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外為マーケットコラム

政権交代による緩和期待から、一段の円安進行か

【政権交代への期待感から円安が進行】
 14日に野田総理は16日に衆院解散に踏み切る意向を示しました。政権交代で自民党政権が誕生すれば、日銀への金融緩和圧力が強まり、円安が進むとの期待感から14日にはドル・円、クロス円で円安が進行しました。15日には自民党の安倍総裁が、日銀による「無制限の金融緩和」や「マイナス金利」に言及したことでさらに円安が進みました。

 衆院の解散・総選挙で政権交代が起きるかは定かではないものの、その可能性が高いと見る向きも多く、その場合は円安進行が期待できそうです。2009年9月16日の民主党政権発足時は、ドル・円は1ドル=91円前後、ユーロ・円は1ユーロ=133円前後でした。ドル・円は1ドル=95円前後まで円安に振れた時期もあったものの、その後は一貫して円高が進んでいます。ユーロ・円は、民主党政権発足時を一度も上回ったことはなく、一時1ユーロ=100円を割り込むまで円高が進みました。

 民主党政権の間の円高進行で、輸出産業を中心に日本の企業は大きな打撃を受けました。ソニー、シャープ、パナソニックといった大企業すら収益悪化に苦しみ、大規模なリストラを強いられるような状況となっており、円高是正へ向けて大胆な対応が求められています。9月の貿易収支は季節調整済みで赤字転落、今年第3四半期の国内総生産(GDP)は前期比年率換算で3.5%のマイナス成長となるなど、円売りの材料はそろいつつありました。そこへ衆院解散と政権交代への期待感で、円安に傾いています。

 ただ、ドル・円は米長期金利との連動性が高いため、今後も継続して円安が進むかは米国の景気動向や長期金利の動向に左右されやすくなります。米国では、大型減税の失効と歳出削減が同時に起きる「財政の崖」への警戒感から、米株式市場は大きく値を崩しています。また、リスク回避の動きから米国債が買われており、米長期金利は低下傾向にあります。米長期金利が上昇しないと、円安の進行にも限度がありそうです。ただ、「財政の崖」回避に向けて見通しが立てば、米長期金利は上昇に転じて、ドル・円には支援材料となるでしょう。

 目先は日本での政権交代への期待感から、円売り傾向が続きそうな状況となっています。このため、ドル・円は1ドル=80〜81円台を固めて、82〜83円台まで上昇することとなりそうです。ただ、それ以上に上昇するには、米長期金利が上昇に転じることが必要となるでしょう。

 今後の経済指標やイベントとしては、19日に米10月中古住宅販売件数、20日に日銀金融政策決定会合・政策金利、オーストラリア準備銀行(RBA)議事録、米10月住宅着工件数・建設許可件数、21日に日本10月貿易収支、英金融政策委員会(MPC)議事録、米新規失業保険申請件数、米11月ミシガン大学消費者信頼感指数、米10月景気先行指数、22日に中国HSBC製造業購買担当景気指数、23日に独第3四半期国内総生産(GDP)・改定値、独11月ifo景況感指数などがあります。

 19〜20日に開催される日銀金融政策決定会合では、追加緩和は見送られ、金融政策の大きな変更はない見通しです。9月と10月に異例の2カ月連続での追加緩和に踏み切っており、今はその効果を見極める状況とみられます。ただ、今回は見送りとなっても、次回以降はさらに緩和への政治的な圧力が増すこととなるでしょう。

【EUとIMFに不協和音】
 12日のユーロ圏財務相会合では、ギリシャの財政再建を2年間先送りすることを承認しました。ただ、次回融資については決定できず、20日に持ち越されました。ギリシャ支援では欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)の意見対立が起きています。IMFは公的部門によるヘアカット(債務減免)が必要との認識を示す一方で、ドイツなどはこれに強く反発しています。

 20日のユーロ圏財務相会合では、次回のギリシャ向けの融資について討議するものの、2020年まででなく、2013〜2014年までの支援に限定して検討する方針と報じられています。ギリシャは、今回はデフォルト(債務不履行)を回避できても、今後も引き続き同国の財政の問題がユーロ圏での懸案として、存在し続けることとなります。また、スペインは自力で資金調達できていることもあり、EUやIMFへ支援要請に動く気配はありません。

 15日に発表された今年第3四半期のユーロ圏の域内総生産(GDP)は、前期比0.1%減となり、2四半期連続でマイナスとなり、リセッション(景気後退)入りとなりました。スペイン、イタリア、ポルトガルなどがマイナス成長となっており、ユーロ圏の牽引役であるドイツも前期比0.2%増の伸びにとどまっています。経済の牽引役不在の中、南欧諸国は景気減速で財政再建が一層厳しいものとなります。

 欧州委員会のレーン欧州委員(経済・通貨問題担当)がスペインの財政赤字削減に向けた取り組みを評価しており、スペインへの懸念は一時的に後退しています。ユーロ・ドルは下げが続いてきたものの、1ユーロ=1.27ドル割れで下げ渋っています。ただ、ユーロ・ドルはギリシャ懸念やユーロ圏の景気減速で大きく上昇するような地合いにはないため、目先は1ユーロ=1.26〜1.29ドル台での推移が見込まれます。

【米長期金利低下局面での円安進行は長続きするか?】
 以前、ドル・円は日米の2年物国債の利回りと相関が高いと解説しました。同時に米2年物国債の利回りとの相関はそれを上回るくらい高いこともあり、金利差を見なくとも、米国の2年物国債の推移だけ見ていると参考にできると説明しました。

 グラフは米2年物国債の利回りとドル・円の推移を示したものです。ピンクがドル・円で右軸、青が米2年物国債の利回りで左軸で表示しています。最近は日本の衆議院の解散・総選挙での政権交代による円安進行への期待感からドル・円は上昇しています。ところがいつもは連動性の高い米2年債利回りは低下傾向にあり、両者が異なる方向性を示しています。

 過去にもこういうことは何度が起きています。今年2月下旬から3月にかけて、今年4月の中旬、今年5月の中旬などです。いずれの場合も、その後、ドル・円か利回りの値動きが同一歩調を取るように動きを変化させています。

 今回は米2年債利回りが上昇するのか、ドル・円が下落するのか、定かではありません。ただ、米国の経済指標は日本やユーロ圏などに比べて良好なことから、米国での「財政の崖」への懸念が後退すれば、米長期金利が上昇に転じて、ドル・円と同一方向へ動くことが期待できそうです。



2012年11月19日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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