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外為マーケットコラム

日銀の緩和策を受けて、ドル・円は100円を目指す展開か

【日銀の大胆な金融緩和で円売りに】
 4月3〜4日の黒田新総裁が就任してはじめての日銀金融政策決定会合では、「量的・質的金融緩和」の導入を決定しました。その中で、消費者物価上昇率2%(前年比)の「物価安定の目標」を2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現するとしています。そのため、マネタリーベースおよび長期国債・ETFの保有額を2年間で2倍に拡大、長期国債の買い入れの平均残存期間を2倍以上に延長するなど、質・量ともに次元の違う金融緩和を行う意向を表明しました。

 量的な金融緩和を推進する観点から、金融市場調節の操作目標を、無担保コールレート(オーバーナイト物)からマネタリーベースに変更し、金融市場調節方針を「マネタリーベースが、年間約60〜70兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う」としました。資産買入等の基金の廃止(長期国債の買入れに吸収)、銀行券の発行残高以上は国債を購入しないという銀行券ルールの一時適用停止、市場参加者との対話の強化なども盛り込まれました。

 また、国債の購入対象を広げ、40年債まですべての年限の国債を買い入れます。購入する国債の平均残存期間は現在の3年弱から、7年程度まで伸ばします。毎月の国債購入額は7兆円規模となり、月間の国債発行額の約7割となります。また、黒田総裁は記者会見で、これまでと次元の異なる金融緩和であると強調、さらに「戦力の逐次投入はせず、現時点で必要な政策をすべて講じた」と強調しました。

 日銀金融政策決定会合の結果を受けて、円売りの動きが加速して、4〜5日にドル・円やクロス円は急伸して、ドル・円は1ドル=92円台から97円台まで大きく上昇しました。週明けにはドル・円は98円台に乗せ、ユーロ・円は128円台まで上昇するなど、円売りの流れが続いています。日経平均も13,000円台に乗せています。

 このところの米国の経済指標さえないこともあり、米長期金利が低下傾向にあることが気がかりで、この傾向が続くと、日銀による緩和効果を相殺する可能性もあります。ただ、日銀の緩和策により、円安基調で推移することとなり、1ドル=100円を試す展開となりそうです。

【米国・ユーロ圏の経済指標はいまひとつ】
 このところの米経済指標にはさえないものが目立ちます。1日に米3月ISM製造業景況指数、3日に米3月ADP雇用統計、米3月ISM非製造業景況指数、5日に米3月雇用統計が発表されましたが、いずれも事前予想を下回る結果となりました。4日の新規失業保険申請件数も予想外の高水準まで増加するなど、米国の景気回復期待に水を差す結果が続いています。

 4日に欧州中央銀行(ECB)理事会では、政策金利は0.75%に据え置きました。その後のドラギ総裁の記者会見では、欧州の景気に慎重な見方を示し、景気の下支えに向け「行動する用意がある」と表明して利下げに含みを持たせました。

 なお、ユーロ圏の経済指標は景気悪化を示しています。3月のユーロ圏製造業購買担当者景気指数(PMI)は2月から低下しています。ドイツ、フランス、スペイン、イタリアなども軒並み低下しています。ユーロ圏の2月の失業率は、12.0%となっており、ユーロ導入以来最悪となった1月の12.0%(改定値)と同水準となりました。景気の先行きに明るさが見られず、ユーロに対しては強気になりにくい状況です。一方で、米国の経済指標も予想を下回るものが相次いでおり、ドルの上値を抑えそうです。

 ユーロ・ドルはだらだらとして下げトレンドが継続してきましたが、売られ過ぎ感もあって、1ユーロ=1.27ドル台半ばで下げ止まって、反発に転じています。米国の経済統計が予想を下回って、対ユーロではドルが売られやすくなったことも背景にあります。こうしたことから、一方的なユーロ買いやドル買いにつながりにくく、1ユーロ=1.28〜1.31ドルのレンジでのもみ合いが続きそうです。

 今後の経済指標やイベントとしては、8日に独2月鉱工業生産指数、9日に中国3月消費者物価指数、中国3月生産者物価指数、独2月貿易収支、英2月鉱工業生産指数、10日に中国3月貿易収支、米3月財政収支、11日に日本2月機械受注高、豪3月雇用統計、独3月消費者物価指数、米新規失業保険申請件数、12日にユーロ圏2月鉱工業生産指数、米3月生産者物価指数、米3月小売売上高、米4月ミシガン大学消費者信頼感指数、ユーロ圏財務相会合などがあります。

【CFTC建玉明細、豪ドルの買い越しが増加一服】
 米商品先物取引委員会(CFTC)は毎週金曜日にその週の火曜日時点での建玉明細を発表しています。この中で、大口投機家の売り越し幅、買い越し幅の変動は、相場の方向と連動性が高いケースが多く、特に注目されています。

 グラフは豪ドル・ドルの大口投機玉の建玉明細のグラフで、水色は豪ドル・ドルの終値(これのみ左軸)、緑の棒グラフは買い玉、ピンクは売り玉です。赤は買い玉から売り玉を差し引いたネットポジションで、最も注目される数値となっています。赤のグラフがゼロより下にあるときは大口投機玉は売り越し、赤がゼロより上なら買い越しとなります。

 グラフによると、豪ドル・ドルが堅調に推移したことで、豪ドルの大口投機玉は3月以降、買い越しが増加傾向に転じています。買い越し枚数は、3月5日時点で7,149枚まで減少したものの、その後は増加して3月26日には85,515枚まで増加しました。ただ、4月2日時点では83,971枚となり、買い越し枚数の増加が一服しています。

 豪州の経済指標が比較的良好な上、米国を中心に株価が過去際高値圏で堅調に推移してきたことで、豪ドル・ドルが買われやすい状況となっていました。ただ、豪ドルの上昇も頭打ちとなってきたことで、買い越し枚数の増加も小休止となっています。豪ドルの買い越し枚数は7〜8万枚前後で頭打ちとなる傾向があり、豪ドルも上値を抑えられやすい状況を迎えていると言えそうです。



2013年4月8日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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