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外為マーケットコラム

ドル・円は92〜93円へ向けて緩やかな円安か

【円売りの動きが再開】
 1月21〜22日に日銀金融政策決定会合が開催されました。日銀は物価上昇率目標2%の導入を決定。物価安定の目標の実現を目指し、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買い入れ等の措置を、それぞれ必要と判断される時点まで継続することを通じて、強力に金融緩和を推進するとしています。

 資産買い入れ等の基金について「期限を定めない資産買い入れ方式」を導入します。2014年初から、期限を定めず毎月一定額の金融資産を買い入れる方式を導入し、毎月、長期国債2兆円程度を含む13兆円程度の金融資産の買い入れを行います。また、政府と日銀はデフレからの早期脱却と持続的成長に向けて政策連携を強化するとした共同声明を発表しています。

 一見、大胆な緩和措置に動いたかに見えましたが、無期限の資産買い入れが2014年からとなったことで失望感が広がり、発表後の数日間はドル・円もクロス円も利益確定の売りに押されて上値の重い動きとなりました。ただ、24日に内閣府の西村副大臣が「1ドル=100円でも問題ない」との認識を示したことから再び円売りの動きとなっています

 円安の進行に警戒感を抱く向きも増えています。21日にドイツ連銀のバイトマン総裁は、中央銀行の役割を拡大し大胆な緩和政策を迫ることは、通貨切り下げ競争を招くリスクがあると警告しました。世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)でドイツのメルケル首相は通貨安競争のリスクに言及しています。これに対して、甘利明経済再生担当相はダボス会議で安倍政権の政策は円安誘導との見方を否定する見解を示しています。

 ドル・円は金融政策決定会合後にいったん調整したものの、内閣府の西村副大臣発言で再び円売りの動きに傾くなど、市場の円安期待の流れは継続しています。政府関係者から「1ドル=100円」という水準が出てきたことで、やはり100円が中期的な目標水準として意識されそうです。今後は日銀総裁選びや米国の景気動向などを眺めての推移が見込まれます。米国の経済指標に良好なものが続くようなら、円に比べてドルは買われやすくなり、目先は1ドル=92〜93円を試す動きが見込まれます。また、29〜30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で出口戦略が議論されるようなら、一段の金融緩和を目指す日本とは逆の動きとなり、ドル・円の上昇要因となりそうです。

【ユーロ・ドルは底堅い動き】
 米国では、企業業績が堅調なこと、米新規失業保険申請件数が5年ぶりの低水準まで低下、連邦債務上限を3カ月間引き上げる法案を下院で可決したことなどから、NYダウはリーマン・ショック後の高値を連日で更新しました。さらに欧州債務懸念の後退から、リスクオンの動きとなり、ユーロは堅調に推移しています。

 22日の講演で欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、当局者の努力によって、「最悪期は脱した」との考えを示しました。債券買い入れプログラム(OMT)が危機感の沈静化に大きく貢献しています。また、欧州中央銀行(ECB)によると、銀行に対する期間3年の流動性供給オペ(LTRO)の今月30日の返済分は1,372億ユーロになる見通しです。これは市場予想の800〜1,000億ユーロを上回ります。銀行の返済額が予想を上回るということは銀行の健全性回復を示唆していると判断できることで、ユーロの堅調さにつながっています。

 景気に目を向けるとユーロ圏は厳しい状況が続きそうです。国際通貨基金(IMF)が1月23日に発表した世界の経済成長率見通しでは、米国は2013年にプラス2.0%、2014年はプラス3.0%と良好なものの、ユーロ圏は2013年がマイナス0.2%で、前年に引き続いてマイナス成長と予想しています。ただ、2014年はプラス1.0%と改善を見込んでいます。

 米国株の堅調や中国の経済指標は良好なことや欧州債務問題への警戒感の後退などからリスクオンの動きとなり、ユーロ・ドルは1ユーロ=1.32〜1.34ドル台半ば前後で堅調な動きを見せています。ドイツの経済指標は、1月の独ZEW景況感調査は31.5となり、前回の6.9から大きく上昇するなど良好です。ただ、好調を維持しているのはドイツなど一部の国であり、ユーロ圏全体では景気の先行き不透明感が残ります。ユーロ・ドルは底堅い動きが続きそうですが、1ユーロ=1.35ドルを超えて上昇を続けるのは難しいとみられ、1ユーロ=1.32〜1.35ドル前後でのレンジ相場が続きそうです。

 今後の経済指標やイベントとしては、28日に米12月耐久財受注、29日に米11月S&Pケースシラー住宅価格指数、30日に米1月ADP雇用統計、米第4四半期国内総生産(GDP)速報値、米連邦公開市場委員会(FOMC)、31日に日本12月鉱工業生産指数、独1月雇用統計、ユーロ圏1月消費者物価指数、独1月消費者物価指数速報値、米新規失業保険申請件数、米個人所得・個人支出、米1月シカゴ購買部協会景気指数、2月1日に日本12月雇用統計、中国1月製造業購買担当景気指数、中国1月HSBC製造業購買担当景気指数、ユーロ圏12月雇用統計、米1月雇用統計、米1月ミシガン大学消費者信頼感指数、米1月ISM製造業景況指数などがあります。

【NYダウは1月が陽線なら年足も陽線になりやすい】
 米国株には「1月が高いと年間でも株価は上昇する傾向がある」という1月効果というものが知られています。ここでは、通貨や株価の1月の月足が陽線だった場合、年足も陽線になりやすいかどうかについて確認します。グラフは1991〜2012年の22年間で、1月が陽線だった場合、年足でも陽線になる確率と、1月が陰線だった場合、年足でも陰線となる確率を示したものです。

 NYダウは1991〜2012年の22年間で、1月が陽線だったケースが14回あり、そのうちの実に13回が年足でも陽線となっています。1月が陽線だった場合の年足の陽線確率は92.9%となります。また、S&P500では78.6%と若干低下します。NYダウとS&P500は1月が陽線で引けそうなため、過去の統計で見る限り、年足でも陽線で引ける可能性が高いと言えそうです。

 日本の株式市場は米国とは異なり、これほど極端なバイアスはありません。日経平均は1月が陽線だった場合、年足の陽線確率は55.6%、1月が陰線だった場合、年足が陰線になる確率は61.5%となります。なお、ここでの日経平均は先物でなく、指数です。1月の日経は陽線となりそうですが、その場合、年間を通してはやや陽線に傾きやすいというだけで、米国株のような明確な偏りはありません。

 ドル・円についてですが、1月が陽線だった場合、年足が陽線になる確率は45.5%となります。ここでは陽線とは円安に振れるという意味です。1月が円安でも年間を通して必ずしも円安とは限らないということです。1月が陰線(すなわち円高)の場合は、年足で陰線(円高)になる確率は63.6%と高くなります。円安の場合に比べて、1月が円高だと年間を通して円高に振れやすくなります。ドル・円の1月の始値は1ドル=86.75円前後なので、1月は陽線となりそうですが、これが年間を通して円安につながりやすいということにはなりません。



2013年1月28日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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