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外為マーケットコラム

自民党の圧勝で一段の円安進行か

【日銀金融政策決定会合に注目】
 16日の衆議院選挙を前に、ドル・円、クロス円ともに円売りの動きが加速していました。自民党が勝利して、安倍総裁が総理となれば、日銀に対して一段と金融緩和圧力がかかるとみられることが、円売りの背景にありました。自民党の支持率上昇は、国民の間で円高の克服やデフレ対策への期待感がいかに大きかったかの表れと言えそうです。選挙結果は自民党が圧勝、自民・公明両党で320超の議席を獲得したことで、日銀への金融緩和圧力が高まり、一段と円安が進行しそうです。

 なお、最近の円売りは、日本の貿易収支が赤字基調に転じたという事情もありますが、日銀の一段の追加緩和への期待感によるところが大きいです。これは日本サイドの事情によるものです。ドル・円は米国の長期金利との連動性が高いものの、米国では「財政の崖」への警戒感から長期国債は買われやすく、米長期金利は目立った上昇は見せていません。長期的に円安が継続するには、米国の景気回復と米長期金利の上昇が必要となりそうです。

 今週は19〜20日の日銀金融政策決定会合が注目されます。自民党の勝利による安倍総理の誕生で、日銀への追加緩和期待が一段と高まります(もっとも、20日時点ではまだ安倍総理は誕生していませんが)。ドル・円は週明けに1ドル=84.48円まで上昇して、それまでの年初来高値であった3月15日の高値84.18円をあっさりと上抜きました。今後は85〜86円台を試す展開が見込まれます。今月の日銀による追加緩和の規模が小さいものであっても、1月にはさらに大胆な緩和策への期待が広がりそうです。

 一方、米国では11〜12日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0〜0.25%に据え置きました。9月に導入された月額400億ドルの住宅ローン担保証券(MBS)の買い入れを継続します。さらに今年末で期限を迎えるツイストオペ(短期債を売却して、それと同額の長期例を購入するオペレーション)の代わりに、月額450億ドルの国債を買い入れる新たな債券購入プログラムを打ち出しました。また、失業率が6.5%を下回るまで超低金利政策を続ける方針を決めています。

 今後の経済指標やイベントとしては、17日にユーロ圏10月貿易収支、米12月NY連銀製造業景気指数、18日に英11月消費者物価指数、19日に日本11月貿易収支、日本10月景気動向指数、独12月ifo景況感指数、英金融政策委員会(MPC)議事録、米11月建設許可件数、20日に日銀金融政策決定会合・政策金利、英11月小売売上高指数、米第3四半期国内総生産(GDP)確報値、米新規失業保険申請件数、米12月フィラデルフィア連銀景況指数、米11月中古住宅販売件数、米11月景気先行指数、21日に英第3四半期国内総生産(GDP)確報値、米12月ミシガン大学消費者信頼感指数などがあります。

【ユーロ圏財務相会合がギリシャへの融資を承認】
 ユーロ・ドルは堅調に推移しています。11日に発表された独12月ZEW景況感調査が予想外のプラスだったこと、ギリシャの国債買い戻しが順調に進んだこと、スペインの銀行の支援資金として欧州安定メカニズム(ESM)から400億ユーロの支払いが実行されたことなどから、ユーロ圏の景気や債務問題への警戒感が後退したことが背景にあります。なお、13日のユーロ圏財務相会合では、ギリシャに対して来年3月末までに491億ユーロの融資を承認しました。

 また、欧州連合(EU)財務相理事会では、14時間にも及ぶ協議の末、銀行監督の一元化で合意しました。欧州中央銀行(ECB)が大手の150〜200行を直接監督、それ以外の銀行は各国当局が監督します。ただし、問題が発覚した場合は、ECBは6,000行すべての銀行に介入する権限を持ちます。ECBによる銀行監督の開始は2014年3月となる見通しのため、今後の危機の再発防止には役立つものの、すでに経営状態が悪化している南欧諸国の銀行救済には活用できないといった問題点が指摘されています。

 ユーロ・ドルは欧州債務問題への警戒感が後退したことなどから、1ユーロ=1.30〜1.31ドルを中心に底堅い動きを続けそうです。ただ、ユーロ圏の景気動向は悪化傾向が続く可能性が高いことから、1ユーロ=1.32ドルを超えて上昇を続けるのは難しいとみられます。

【ドル・円は3年ぶりに円安で終了か】
 これまでに何度か、ドル・円の季節的なパターンについて解説してきました。ドル・円は、2001〜2011年の11年間で、1年を通して円安で終わった年は、2001年、2005年、2006年、2009年の4回、円高で終わったのは2002〜2004年、2007〜2008年、2010〜2011年の7回あります。 )。

 グラフはドル・円の過去の値動きを指数化したものです。2001〜2011年の平均が青、上記の円安の年だけを平均したものが赤、円高の年だけを平均したものが茶色です。いずれも0〜100の指数で表示しています。なお、2012年(緑)は実際の価格となり、これだけ右軸で表示しています。

 ドル・円は赤の円安年のグラフと似たような動きを見せてきました。今年は1ドル=76円台後半で始まっており、現在の流れからすると、始値に比べて円安で1年を終えるのは間違いないでしょう。年を通して円安で終えれば、2009年以来、3年ぶりということになります。

 円安パターンの年の赤のグラフを見る限りでは、1ドル=85〜86円台まで円安が進む可能性がありそうです。16日に行われた衆議院選挙で、自民党が圧勝したことで、安倍総裁が総理となり、日銀に対する金融緩和圧力が増すとみられます。このため、年内は円安・株高が進むことが期待されます。



2012年12月17日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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