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外為マーケットコラム

円売り圧力は強く、ドル・円とクロス円は上昇が続きそう

【円売り圧力は根強い】
 日銀は、19〜20日の金融政策決定会合で追加緩和は見送りました。9月と10月に続けて緩和しただけに今回は予想されたと通りとなっています。ただ、国内は景気が悪化しており、今後は政治的な圧力が強まることも予想され、12月には追加緩和に動くとの見方も出ています。

 15日に自民党の安倍総裁が、日銀による「無制限の金融緩和」や「マイナス金利」に言及したことに端を発して円安傾向が続いています。自民党は政権公約にデフレ脱却や円高対策を盛り込み、「かつての金融政策と次元の違う大胆な金融緩和」を推進していく方針としています。日銀への圧力が強まりつつあり、自民党政権誕生による円安演出期待で、円売りの流れが続いています。

 自民党の安倍総裁は、一時、建設国債の日銀引き受けといった、「絶対にやってはならない禁じ手」まで提唱するなど、大胆な措置で円安誘導と景気回復を図ろうとしました。おそらく、建設国債の日銀引き受けは、実現可能とは考えていないでしょうし、回りからの厳しい批判で、この案はトーンダウンしています。ただ、日銀総裁が「強力に金融緩和を推進する」と口先で述べるだけにとどまり、実効性のある大胆な対策を打ち出さないことへの強力な牽制と見るべきでしょう。

 前週も確認した通り、2009年9月16日の民主党政権発足時は、ドル・円は1ドル=91円前後、ユーロ・円は1ユーロ=133円前後でした。ドル・円は1ドル=95円前後まで円安に振れた時期もありましたが、その後は一貫して円高が進みました。ユーロ・円は、民主党政権発足時を上回ったことはなく、一時1ユーロ=100円を割り込むまで円高が進みました。この結果、輸出産業を中心に国内経済が疲弊しており、新政権に対しては、円安推進と景気テコ入れへの期待感が広がっています。

 10月の日本の貿易収支は大幅な赤字となり、赤字は4カ月連続となっています。日銀の追加緩和期待に貿易収支の赤字基調も加わり、今後も円売り圧力は依然として継続しそうです。米国では大型減税の失効と歳出削減が同時に起きる「財政の崖」の回避へ向けて、楽観的な見方が広がり、株が上昇に転じていることや、米国債が売られて米長期金利が上昇に転じていることもあって、円は売られやすくなるでしょう。こうしたことを背景にドル・円は1ドル=81〜82円台を固めて、83〜85円台まで上昇する可能性が出てきました。

 今後の経済指標やイベントとしては、27日に英第3四半期国内総生産(GDP)改定値、米10月耐久財受注、米9月S&Pケースシラー住宅価格指数、米11月消費者信頼感指数、米地区連銀経済報告(ベージュブック)、28日に米10月新築住宅販売件数、29日に独11月雇用統計、米第3四半期国内総生産(GDP)改定値、米第3四半期個人消費改定値、米新規失業保険申請件数、30日に日本10月雇用統計、日本10月鉱工業生産指数、ユーロ圏10月雇用統計、米10月個人所得・個人支出などがあります。

【ユーロ圏財務相会合はギリシャ支援で合意できず】
 20日のユーロ圏財務相会合では、ギリシャ支援に焦点を絞って議論しましたが、12時間近くに及んだ協議で結局、合意に達することができませんでした。合意に向けて、26日に再協議を行う予定となっています。なお、ドイツのメルケル首相は、26日の再協議でギリシャへの次回融資が決定する可能性があるとの見解を示しており、市場では合意への期待感が高まっています。

 ギリシャへの支援に関しては、公的部門によるヘアカット(債務減免)を求める国際通貨基金(IMF)と、それに否定的なユーロ圏諸国の間で意見対立が起きています。26日に合意できないと、ギリシャがデフォルト(債務不履行)に陥る可能性が出てくるため、関係機関や各国が合意に向けて最大限の努力をするとみられます。

 米国では、「財政の崖」の回避に向けた協議が進展するとの見方が広がりつつあります。今週はこの問題に進展がみられるかが注目要因となりそうです。米国では住宅関連の経済指標はまずまず好調であり、他の国ほど悲観的な状況ではありません。「財政の崖」に回避に対して、楽観的な見方も出てきている上、イスラエルとイスラム原理主義組織「ハマス」の停戦合意などから、米国株は上昇に転じています。これでリスクオンの状態となり、米国債が売られて、米長期金利が徐々に上昇に転じています。

 ユーロ・ドルはギリシャ支援の進展などを眺めつつ、1.27〜1.31ドル前後での推移が見込まれます。米国株が堅調に推移するようなら、リスクオンの状況が続いて、ドルよりもユーロの方が買われることとなりそうです。ギリシャ支援で合意できれば一段高となりそうです。ただ、ユーロ圏の景気は悪化しており、ユーロ・ドルの一本調子での上昇は期待しにくいでしょう。

【米長期金利が上昇して円安を支援か】
 グラフは米2年物国債の利回りとドル・円の推移を示したものです。ピンクがドル・円で右軸、青が米2年物国債の利回りで左軸で表示しています。前週は、ドル・円は日米の2年物国債の利回りと相関が高いものの、両者が逆行している状態であり、米国での「財政の崖」への懸念が後退すれば、米長期金利が上昇に転じて、ドル・円と同一方向へ動くことが期待できそうと説明しました。

 過去に何度かドル・円と米2年物国債の利回りが逆方向に動くケースはありましたが、その後しばらくすると、同一方向に動くようになります。今回は、「財政の崖」の回避への期待感、ギリシャ支援合意への期待感、イスラエルとパレスチナ自治区ガザを実質的に支配するイスラム原理主義組織ハマスが停戦で合意したことなどから、米国債が売られて米長期金利が上昇に転じています。

 このところの円売りの勢いは強く、ドル・円、クロス円ともに上昇基調で推移しています。かなり急激な上昇であり、テクニカル的な高値警戒感から反落する場面もありそうです。ただ、下げは一時的なものにとどまり、押し目買いの動きから再び上昇に転じる可能性が高いとみられます。

 これまでドル・円と反対方向に動いていた米2年物国債の利回りが上昇に転じたことから、ドル・円には支援材料となりそうです。このまま利回りの上昇が続くようなら、ドル・円は今年3月15日につけた今年の高値84.18円を試す可能性が出てきそうです。



2012年11月26日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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