかけました。ギリシャ議会は11日に2013年予算案を採決して可決されました。

 12日のユーロ圏財務相会合では、ギリシャ支援について協議が行われる見通しですが、ギリシャに対する追加融資の最終決定は行われないとの見方が広がっています。実際にギリシャ支援が決まるまで、予断を許さない状況が続きそうです。

 仮に12日にギリシャ支援が決まっても、ユーロ・ドルへの影響は限られる可能性もあります。ユーロ圏の景気が一段と減速する恐れが出てきたためです。7日に欧州連合(EU)の欧州委員会が発表した域内の実質経済成長率見通しでは、ユーロ圏17カ国の成長率は今年がマイナス0.4%、来年はプラス0.1%と従来の見通しを引き下げました。スペイン、イタリア、ギリシャなどでマイナス成長が来年も続くと見込まれます。ドイツやフランスはプラス成長ながら、成長率は従来から引き下げ、ユーロ圏の経済のけん引役を果たすことができそうにありません。各国の成長率の鈍化は、ユーロへの圧迫要因となります。

 8日の欧州中央銀行(ECB)の理事会では政策金利は据え置きとなりました。その後のドラギ総裁の記者会見では、ユーロ圏の経済が年末に向けて回復する見込みは薄いとの認識を示し、今後の利下げの可能性に含みを残しました。スペインの要請についてはコメントを控えるとしましたが、「ECBは新たな債券買い入れプログラム(OMT)を実行する準備ができている」と言明しており、支援要請には対応する準備が整っていることを示しました。

 オバマ米大統領の再選に伴う「財政の崖」への懸念から、リスク回避の動きとなり、ドルや円は買われやすくなり、ユーロは相対的に売られやすくなっています。ギリシャに対する支援策の進展やスペインの支援要請の見通しなどに影響を受けつつ、ユーロ・ドルはやや上値の重い展開を続けそうです。このため、1ユーロ=1.25ドルへ向けて、軟調な推移が続きそうです。

【CFTC建玉明細では、円の売り越しは増加傾向だが】
 米商品先物取引委員会(CFTC)は毎週金曜日にその週の火曜日時点での建玉明細を発表しています。この中で、大口投機家の売り越し幅、買い越し幅の変動は、相場の方向と連動性が高いケースが多く、特に注目されています。

 グラフは円(対ドル)の大口投機玉の建玉明細のグラフで、水色はドル・円の終値(これのみ左軸)、緑の棒グラフは買い玉、ピンクは売り玉です。赤は買い玉から売り玉を差し引いたネットポジションで、最も注目される数値となっています。赤のグラフがゼロより下にあるときは大口投機玉は売り越し、赤がゼロより上なら買い越しとなります。

 グラフによると、円の大口投機玉は買い越し(赤がゼロより上)が続いていたものの、10月23日に売り越しに転じており、5月29日以来の売り越しとなりました。日銀の追加金融緩和や今後も緩和姿勢を継続するとの期待感などが円安につながりました。11月6日には、売り越し枚数は40,104枚に達しており、5月8日の41,093枚の以来の高水準となりました。

 ただ、これは11月6日時点の数字であり、その後のドル・円は円高に振れていることから、次回の円の売り越し枚数は減少に転じている可能性があります。円が前回売り越しとなったのは、今年2月28日〜5月29日の期間で、売り越し枚数のピークは3月27日の67,622枚でした。今後、その水準と肩を並べるまで売り越し枚数が膨らむかどうかが注目されます。



2012年11月12日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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