FX・為替比較はALL外為比較

  • FX会社を探す
  • FXの基礎知識
  • Q&A
  • 外国為替マーケット予想

ALL外為比較 > 外為マーケットコラム > 円売り期待根強いが、米国の「財政の崖」が懸念材料

外為マーケットコラム

円売り期待根強いが、米国の「財政の崖」が懸念材料

【米国の「財政の崖」の回避への動きに注目】
 ドル・円は1ドル=82円を挟んでのもみ合いとなっています。11月中旬から下旬にかけて大きく円安に振れた後、いったん上昇が一服したものの、一段の円安への期待は根強いものがあります。5日の講演で、日銀の西村副総裁が9月と10月の金融緩和について「これで十分かどうか検討していく」「新しい手法も駆使しながら、強力に金融緩和を推進していく」と発言しています。今月19〜20日に開催される日銀金融政策決定会合で追加緩和に動くとともに、新たな手段を打ち出すのではないかとの見方が広がりつつあります。

 米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細によると、CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)で取引される円の大口投機玉は、12月4日時点で売り越し枚数が90,326枚に達して、11月27日時点の79,466枚を超えて、今年最高となりました。過去に円安が進んだ局面では、売り越し枚数は5〜6万枚でピークを迎えるケースが多くありました。投機筋による売り越しが膨らんだことで、今回も円安が一服する可能性を指摘する向きもあります。ただ、過去の売り越しのピークとは異なり、日本の貿易収支が赤字基調に転換しており、円売りの流れは依然として続く可能性が高いとみられます。

 各種メディアの報道で、自民党が単独過半数を獲得する勢いと報じられていることで、日銀へ金融緩和圧力が働くとの見方から、円売り圧力は根強いとみられます。ただ、米国の「財政の崖」への警戒感に相殺されて、ドル・円は1ドル=81〜83円台でのレンジ相場が見込まれます。7日に発表された11月の米雇用統計で、非農業部門雇用者数、失業率ともに良好な結果となったものの、1ドル=83円台には乗せませんでした。このため、1ドル=83円台に乗せるには、日本の総選挙で自民党が単独過半数を獲得するか、「財政の崖」の回避に向けた動きが本格化するまで待たされそうです。

 今後の経済指標やイベントとしては11日に独12月ZEW景況感指数、米10月貿易収支、12日に日本10月機械受注高、ユーロ圏10月鉱工業生産指数、米連邦公開市場委員会(FOMC)・政策金利発表、13日に欧州連合(EU)首脳会議(14日まで)、米11月生産者物価指数、米11月小売売上高、米新規失業保険申請件数、14日に第4四半期日銀短観、中国HSBC製造業購買担当景気指数、日本10月鉱工業生産指数、ユーロ圏11月消費者物価指数、米11月鉱工業生産・設備稼働率などがあります。

 なお、11〜12日のFOMCでは、年末で期限を迎えるツイストオペ(短期債を購入して長期債を売却するオペレーション)に代わる債券購入プログラムが決定するとの見方が広がっています。

【ECBの利下げ観測が台頭】
 11月26日のユーロ圏財務相会合において、ギリシャの債務削減や次回融資に関して合意した後、ユーロ・ドルは堅調な足取りを続けてきました。3日にギリシャが国債の買い取り条件を発表して、予想よりも好条件だったことで、順調に買い戻しが進んで、次回融資が滞りなく実施されるとの見方が広がりました。また、米国の「財政の崖」への警戒感もあり、ドルが売られやすく、5日にはユーロ・ドルは1ユーロ=1.31ドル台まで上昇しました。

 6日に欧州中央銀行(ECB)が理事会で政策金利は据え置きました。ドラギ総裁は記者会見で、景気の下振れリスクを指摘しており、さらに中銀預金金利のマイナス金利について協議したことを明らかにしました。また、ECBは2012年と2013年の景気見通しを下方修正しました。景気見通しが下方修正されたことなどから、ECBによる利下げ観測が台頭して、ユーロ・ドルは値を崩すこととなりました。

