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外為マーケットコラム

米経済指標次第で1ドル=98・60円までのドル安・円高も


 5月最終週のドル・円相場は31日のニューヨーク時間序盤に5月9日以来の安値となる1ドル=100.20円まで下落した。かろうじて100円の節目は維持しているが、6月第1週も100円割れの可能性がある。今週は5日発表の5月の米ADP雇用統計を皮切りに週間新規失業保険申請件数、米労働省発表の雇用統計と、米労働市場に絡む経済指標の発表が続く。米量的緩和政策の規模縮小、早期打ち切りの観測が交錯し、為替、株式も値動きが荒くなる可能性がある。ドル・円の予想レンジは下値を5月9日の安値である1ドル=98.60円に引き下げ、上値は102円とする。

【IMFの円安容認にも円の修正高が継続】
 ドル・円は5月29日に1ドル=102.50円台まで上昇したが、同月30日に発表された米第1四半期の国内総生産(GDP)確定値が速報値から0.1ポイント下方修正され、前期比+2.4%となったことで米量的緩和縮小、早期打ち切り観測が後退し、ドル安となり、対円でも直近の安値を更新する流れになった。31日に国際通貨基金(IMF)は対日審査を終え、日銀の金融緩和を支持し、円安を容認する声明を出しているが、円の修正高傾向は続いている。

 日経平均株価は30日に700円以上の下落となり、5月7日にチャート上で空けたギャップ(窓)を下に埋め、調整色を濃くした。3日も前週金曜日のニューヨークダウの下げと円高から日本時間の午前11時現在、4月19日以来の安値となる13,387.02円まで下落している。週半ばから後半に米労働市場に絡む経済指標の発表を控え、買い手控えムードが強く、13,000円台前半まで下落する可能性がある。4月22日にチャート上で空けたギャップ(窓)を下に埋めに行く展開か。

【CMEでの投機家の円の買い戻しを警戒】
 米商品先物取引委員会が5月31日に発表した建玉明細によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の5月28日現在でのシカゴ・円の大口投機家の売り越し幅は99,769枚まで増加している。ドル・円は30日から反発に転じており、投機家の円売り玉の買い戻しが先行したもよう。100円の節目を割り込むと買い戻しが膨らみ、一時的にしろドル安・円高がさらに進む可能性があり、注意が必要だ。

【ユーロ圏の失業率は過去最悪に】
 ユーロ・ドルは米GDP確定値が発表された30日に1ユーロ=1.30ドル台に上昇し、31日以降は1.30ドルを挟んでもみあい。31日に欧州連合統計局(EU)が発表した4月のユーロ圏の失業率は(季節調整済み)は前月から0.1%上昇して12.2%となり、ユーロ発足後の最悪水準を更新した。若年層の失業率が高く、ユーロ経済は依然として好転しておらず、ユーロも積極的に買えない環境である

 新興消費大国の経済成長の鈍化も不安要因だ。インド政府が5月31日に発表した2012年度(2012年度4月〜13年3月)の実質国内総生産(GDP)は5.0%となり、11年度の6.2%から減速し、10年ぶりの低水準となった。中国、ブラジル、ロシアとともに2001年以降の世界経済の成長を引っ張ってきたが、インド、中国の経済成長力が鈍化していることは投資家のリスク回避要因となろう。そのため、ユーロ、株、商品市場にリスク資金が向かいにくく、ドルの下値は堅く、6月中にドル・円が1ドル=95円割れとなることはないとみる。

今週の主要な経済統計、イベントは以下の通り。
3日  米5月ISM製造業景況指数、米4月建設支出
4日  豪第1四半期経常収支
    オーストラリア準備銀行(RBA)政策金利
    ユーロ圏4月生産者物価指数
    米4月貿易収支
5日  豪第1四半期国内総生産(GDP)
    ユーロ圏第1四半期域内総生産(GDP)改定値
    ユーロ圏4月小売売上高指数
    米5月ADP雇用統計
    米第1四半期非農業部門労働生産性指数
    米4月製造業受注指数
    米5月ISM非製造業景況指数
    米地区連銀経済報告(ベージュブック)
6日  豪4月貿易収支
    独4月製造業受注指数
    英中銀(BOE)政策金利
    欧州中央銀行(ECB)政策金利
    米新規失業保険申請件数
    カナダ5月Ivey購買部協会指数
7日  日本4月景気動向指数
    独4月貿易収支、独4月経常収支
    英4月貿易収支
    独4月鉱工業生産指数
    カナダ5月雇用統計
    米5月雇用統計
8日  中国5月貿易収支
9日  中国5月消費者物価指数、中国5月生産者物価指数
    中国5月鉱工業生産指数、中国5月小売売上高



2013年6月3日

(オーバルネクスト/森 成俊)

株式会社オーバルネクスト 森 成俊

担当
為替、先物市場
信条
為替証拠金取引の拡大により、為替取引はより身近になりました。ドル・円、ユーロ・ドル中心に為替を取り巻く環境、テクニカル分析を交え、為替取引の一段拡大を目指し、わかりやすい解説を心掛けています。
経歴
91年ゼネックス(現オーバルネクスト)入社、97−99年までNY現地法人勤務。03年よりオーバルネクスト調査情報グループリーダー。ラジオNikkeiファイナンシャルBox火曜日の為替、商品市況のコメンテーターも務める。

株式会社オーバルネクスト

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