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外為マーケットコラム

ドル・円の90円は通過点か

【日銀への圧力が強まる】
 9日に経済財政諮問会議が3年半ぶりに開催されました。安倍総理や経済閣僚、日銀総裁などが出席して、政府サイドからはデフレ脱却へ向けた金融政策の重要性が強調され、日銀へ物価上昇率目標2%の導入などが求められました。

 11日には円高やデフレ脱却に向けた政府の緊急経済対策を閣議決定しました。国の財政支出は10兆3000億円にのぼり、事業規模は20兆2000億円になる見通しです。安倍首相は記者会見で、「長引くデフレと円高からの脱却が決定的に重要」「縮小均衡の再配分から成長による富の創出へと大胆に転換を図っていく」「日本銀行の連携による大胆な金融政策が重要」と強調しました。

 その後も日銀の金融政策に対する報道が相次ぎ、追加金融緩和への期待感は高まっています。デフレ脱却へ向けた政府サイドの日銀への圧力は相当に強まっており、1月21〜22日の日銀金融政策決定会合では、物価上昇率目標2%の導入や追加金融緩和に動く可能性が高まっています。日銀の一段の金融緩和への期待感から、ドル・円は上昇傾向で推移しています。

 ドル・円は高値警戒感などもあって、利益確定の売りなどに押されて、9日に1ドル=86円台後半まで下落しました。ただ、下げは続かずにすぐに上昇に転じており、市場の先高期待の根強さがうかがえます。今の流れが続くと、1ドル=90円は単なる通過点となりそうです。その後は節目達成感で一時的に下げそうですが、調整一服後は再び緩やかな円安局面へ向かいそうです。

 今後の経済指標やイベントとしては、15日に独12月消費者物価指数、英12月消費者物価指数、ユーロ圏11月貿易収支、米1月NY連銀製造業景気指数、米12月小売売上高、米12月生産者物価指数、16日に日本11月機械受注高、ユーロ圏12月消費者物価指数、米12月消費者物価指数、米11月対米証券投資、米12月鉱工業生産・設備稼働率、17日に豪12月雇用統計、米12月住宅着工件数・建設許可件数、米新規失業保険申請件数、米1月フィラデルフィア連銀景況指数、18日に中国第4四半期国内総生産(GDP)、中国12月鉱工業生産指数、中国12月小売売上高、日本11月鉱工業生産指数、英12月小売売上高指数、米1月ミシガン大学消費者信頼感指数などがあります。

【ECBによる利下げ観測が後退】
 欧州中央銀行(ECB)は10日の理事会で政策金利を0.75%に据え置きました。理事会後の記者会見でドラギ総裁は、「金融市場の状況が大きく改善した」と語りました。また、政策金利の据え置きは全会一致だったと説明したことで、市場の利下げ観測が後退しました。景気見通しに関しては、2013年は弱含みが続く見通しながら、年内に経済活動は段階的に回復するとの見通しを示しました。

 10日には中国の貿易統計が良好な結果となり、ECBの利下げ観測の後退で、ユーロ・ドルは大きく上昇しました。ユーロのセンチメントは大きく改善していますが、足元の実体経済はさえない状況です。8日に発表されたユーロ圏の失業率は10.8%となり、ユーロ導入以来、最悪の水準まで上昇、11月のユーロ圏小売売上高は前月比0.1%増、前年比2.6%減となり、大方の予想を下回りました。9日のドイツの鉱工業生産指数も前月比0.2%増と、事前予想の同1.0%増を下回っています。比較的良好な米国の経済指標と比べて、ユーロ圏の景気の鈍化傾向が鮮明になりつつあります。

 米国では大型減税の失効と歳出削減が同時に起きる「財政の崖」は回避されたものの、連邦債務上限の引き上げが必要となる上、歳出の強制削減は2カ月先送りされたため、今後、与野党での激しい議論が見込まれます。協議の進展次第では、景気の先行きの悪影響を及ぼす可能性も出てきそうです。なお、3日に発表された12月11〜12日の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で、量的緩和の副作用を懸念して、当初の想定よりも早めに緩和策を打ち切るとの観測も台頭しています。

 米国はユーロ圏に比べると景気の見通しは明るく、経済指標もまずまず良好なことから、ドルの方がユーロに比べて、やや強く推移しそうです。もっとも、米国では財政再建策や債務上限の引き上げなどの問題を決着させる必要があるため、ドルが一方的に買われるようなことはないでしょう。このため、ユーロ・ドルは今後の米国の企業決算やユーロ圏・米国の経済指標に左右されつつ、1ユーロ=1.30〜1.35ドル台でのレンジ相場が続くとみられます。ただ、ユーロ圏の景気の弱さから1.35ドルに乗せても長続きはしないでしょう。

【春以降に上昇しやすい米大統領選挙の翌年のNYダウ】
 グラフは過去のNYダウの値動きを指数化したものです。ピンクのグラフは1993〜2012年の20年分のデータを元に作成したNYダウの季節性です。1年の値動きを0〜100で示しています。青は1985〜2009年の過去7回の米大統領選の翌年のデータを用いて値動きを指数化しています。緑のグラフは今年(2013年)の価格データですが、これのみ右軸で表示しています。今年はまだデータが少ないのでグラフは左の端のほうで、やや見にくくなっています。

 例年の季節性パターン(ピンク)では、年初から年の前半はおおむね上昇して、その後は秋口にかけてもみ合いの続きやすい調整局面となり、年の後半に再び上昇するといった傾向があります。ただ、米大統領選の翌年は通常とはやや異なるパターンとなります。1月は上昇するものの、2〜3月は修正安となり、その後、6月にかけて上昇します。7月には再び上昇した後、夏場は上値の重い動きとなりますが、10月下旬から一段と上昇します。

 2009年の前回の米大統領線の翌年のNYダウは、1月の9,000ドル台から3月には6,500ドル割れまで下落、その後は途中で押し目をつけたり、もみ合いとなる中、1万ドル回復まで上昇しました。グラフの青のパターンとよく似た動きとなりました。3月の安値と比べると大幅な上昇となって1年を終えました。

 今年が似たようなパターンになるとすると、いったん14,000ドル前後まで上昇した後、3月にかけて12,000ドル前後まで下落、その後徐々に上昇して年末には15,000ドル前後まで大きく上昇していくという値動きでしょうか。価格は大雑把な推測の域を出ませんが、米国株が上昇すると、各国の金融市場はリスクオンとなり、日本でも株高・円安の流れにつながりそうです。



2013年1月15日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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