 それと気がかりなのがスペインの利回りの上昇です。スペインの10年物国債の利回りは、一時5.2%台まで低下したものの、5日の同国の国債入札が「低調」と受け止められたことで、利回りが上昇しています。ユーロ・ドルはスペインの10年物国債の利回りときれいな逆相関関係にあり、同国の利回りが上昇に転じるようだと、ユーロ・ドルには圧迫要因となる可能性が高まりそうです。イタリアではモンティ首相が辞任を表明しており、同国の政治的な混乱がユーロ売りにつながる可能性も出てきました。

 5日に発表されたユーロ圏小売売上高が前年比3.6%減となるなど、ユーロ圏は景気も悪化傾向が続いており、ユーロ・ドルは上値の重い展開が見込まれます。このため、目先のユーロ・ドルは1ユーロ=1.27〜1.30ドル台での推移となりそうで、戻りは売りに押されやすい展開が見込まれます。

【日経平均は年末に向けて1万円回復を目指す展開か】
 過去に何度かドル・円について、2001〜2011年の11年間について、円安で終わった年と円高で終わった年ごとに季節的なパターンのグラフを表示して、今年は円安パターンの可能性があると解説しました。今回は日経平均の季節的パターンについて、ドル・円が円高で終わった年と円安で終わった年のグラフと比較してみます(日経が上げて終わった年、下げて終わった年という分類ではありません)。

 ドル・円は、2001〜2011年の11年間では、1年を通して円安で終わった年は、2001年、2005年、2006年、2009年の4回、円高で終わったのは2002〜2004年、2007〜2008年、2010〜2011年の7回あります。なお、今年のドル・円は1ドル=76円台後半で始まっており、このまま行くと、1年を通して円安で終わる可能性が高いです。

 グラフは日経平均の過去の値動きを指数化したものです。2001〜2011年の平均が青、この期間の円安の年だけを平均したものが赤、円高の年だけを平均したものが茶色です。いずれも0〜100の指数で表示しています。なお、2012年(緑)は実際の価格となり、これだけ右軸で表示しています。

 グラフの赤(円安年の日経)と緑(今年の値動き)を見る限り、5月以降はおおむね似たような値動きを見せています。今年は11月中旬以降の円安の流れが株式市場にもプラスに作用しています。円安年の流れで推移するとなれば、これから年末にかけて1万円〜10,500円を付近まで上昇する可能性が出てきそうです。



2012年12月10日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

 オーバルネクストは、国内外の先物取引や為替情報に関する各種のニュースやデータを配信、またこれらの情報に伴うシステム開発を行っております。スピードと正確性に富むニュースやデータの配信に加え、オーバルネクスト独自の情報分析を含む各種コンテンツを一般投資家や各種ブローカーの皆様へ幅広く提供しています。
詳しくはこちらをご覧ください

コラム一覧へ戻る

当社は「ALL外為比較」に掲載される情報(以下「掲載情報」といいます。)の完全性および正確性を保証いたしません。

また掲載情報は、将来における結果を示唆するものではありません。

したがいまして、お客様において掲載情報に基づいて行動を起こされた場合でも、当社はその行動結果について何らの責任も負担いたしません。

掲載情報に基づく行動は、お客様の責任と判断によりお願いいたします。掲載情報は、金融商品の売買等の勧誘を意図したり、推奨するものではありません。

お客様において掲載情報に含まれる金融商品の売買等の申込等をご希望される場合には、その掲載情報に記載の金融機関までお客様ご自身でお問い合わせください。

当社はお問い合わせに関し対応いたしかねます。

掲載情報のうち「外為マーケットコラム」等に関しましては、著作権法等の法律により保護されており、

個人の方の私的使用目的以外での使用や権利者に無断での他人への譲渡、販売コピーは認められていません。