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外為マーケットコラム

G20では日銀緩和策に理解、一段と円安が進行か

【ドル・円は95円台まで下げた後に戻す】
 15日の米国株式市場では、中国の景気減速、金や原油などのコモディティ価格の急落、ボストンマラソンでの爆弾テロなどを背景にNYダウは265ドルもの急落を見せました。特にNY金はキプロスの金売却などを材料に140ドルもの大幅な下げとなり、原油も急落しました。その後、株式やコモディティは荒れた動きとなり、為替相場にも大きく影響しました。

 15日の米国株、金、原油の急落などを受けて、リスク回避の円買いが加速して、日本時間の16日の早朝にはドル・円は1ドル=95.80円まで下落しました。クロス円も同様に大きく下落しました。ただ、日銀の緩和策に対する期待感も根強く、その後は下げが一服しており、ドル・円はおおむね1ドル=97〜99円台で推移しています。

 18〜19日に開催された20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、日銀の黒田総裁が異次元緩和について、「あくまでも物価の安定という国内政策目標のためにやっており、通貨安を意図していることは全くない」と説明しました。麻生財務相は初日の討議終了後に記者会見して、日銀の金融政策は国内の物価安定が目的だと各国へ説明して、「会議の場で反論はなかった」と述べています。

 日本時間20日未明にG20は共同声明を採択して閉幕しました。日銀の異次元緩和については「通貨の切り下げ競争を回避する」「競争力のために為替レートを目的とはしない」と再確認しました。日銀の緩和策は「デフレを止めて国内需要を支えることを意図している」と共同声明に明記されました。

 今回のG20では、日本の緩和策への目立った批判はなく、日本の金融政策に理解が示されたことから、ドル・円は99円台後半まで上昇しました。日本の緩和策が一定の理解を得られたことで、1ドル=100円突破して、その後も緩やかな円安となりそうです。

【ユーロは買い材料に乏しいが大きな崩れはなさそう】
 17日にドイツ連銀のバイトマン総裁は、経済指標が正当化すれば、欧州中央銀行(ECB)は追加利下げを行う可能性があるとの見解を示しました。ユーロ圏の景気は減速傾向にあり、今年はマイナス成長の可能性が高まっています。

 ユーロ圏最大の経済規模を誇るドイツでも景気の先行きは不透明であることから、バイトマン総裁の発言につながったようです。裏を返すとそれだけ景気悪化は深刻であり、もしECBが今後利下げに踏み切るなら、複数の当局者から利下げを示唆する発言が出てくるものと思われます。ECBによる利下げの可能性が高まれば、ユーロは上値の重い展開を強いられることとなりそうです。

 ユーロ圏の債券市場では、日本の緩和策により、高い利回りを求めて日本からの資金流入が期待されてユーロ圏の国債が買われて、利回りは低下傾向にあります。18日のスペイン国債の入札では、利回りが低下して調達額も目標を上回りました。これなどは日本からの資金シフトへの期待感も一因となっているようです。ただ、日本の財務省が発表した4月7日〜4月13日の対外及び対内証券売買契約等の状況(指定報告機関ベース)では、国内勢の外債投資は3319億円の売り越しとなり、運用資金の海外シフトは確認できていないようです。

 ユーロ・ドルは、おおむね1ユーロ=1.30〜1.32ドル台での推移となっています。景気減速、利下げの可能性を考慮すると、大幅な上昇は望みにくい状況です。ただ、大きな崩れも起きにくいとみられ、1ユーロ=1.28〜1.32ドル前後での推移が見込まれます。目先は米国の経済指標に影響を受けやすくなるとみられます。

 今後の経済指標やイベントとしては、22日に米3月中古住宅販売件数、23日に中国HSBC製造業購買担当景気指数、米2月住宅価格指数、米3月新築住宅販売件数、24日にニュージーランド準備銀行(RBNZ)政策金利、豪第1四半期消費者物価指数、独4月ifo景況感指数、米3月耐久財受注、25日に英第1四半期国内総生産(GDP)速報値、米新規失業保険申請件数、26日に日本3月消費者物価指数、日銀金融政策決定会合、米第1四半期国内総生産(GDP)速報値、米第1四半期個人消費速報値、米4月ミシガン大学消費者信頼感指数などがあります。

【ユーロ・ドルは独米の金利差が参考材料に】
 以前はドル・円は日米の2年物の国債利回りの差に左右されるケースが多く見られました。ただ、昨年の後半からは日銀の大胆な金融緩和策への期待感から円安が進んで、ドル・円と日米の金利差の相関が低下してきました。このため、両国の金利差への注目度はやや低下しているようです。

 そうした中、ドイツと米国の2年物国債の利回りの差は、ユーロ・ドルと高い相関関係を保っています。グラフはピンクがユーロ・ドルの価格(右軸)で、青はドイツと米国の2年物国債の利回りの差です。こちらは左軸で表示しています。金利差は「ドイツ−米国」となっており、ドイツの利回りの方が低いことが多いため、大半の期間でマイナスになっています。

 グラフの表示期間(日足で200本)の両者の相関係数は0.76で、かなり相関が高いと言えそうです。なお、相関係数とは、2つのデータ間の連動性の強さを示す指標です。-1.0〜1.0の範囲で動き、1.0で完全に同じ動き、-1.0で全く逆の動き(逆相関)、ゼロなら相関なしと判断されます。この数字が1.0に近いほど値動きが似ていると言え、0.8〜0.9なら極めて相関が高く、動きが似ていると判断できます。

 ドル・円では日米の金利差は有効性が低下しているものの、ユーロ・ドルでは独米の金利差は今のところ有効に機能していると判断できそうです。ただ、2年物国債の利回りは両国ともにかなり低く、ドイツは一時的にマイナス金利になることもあり、金利差だけを頼りに先行きを予測するのはリスクがありそうです。



2013年4月22日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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