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外為マーケットコラム

ドル・円はレンジ相場か

【目先は大きく円安には振れにくい】
 2月15〜16日の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、16日に競争的な通貨安を回避する方針などを盛り込んだ声明を採択して閉幕しました。声明では日本が名指しで批判される事態は回避されました。ただ、「国内目的の政策が他国に与える負の波及効果を監視し、最小化する」との文言が組み込まれたことで、一段の円安を牽制するものと判断できます。

 その後、政府関係者からは円安につながるような発言は控えられました。20日に安倍首相と麻生財務相が参院予算委員会での答弁において、いずれも外債購入に否定的な見解を示すなど、円安を積極的に後押しするような発言が影を潜めました。昨年の後半から徐々に円高修正が進んだ上、急激な円安に懸念を示す国もみられることから、日本の当局者の発言は慎重になっています。

 なお、21日の日本時間の早朝に発表された1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録では、労働市場が改善する前に資産買い入れの規模の縮小や停止が必要になる可能性が指摘されました。これまで世界の金融市場にマネーを供給してきた米国の量的緩和が想定よりも早く縮小・停止する可能性が指摘されたことで、ドルが買われることとなりました。ただ、その後は金融緩和を継続する発言も米連邦準備理事会(FRB)の当局者より出ているため、早期の金融緩和解除への懸念も後退しています。

 白川総裁の後任の日銀総裁に元財務官の黒田東彦アジア開発銀行(ADB)総裁を起用する方針を固めたと報じられたことで、週明けは円売りの動きとなり、ドル・円は1ドル=94円台後半まで上昇しました。ただ、1ドル=95円は壁になっています。

 今後は日銀総裁人事や新総裁がどのような発言をするかが注目されます。ただ、G20を受けて、当局者の発言は慎重になっており、あまり極端に円安が進むことはないでしょう。次期日銀総裁の下で金融緩和が強化されるとの思惑も根強く、円が大きく買い戻される余地もあまりなさそうです。このため、目先は経済指標や当局者の発言に左右されて、ドル・円は1ドル=91〜95円台でもみ合いが続きそうです。

【イタリアの総選挙に注目】
 24〜25日にイタリアでは総選挙が実施され、市場では選挙と政権の動向に関心が集まっています。市場関係者の間では、モンティ首相が進めた改革を評価する声は高いものの、イタリア国民の間では緊縮政策のせいで不人気と伝えられています。市場では、ベルルスコーニ前首相がイタリアを債務危機に追いやったとの見方が根強く、もしベルルスコーニ氏が何らかの形で政権に参加するとなれば、ユーロには圧迫要因がひとつ増えることになります。

 20日にドイツのメルケル首相は、ユーロの対ドル相場で1ユーロ=1.30〜1.40ドルの水準は歴史的に見てノーマルと指摘しました。さらに自国通貨の為替相場に影響を与えるような措置を指示しないと述べています。首相クラスが為替相場の水準に言及するのは異例と言えます。

 欧州中央銀行(ECB)が2012年2月に実施した2回目の期間3年の流動性供給オペ(LTRO)の早期返済が2月27日より始まります。返済額は611億ユーロにとどまる見通しで、市場予想の1,200〜1,300億ユーロを大きく下回り、ユーロの圧迫要因となりました。

 FOMC議事録やLTROの返済額が予想を下回ったことで、ユーロ売り/ドル買いの動きとなり、ユーロ・ドルは1ユーロ=1.32ドルを割り込む水準まで下落しました。ドイツを別とするとユーロ圏の景気動向は良好とは言えません。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が議会証言で「ユーロ圏経済は2013年初期に弱含む」と述べたように、景気はさえない状況が続きそうです。このため、ユーロ・ドルは1ユーロ=1.30〜1.34ドルのレンジで推移しつつ、上値の重い展開が見込まれます。

 今後の経済指標やイベントとしては、26日に米12月S&P/ケースシラー住宅価格指数、米2月消費者信頼感指数、米1月新築住宅販売件数、27日に英第4四半期国内総生産(GDP)改定値、米1月耐久財受注、28日に日本1月鉱工業生産指数、独2月雇用統計、独2月消費者物価指数速報値、米第4四半期国内総生産(GDP)改定値、米新規失業保険申請件数、米2月シカゴ購買部協会景気指数、1日に日本1月雇用統計、日本1月消費者物価指数、中国2月製造業購買担当景気指数、中国2月HSBC製造業購買担当景気指数改定値、ユーロ圏2月消費者物価指数速報値、ユーロ圏1月雇用統計、米1月個人所得・個人支出、米2月ミシガン大学消費者信頼感指数などがあります。

【米雇用関連統計でみるとNYダウは堅調な推移が続きそう】
 これまで何度か、米新規失業保険申請件数とNYダウは連動した動きとなりやすいと説明しました。この状況は最近まで変化はなく、米新規失業保険申請件数が減少して雇用情勢が改善するとNYダウは上昇する傾向があり、逆に米新規失業保険申請件数が増加して雇用情勢が悪化するとNYダウは下落する傾向があります。

 グラフは、米新規失業保険申請件数とNYダウを表示しています。ピンクが米新規失業保険申請件数の4週平均(左軸)で上下を逆に表示してあり、青がNYダウを示しています(右軸)。ピンクのグラフの上昇(数値は減少)は雇用情勢の改善を意味しています。このグラフからは両者が似たような動きをすることが見て取れます。

 米新規失業保険申請件数は、毎週木曜日に発表される週次のデータであり、速報性が高いことで米国の雇用情勢を把握するのに適したデータです。ただ、この統計は速報性が高いものの、ほぼ毎回のように修正されるという特徴があります。こうしたブレの大きい統計であるため、グラフでは4週平均を採用しています。

 12月上旬に米新規失業保険申請件数の4週平均が一時的に増加(ピンクが下向き)したものの、その後は再び減少傾向(ピンクが上向き)にあります。この動きと歩調を合わせて、NYダウはいったん下げた後に戻り歩調で推移しています。ただ、14,000ドル付近ではやや上値重くなっています。今後、米新規失業保険申請件数の減少傾向が続けば、2007年10月に記録した過去最高値14198.10ドルの更新を視野に入れそうです。



2013年2月25日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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