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外為マーケットコラム

内外で注目イベント相次ぐ、特に日銀の緩和策に注目

【キプロス支援で合意したが警戒感は残る】
 25日にはキプロス政府は、欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)と100億ユーロの金融支援策で合意しました。一部の銀行を閉鎖して、預金保険の対象外となっている大口預金者に負担を求めるという異例の内容となっています。

 ユーロ圏財務相会合のダイセルブルーム議長は、25日に「キプロス支援の枠組みが他国を支援する際のひな型となる」と発言したことで、他国への支援時に同様の仕組みが導入されかねないとの警戒感が広がりました。この結果、ユーロは警戒感から売られやすくなり、リスク回避の動きから円は買われやすくなりました。キプロスの次はスロベニアが金融支援を要請するとの見方も市場では出てきています。

 また、ユーロ圏ではイタリアの政局にも注目が集まっています。中道左派連合が主導する連立協議が不調に終わり、暫定政権の樹立やイタリアでは再選挙の可能性が出てきています。同国の政治的な混迷が、国債入札での利回り上昇につながるとともに、ユーロの上値を抑えている状況です。

 日銀の黒田総裁は、3月26日、28日の国会での答弁で、物価上昇率目標2%達成のために大胆な金融緩和を推進する決意を表明したものの、それほど目新しい発言はなかったことでインパクトには乏しいものとなりました。新たな正副総裁のもとではじめて開催される4月3〜4日の日銀金融政策決定会合で、市場予想を上回るような緩和策が打ち出されるか、日銀の緩和姿勢が注目されます。

 キプロスへの支援策が他国へも波及するとの警戒感やイタリア政局の混迷などから、円は買われやすい地合いにあります。日銀は大胆な金融緩和に動く可能性が高いものの、せっかくの日銀の緩和策が相殺されてしまう可能性もあります。このため、ドル・円は1ドル=93〜96円台でもみ合いが見込まれます。93円台まで下落しても、緩和期待から底堅い動きにつながりそうだ。ただ、上昇しても1ドル=96円前後では頭打ちになるとみられます。

【注目される経済指標やイベント相次ぐ】
 キプロスの問題は一応の決着を見たものの、他国へ同様の支援策が波及するとの警戒感が残りそうです。また、政局が混迷するイタリアもユーロの圧迫要因となりそうです。米国と比べて、ユーロ圏の経済指標はさえないものが多く、ユーロ圏の景気の先行き懸念からもユーロは上値を抑えられやすくなるとみられます。なお、28日にキプロスの銀行は営業を再開した。取り付け騒ぎなどは起きておらず、市場には安心感が広がりました。

 米国では1日に米3月ISM製造業景況指数、3日に米3月ADP雇用統計、米3月ISM非製造業景況指数、5日に米3月雇用統計などの経済指標が発表されます。欧州では、2日にユーロ圏2月雇用統計(失業率)、4日に欧州中央銀行(ECB)理事会やドラギ総裁の記者会見、英中銀金融政策委員会(MPC)など注目度の高い経済指標やイベントが相次ぎます。

 ユーロ圏の2月の失業率は、大方の事前予想では12.0%となっており、ユーロ導入以来最悪となった1月の11.9%を上回る見通しです。米国で雇用情勢の改善傾向が続いているのとは対照的な動きとなっています。ユーロ圏の雇用情勢が悪化していれば、ユーロ売りの材料となります。

 ユーロ・ドルは引き続き下値を探る展開が見込まれます。キプロスへの支援策が他国へ波及する懸念が払しょくしきれない上、ユーロ圏の経済指標も悪化しているものが多く、ECBが利下げに踏み切るとの観測も出ているためです。ユーロ・ドルは1ユーロ=1.25〜1.30ドル台での推移となり、戻りは売りに押されやすくなりそうです。

【4月の月足の陽線確率:豪ドルやポンドが上げやすい季節】
 グラフは2003〜2012年の10年間について、主要通貨や商品などが4月の月足が陽線になった比率を示しています。陽線とは終値が始値よりも上昇したことを意味しています。ここで、ドル・円やクロス円が陽線になりやすい(すなわち上昇しやすい)ということは、円安に振れやすいということを示しており、陰線になりやすい(下落しやすい)ということは円高になりやすいということを示しています。

 グラフの棒グラフは4月の陽線確率(左軸)、ピンクの折れ線は通貨の値幅(pips)を示しています(右軸)。これによると、4月の陽線確率はドル・円が50.0%とバイアスがなく、ユーロ・ドルは40.0%とやや陰線になりやすくなっています。他通貨は、豪ドル・円が70.0%、豪ドル・ドルが90.0%、ポンド・円が80.0%、ポンド・ドルが90.0%となり、豪ドルとポンドが上げやすい月となっています。

 過去の統計的な偏りを見る限りは、4月はポンドと豪ドルの買いが有効な月です。特に豪ドル・ドル、ポンド・ドルの陽線確率は90.0%と極めて高いことから、この両通貨は買いを仕掛けるには適した時期となりそうです。一方、通貨以外では、NY原油(WTI原油)は70.0%、ドル建て金現物が60.0%、NYダウは80.0%といずれも上昇しやすくなっています。

 なお、過去10年間の各通貨の4月の平均値幅は次の通りです。通貨間で標準化するためpipsで表示しています(カッコ内は3月の値幅)。ドル・円は453(566)、豪ドル・円は454(655)、豪ドル・ドルは417(487)、ポンド・円は784(1043)、ポンド・ドルは660(642)、ユーロ・円は691(767)、ユーロ・ドルは557(586)となっています。4月は3月と比べて通貨の変動幅が縮小する傾向にあります。



2013年4月1日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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