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外為マーケットコラム

ドル・円は1ドル=100円突破の可能性も

【米雇用統計で市場のセンチメントが一変】
 1日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、金融政策を据え置きました。FOMC後の声明では、借り入れコストの引き下げや景気浮揚のために米国債や住宅ローン担保証券(MBS)など月額850億ドルの資産買い入れを継続する方針を示しています。なお、資産の買い入れに関しては、雇用情勢と物価動向に応じて「増額、もしくは減額する用意がある」と表明しました。FOMCやその後の声明は、大方の予想とそれほど異なる点はなかったことから、通貨市場でそれほど大きなインパクトはありませんでした。

 1日に発表された4月の米ADP雇用統計では、民間部門雇用者数は11.9万人増となり、事前予想の15.0万人増を下回りました。4月の米ISM製造業景況指数は50.7となり、前月の51.3から低下しています。米経済指標はさえないものが多く、米国の景気の先行きに警戒感も広がりつつありました。

 ところが、3日の4月の米雇用統計では非農業部門雇用者数が前月比16.5万人増となり、市場予想の14.5万人増を上回る伸びとなった上、失業率も前月の7.6%から7.5%に低下しました。また、2月と3月の非農業部門雇用者数も上方修正されました。

 予想以上に良好な米雇用統計を受けて、米国の景気減速への懸念が後退しました。この結果を受けて、NYダウは一時15,000ドルの大台に乗せるなど、米国株は大幅高となり、ドル・円は一時1ドル=99円台半ばまで上昇しました。米国の経済指標はさえないものが多かったものの、4月の米雇用統計が予想を上回る良好な結果となったことで、米国経済に対するセンチメントが一変しています。

 ドル・円は今後も米国を中心とする経済指標に振り回されやすい推移が見込まれます。米国の経済指標次第で、1ドル=100円を突破する可能性が出てきそうです。ただ、なかなか100円の大台を突破できず、米中の経済指標が景気鈍化につながるような結果となれば、1ドル=96〜97円前後まで調整することとなりそうです。

 今後の経済指標やイベントとしては、7日にオーストラリア準備銀行(RBA)政策金利、独3月製造業受注指数、8日に中国4月貿易収支、独3月鉱工業生産指数、9日に中国4月消費者物価指数、中国4月生産者物価指数、豪4月雇用統計、日本3月景気動向指数、英3月鉱工業生産指数、英中銀(BOE)政策金利、米新規失業保険申請件数、10日に日本3月経常収支、独3月貿易収支、英3月貿易収支、米4月財政収支などがあります。

【ECBは追加利下げの可能性も】
 5月2日の欧州中央銀行(ECB)理事会で、政策金利を0.75%から0.50%に利下げしました。ドラギ総裁は理事会後の記者会見で、「ECBは金利と流動性で多くの決定を行った」「利下げについて強力なコンセンサスがあった」、中銀預金金利を現在のゼロ%からマイナスに引き下げる可能性についても「技術的には用意が整っている」と指摘しました。ドラギ総裁は6日にも経済状況次第では「行動する用意がある」と再度の利下げなど追加策を講じる用意があると表明しています。

 ユーロ圏で明るい材料としてはイタリアではレッタ新内閣が上院と下院で信任されて正式に発足したことです。2カ月間の政治的空白に終止符が打たれたことで、政局が安定するとの期待感が広がっています。イタリアの政局が安定するとの思惑から、同国の10年物国債の利回りは低下傾向を続けており、4%を割り込む水準まで利回りが低下しています。なお、イタリア国債に追随してスペインの10年物国債の利回りも4%近くまで低下しています。

 ユーロ圏の景気の鈍化を考慮すると、ユーロには強気になりにくい状況です。ただ、4月の米雇用統計が良好だったとはいえ、米国の経済統計もいきなりすべてが大きく改善に向かうとも思えないことから、ユーロ・ドルは各国の経済指標に左右されつつ、もみ合いとなる展開となりそうです。このため、ユーロ・ドルは1.29〜1.33ドルのレンジで推移しそうです。

【日経平均は目先の天井接近の可能性も】
 日経平均は14,000円の大台に乗せてきました。ここでは、今年の日経平均の過去の季節的パターンと最近の値動きを比較してみます。ピンクのグラフは1993〜2012年の過去20年間の季節的な値動きを指数化したものです。赤はこのうち、上昇して終えた年のみのパターンで、青は米国の大統領選挙の翌年(1985〜2009年の過去7回)のパターンです。

 いずれも0〜100の指数であり、左軸で表示しています。なお、2013年(緑)は実際の価格となり、これだけ右軸で表示しています。過去のパターンを見ると、ピンク(通常の季節性)、赤(上昇年のみ)、青(米大統領選挙の翌年)はいずれも年初から上昇傾向にあり、4〜5月のどこかでいったん上昇が止まります。その後は下げに転じるケース(ピンク)、調整後に再び上昇に転じるケース(赤)、もみ合いが続きやすいケース(青)といった値動きを見せる傾向があります。

 現在はピンク(通常の季節性)、青(米大統領選挙の翌年)に近い動きを見せています。日本株にはゴールデンウイーク(GW)前後に、それまでの上昇を終えて株価がピークアウトするという傾向があります。米国でも5月は株が調整しやすく、「SELL IN MAY」(5月に売れ)と言われています。5月に下げやすいのはヘッジファンドの決算が関係しているとの説もあります。

 昨年の秋から日経平均は大きく上昇してきました。日経平均は14,000円台まで上昇してきており、市場では先高期待も一段と強まりそうです。ただ、過去の季節的なパターンからして、5月にはいったん調整が入る可能性も念頭に置いておきたいところです。



2013年5月7日

(オーバルネクスト/佐藤 昌彦)

株式会社オーバルネクスト 情報企画グループ 主任研究員 佐藤 昌彦

担当
為替、日経、商品先物市場
信条
ファンダメンタルズによる解説だけでなく、データの統計的な分析や、サヤ取りなどにより、なるべくリスクを抑えて、投資家の方が優位性を持てるような情報の提供を心がけています。
経歴
1994年にゼネックス(現オーバルネクスト)入社。現在、主任研究員。為替・金融・コモディティのアナリストとしてマーケットの分析・記事の執筆作業に従事。現在は為替や日経の分析記事の執筆が中心。データの統計的な分析を得意としており、日経平均、ドル・円、ユーロ円など為替市場の日中足を用いた分析記事の執筆も担当。

株式会社オーバルネクスト

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