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外為マーケットコラム

キプロス問題に振り回される展開か

【キプロス問題が波乱要因に】
 ユーロ圏財務相会合は16日にキプロスへの100億ユーロの金融支援策を決定しました。ただし、支援の条件として、同国の銀行預金へ課税するという異例の内容となりました。19日にキプロス議会では、銀行課税法案を否決しており、今後の行方が注目されていました。3月25日にはキプロスが欧州連合(EU)による支援策で大筋合意に達したと報じられ、円売り、ユーロ買いの動きとなりましたが、市場には警戒感が根強く残っているようです。

 19〜20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、事実上のゼロ金利政策と月額850億ドルの資産買い入れ継続を表明しました。米経済については、「穏やかな回復軌道に戻った」として景気認識を引き上げました。今回の声明でも「かなりの期間、緩和的姿勢を続けることが正当化される」と前回と同じ表現を踏襲しています。「出口戦略」への言及もありませんでした。

 21日夕方の黒田日銀新総裁の就任記者会見では、「質的、量的両面から大胆な金融緩和を進める」「物価上昇率目標2%の達成には2年程度を念頭に置き」「達成まであらゆる手段を講じる」と表明しました。ただ、臨時会合の開催については言及がなかった上、話の内容が新鮮味に乏しいものでした。

 4月3〜4日の日銀金融政策決定会合を前に臨時会合が開催されるかどうかは定かではないものの、新たな正副総裁のもとで最初に開催される決定会合では、国債の購入対象を期間3年までから5年程度まで拡大、2014年以降に導入予定の金融資産の無期限買い入れの前倒しの実施など、一段の緩和策を打ち出すとみられます。

 日銀総裁の交代による大胆な金融緩和への期待感から、本来なら円は売られやすい地合いとなるはずです。ただ、キプロス情勢への警戒感からドル・円はやや上値重く推移しそうです。また、日本企業の決算期を控えてのレパトリエーション(海外へ投資していた資金を自国に戻すこと)も円買いの動きにつながり、ドル・円の上値を抑えそうです。そうした中、もしキプロス問題がきちんと決着すれば、ドル・円は緩やかな上昇基調に転じるとみられます。その場合、一時的な調整を入れつつも、4月上旬にかけて1ドル=100円の大台を試すこととなるでしょう。

【キプロス問題の進展に注目】
 キプロス問題では、先行き不透明感が続きそうです。キプロスが資金繰りに行き詰まり、デフォルト(債務不履行)する可能性は低下したと思われます。ただ、このまま素直に決着するかどうかは不透明で、引き続き波乱要因となりそうです。

 なお、21日に発表されたドイツ、フランス、ユーロ圏の購買担当者指数(PMI)はいずれも事前予想を下回るなど、ユーロ圏の景況感は悪化しています。ユーロ圏の景気悪化のため、ユーロの上値の重さは続きそうです。

 キプロス問題への警戒感はユーロの上値を抑える要因となりそうです。また、米国と比べてユーロ圏の景気は低調であり、ユーロ・ドルは上値重く推移しそうです。目先のレンジは1ユーロ=1.27〜1.31ドル前後で、戻りは売りに押されやすい展開が見込まれます。

 今後の経済指標やイベントとしては、26日に米2月耐久財受注、米1月S&Pケースシラー住宅価格指数、米3月消費者信頼感指数、米2月新築住宅販売件数、27日に英第4四半期国内総生産(GDP)確報値、28日に独3月雇用統計、米第4四半期国内総生産(GDP)確報値、米新規失業保険申請件数、米3月シカゴ購買部協会景気指数、29日 日本2月雇用統計、日本2月消費者物価指数、日本2月鉱工業生産指数、米3月ミシガン大学消費者信頼感指数などがあります。

【ドル建て金価格とドル・カナダドルのきれいな逆相関関係】
 豪ドルやカナダドルは資源国通貨と呼ばれ、原油や天然資源などと連動しやすいと言われています。ここではドル建て金現物価格とドル・カナダドルの関係について確認してみます。グラフはドル・カナダドル(青)とドル建て金現物価格(ピンク)の推移を示したものです。2つのグラフは対称的で、きれいな逆相関関係にあります。

 グラフの期間の相関係数は-0.81と逆相関が高く、直近の50日に絞ると-0.90と一段と逆相関が高くなります。相関係数とは、-1.0〜1.0の範囲で動き、1.0で完全に同じ動き、-1.0で全く逆の動き(逆相関)、ゼロなら相関なしと判断されます。この数字が1.0に近いほど値動きが似ており、0.7〜0.9なら相関が高いと判断できます。また、この値が-1.0に近いほど両者は逆の動きをするということになります。-0.7〜-0.9なら逆相関が高いと判断できます。

 ドル建て金価格は、ドル安になると価格が上昇します。すなわち、ドル高/カナダドル安なら金価格は下落して、ドル安/カナダドル高なら金価格は上昇します。現時点で逆相関関係がこれほど高いのはドル・カナダドルだけです。豪ドル・ドル、ユーロ・ドルはドル・カナダドルほど金価格との明確な相関はありません。これらは金価格と連動性が高いこともありますが、現時点では目立った相関はありません。

 ドル建て金価格やドル・カナダドルの動きを予測する際には、お互いを合わせてチェックすることで先行きの方向性を予測する材料に使えそうです。例えば、ドル・カナダドルが上昇(ドル高)であるのにドル建て金価格が上昇を続けていれば、金価格の上昇がそろそろ一服する可能性がある、といった予測に利用することができそうです。



2013年3月25日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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